米不良資産買い取りで求められる早めの実績-最初のハードルは突破

ガイトナー米財務長官による金融 機関の不良資産切り離し計画は、最初のハードルを越えた。発表を受 け、米国株は1930年代以降、4番目に大きい上昇を示したからだ。 だが、次なるハードルが待ち受けている。懐疑的な議会が追加の公的 資金投入を承認するには、結果を十分に早く示さねばならない。

金融機関が十分な資本を備えているかを査定する作業は4月末 に完了する予定で、財務省は評価損・貸倒損失の穴埋めに7500億ド ル以上の公的資金を求める必要性があるかもしれないと、アナリスト らは指摘する。財務長官が示した不良資産買い取り計画が機能しない とみられれば、オバマ政権の金融安定化対策は一段と困難になる。

公的管理下にある米保険大手アメリカン・インターナショナル・ グループ(AIG)が幹部に支給したボーナスをめぐっては、議会や 国民が激しく反発している。米連邦準備制度理事会(FRB)で金融 政策局長を務めた経歴を持つビンセント・ラインハート氏は、こうし た状況下で、オバマ政権は「議会が金融業界に向ける矛を収めさせね ばならない」と指摘。「そのためには、問題解決に向けてウォール街 にも対策を施さねばならないと、ホワイトハウスがオバマ政権の支持 率を生かし米国民に納得させる必要が生じよう」と語った。

ガイトナー財務長官が23日発表した計画では、財務省が750億 -1000億ドルを拠出し、民間投資家による不良資産購入を支援する。 当初の買い取り目標は5000億ドルだが、最大1兆ドルに拡大する可 能性がある。

発表を受け、同日の米S&P500金融株指数は18%上昇し、S& P500種株価指数全体を7.1%高に持ち上げた。これは1930年代以 降、4番目に大きな上昇だった。2月10日に不良資産買い取りの概 略を説明した時点では、詳細が明らかでないとして株安につながった が、その大部分を取り戻した格好だ。

金融安定化策

昨年10月に成立した7000億ドル規模の金融安定化策は、返済 を前提とした融資や投資が中心。ブッシュ前政権とオバマ政権で、こ れまで合わせて約6680億ドルを割り当てた(ブルームバーグの試算)。

不良資産買い取り計画で、オバマ政権は民間投資家の活用によっ て、ノーベル経済学賞受賞者でプリンストン大学のポール・クルーグ マン教授らが主張する政府による銀行接収は回避したい構え。また、 価値が目減りした資産そのものに対応することで、不良資産をバラン スシートに残した結果、経済停滞を招いた1990年代の日本の二の舞 いを避けたい意向だ。

ピーターソン国際経済研究所(PIIE)の副ディレクター、ア ダム・ポーゼン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、 「米財務省は、議会に追加資金拠出を求めたり銀行を国有化すること 抜きに計画を実施できる方法を見つけ出そうと、必死だ」と語った。

グリーンスパン前FRB議長は先週、金融機関が政府か民間投資 家から7500億ドル超の資本を新たに調達する必要性を指摘したが、 オバマ大統領も2010会計年度(09年10月-10年9月)予算で、追 加金融安定化策が必要となった場合に7500億ドルが確保できるよう、 余裕をもたせている。

しかし、実際の拠出には議会の抵抗がありそうだ。トム・プライ ス下院議員(共和、ジョージア州)は「米国民は孫の代まで新たな救 済策に巻き込みたいとは思っていない」と語る。一方、同じ共和党の ジャド・グレッグ上院議員(ニューハンプシャー州)は不良資産買い 取り計画について、「信用市場の解凍を目指す真にまじめな試みだ」 と見守る姿勢を示し、「機能するかどうかは、民間部門からどの程度 の買いが入ってくるかにかかっている」と指摘した。

ガイトナー財務長官は24日、AIG救済をめぐって下院金融委 員会に出席する予定。バーナンキFRB議長も参加し、財務省とFR Bの責任分担の詳細を明らかにする可能性がある。

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