世界最低価格の乗用車「ナノ」、タタの債務返済の支援にならない公算

インドの自動車メーカー、タタ・ モーターズは、10万ルピー(約19万円)と世界最低価格の乗用車「ナ ノ」の購入予約受けを4月に開始する。

ナノは生産のための新工場の建設計画が頓挫し、発売に遅れが出 ている。この遅れと低価格設定によりタタは、6月までに20億ドルの つなぎ融資の借り換えを行なう上で、十分な売り上げをナノによって 達成できない公算がある。同融資は、米自動車大手フォード・モータ ーからの英高級車ブランド「ジャガー」と「ランドローバー」買収に 充てられた。

エンジェル・ブローキングのアナリスト、バイシャリ・ジャジョ ー氏(ムンバイ在勤)は、ナノについて「タタが現在直面しているキ ャッシュフロー(現金収支)の問題の解決にはならない」と指摘。「一 段の借り入れ拡大が必要になる」との見通しを示した。

同社の2008年10-12月(第3四半期)決算が7年ぶり赤字とな るなか、10年4月通期のナノ生産台数は3万-8万台にとどまるとア ナリストは予想する。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・ サービスとスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、ジャガー とランドローバー部門の販売不振と、昨年の同部門買収に伴う24億ド ルの資金需要を理由に、タタの格付けを引き下げている。

ブルームバーグのデータによると、タタは12年までに償還を迎え る社債と融資を9億1500万ドル保有。同社が従来強みを握っていたト ラックやバス部門も、インド国内景気の減速で低迷している。

タタの広報担当者のデバシス・レイ氏は電子メールで質問に回答 し、「借り換え方法に関して進展があり、銀行と協議を進めている」 と説明した。

35万台以上の販売必要

タタの株価は過去1年で73%下落。同社は当初08年10-12月期 にナノの発売を計画していたが、農業従事者からの反対で工場建設地 の変更を余儀なくされ遅れが出た。

インディア・インフォラインのアナリスト、ジャーティン・チャ ウラ氏はナノの効果について分析したリポートの中で、タタがナノで 利益を出すには販売台数は年間35万台を超える必要があると指摘。そ の上で、同プロジェクトは3年以内に黒字化するとの予想。同氏は、 ナノの販売台数は10年以内に年間最大200万台にまで拡大する可能性 を指摘した。

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