米銀に新たな打撃-商業不動産の空室率上昇で、債務不履行が増加

大恐慌以来最悪の住宅不況で過去 最大の損失を計上した米銀は、今度は高層ビルやショッピングモール の所有者のデフォルト(債務不履行)増加を乗り切る必要がある。

米銀大手10行は合わせて3276億ドル(約31兆5900億円)の 商業不動産ローン債権を抱えており、オフィスの空室が増え、小売企 業やカジノが破たんするなかで、相次ぐデフォルトの恐れに直面して いる。ニューヨークの不動産調査会社レイスの推定によると、デフォ ルト率が3倍に上昇する見通しから、未回収分の約7%が損失となる 可能性がある。

DBRSの信用アナリスト、ウィリアム・シュワルツ氏は、商業 不動産価格は過去1年間にほぼ20%下落し、世界的なリセッション (景気後退)の深刻化に伴い、市場には「著しい圧力」が存在すると 指摘。ムーディーズ・インベスターズ・サービスのマネジングディレ クター、ロバート・ヤング氏(ニューヨーク在勤)は米地銀23行に ついて、「こうした損失が2009年に多くの銀行の資本を大幅に弱体化 させる可能性が高い」として、財務格付けの見直しを行っていること を明らかにした。

ムーディーズは12日、商業不動産市場への「リスクの集中」を 理由に、バンク・オブ・ハワイとシティ・ナショナル、コメリカ、ソ ブリン・バンコープなどの銀行を「格付け見通しネガティブ(弱含み)」 のリストに掲載。企業のリポートによると、大手10行が保有する商 業不動産ローン債権の約半分をウェルズ・ファーゴとバンク・オブ・ アメリカ(BOA)が占めている。

雇用の悪化

2月の米失業率は8.1%と、約25年ぶり高水準に達し、10万を 超える個人や企業が破産法の適用を申請したのに伴い、商業不動産ロ ーンのデフォルト増加が見込まれる。レイスのアナリストの見通しで は、今年のオフィスビル空室率は16.7%と、2008年末時点の14.5% から上昇する可能性がある。

ニュージャージー州の商業不動産仲介・管理会社、ノースマーク・ キャピタルのシニアバイスプレジデント、マーク・スコット氏は「オ フィス市場では、大幅な雇用喪失の兆しが見え始めている」と指摘し た。

銀行は住宅ブームの際に、サブプライム(信用力の低い個人向け) 住宅ローンや変動金利型住宅ローンの提供を促された一方、建設業者 や、オフィス高層ビルや大型集合住宅ビルなどの購入者にも安価な与 信を提供してきた。

リアル・キャピタル・アナリティクスの調査アナリスト、ジェシ カ・ルダーマン氏によると、銀行に差し押さえられたり、ある種のデ フォルト状態に陥った小売り施設は今月464件と、昨年12月18日 時点の3倍以上となった。これは銀行がローン返済を受けないまま、 価値の下落している不動産保有で身動きが取れなくなっていることを 意味する。

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