2月日銀議事要旨:TIBORに直接働き掛けるのは難しい(3)

(第7段落以降に発表内容を追加します)

【記者:日高正裕】

3月24日(ブルームバーグ):日本銀行は24日午前、2月18、19 日の金融政策決定会合の議事要旨を公表した。それによると、やや長 めの金利に働き掛ける方法をめぐり議論が行われ、何人かの委員は、 東京市場の銀行間の貸出金利を集計したTIBORに直接働き掛けて いくことは難しいとの見方を示した。

日銀は同日の決定会合で、企業金融支援の一環として、格付けシ ングルA以上の社債を1兆円買い入れることを賛成7、反対1の賛成 多数で決定した。須田美矢子審議委員が反対した。また、当初3月末 を期限としていたコマーシャルペーパー(CP)の買い入れと企業金 融支援特別オペレーションを9月末まで延長することも決定した。

何人かの委員は、スプレッド貸し出し等の基準金利として用いら れるTIBORは①実際の取引レートではなく、そのベースとなって いる無担保ターム物の取引量が少ない②クレジットリスクをオペで直 接コントロールすることは難しい-ことを踏まえると、これに直接働 き掛けるのは難しいとの見方を示した。

複数の委員は、1月から開始した企業金融支援特別オペが当初見 込みを上回る資金供給を既に行うなど、企業の資金調達環境の改善に 効果を発揮していると指摘。何人かの委員は「このオペをさらに活用 するとともに、日々の金融調節において、引き続き市場機能を生かし ながら、必要に応じて長めのオペを実施するなどにより、ターム物金 利に働き掛けていくことが重要」と述べた。

既存手段の活用でターム物金利引き下げ

こうした検討を踏まえて、委員は「企業金融支援特別オペを強化 するとともに、既存の流動性供給手段を活用することにより、ターム 物金利の低下を全般に促していくことが適当である」との認識を共有 した。

日興シティグループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは次の 選択肢として、①信用緩和の拡大②ターム物金利の一段の低下にコミ ットする③長期国債買い入れの再度の増額-を指摘。②について「タ ーゲットまでは無理でも、TIBOR(東京銀行間貸出金利)3カ月 金利をリファレンス(参照値)化することは効果がある」としている。

何人かの委員は「各国において財政負担を伴う政策対応が進む中、 国債増発懸念から、このところ米国を中心に長期金利が上昇傾向をた どっており、これが実体経済の下押しにつながるリスクに注意する必 要がある」との認識を示した。日銀は3月19日の金融政策決定会合で、 国債の買入額をそれまでの月1.4兆円から1.8兆円に増額した。

財務省「社債買い入れさらなる拡充策を」

社債の買い入れについては、須田委員が①日銀は企業金融支援特 別オペやCP買い入れなど既に十分な措置を講じており、現時点では 社債市場の機能低下が企業金融全体を逼迫(ひっぱく)させるような 状況にはない②残存期間1年以内の社債の買い入れが企業金融円滑化 に与える効果は限定的-との理由から反対した。

これに対し、大方の委員は「残存期間1年以内の買い入れでも、 証券会社や投資家の社債売買を促進して社債市場の機能改善を後押し する効果や金融機関の貸し出し余力などを拡大する効果を通じて、企 業金融全体の円滑化に資することが期待できる」と反論した。一方、 財務省の出席者からは社債の買い入れについて「さらなる拡充策を検 討していただきたい」との要請が出された。

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