米金融債の対米国債スプレッド、96年来最大に拡大-株安前兆か

米社債市場で銀行破たん懸念が 強まりつつあることから、今月の米金融株の過去最大の上昇が危うく なっている。

S&P500種金融株指数は6日の17年ぶり安値から最大54%上 昇したものの、メリルリンチ指数によると同金融銘柄の社債の米国債 に対する利回り格差(スプレッド)は8.55ポイントと、過去13年 で最大の水準となっている。金融株の急騰にもかかわらずスプレッド は拡大した。

金融株と金融債の値動きの乖離(かいり)は、S&P500種株価 指数のこの2週間の14%上昇が1937年以来の急速な株安の底入れ を意味しているかどうか、投資家が見極めに苦労していることを表し ている。

スタイフェル・ニコラス(ニュージャージー州フローラムパー ク)の市場ストラテジスト、ケビン・キャロン氏は、「株取引は、投 機的な意欲のバロメーターだ」と述べる一方、「債券市場はバランス シートにより多くの比重を置いている。バランスシートには根強い不 安がある」と説明した。

政府から1730億ドル(約16兆6000億円)規模の救済を受け た米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG) の株価は6日時点の3倍余りに上昇。一方、米金融取引業規制機構 (FINRA)の債券価格報告サービス、トレースによると、AIG 債(表面利率5.85%、2018年償還)の米国債に対するスプレッド は19ポイントを超えている。

S&P500種は500まで下落も

キャロン氏は、S&P500種株価指数は向こう3カ月以内に低 下に向かい、最大で35%安の500まで下げると予想する。この予想 は、S&P構成銘柄の今年の株価収益率(PER)が10倍まで低下 する一方、1株利益は50ドルになるとのキャロン氏の見通しに基い ている。

キャロン氏のスタイフェル・ニコラスはリスク選好が中程度の 顧客に対し、25%を株式に、残りを現金と米国債、投資適格級社債 に回すよう勧めている。

一方、米金融大手シティグループやバンク・オブ・アメリカ、 JPモルガン・チェースが1、2月の損益は黒字になったと発表し たことをきっかけにS&P金融株指数は急騰し、加えて米連邦準備 制度理事会(FRB)が今月18日に1兆ドル余りの米国債購入を表 明したことで、一部投資家の間にはリセッション(景気後退)の最 悪期は過ぎたとの見方も出ている。

ラッセル・インベストメンツ(ニューヨーク)の上級ポートフ ォリオ・ストラテジスト、スティーブン・ウッド氏は「マーケット はある程度、景気と収益の悪化の底入れを察知し始めている」と指摘。 「状況は予想通り悪いが、懸念されていたほどではない」と説明した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE