【日本株週間展望】年度末に向け底堅い、年金買い期待-米住宅に注目

3月第4週(23-27日)の日本 株相場は、2008年度末に向けた年金資金などの買い期待から戻り高値 圏でもみ合いそうだ。政府・与党も株価を意識しており、株価対策期待 も根強い。米国で発表される住宅関連指標で、大きく動く可能性はある。

いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は、「期末を意識した動きが 強く、ショートカバー(売りポジションの買い戻し)が続いている。一 方で4月以降の反動安も想定され、月内の高いところは売りたい人も多 い。相場は来週前半に戻りのピークを打つことも考えられる」という。

第3週(16-19日)のTOPIXは、前の週に比べて5.6%上昇 の764.77ポイントで終了。日米の金融当局が追加の金融対策を発表し、 信用リスク不安が後退した。米国で発表され2月の住宅着工件数(季節 調整済み、年率換算)が前月比22%増と予想外に急増し、景気に対す る悲観的な見方も薄らぎ、金融や不動産株の上昇が目立った。

年金買いに期待

ファンダメンタルズに大きな変化がない中、相場は株式需給で戻し ている。「3月に入ってからの主な買い手は公的資金」(立花証券の平 野憲一執行役員)のようだ。東京証券取引所が公表する3市場の主体者 別売買動向を見ると、信託銀行は年初から3月第2週まで10週連続で 買い越した。買越額の累計は2兆3000億円。相場が下がれば買いが膨 らむ可能性があり、3月いっぱい堅調な相場展開を予想する声が多い。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が3月末に実現を目 指す基本ポートフォリオでは、国内株式の比率が11%となっている。 しかし08年末時点で9.46%にとどまっており、買い余地はある。

ただ、GPIFは新年度入り後、公的年金部門の財政投融資廃止に 伴う新規資金の流入がなくなる上、年金給付のための積立金の取り崩し が始まり、売りに転じる可能性が指摘されている。加えて、4月以降に 順次発表される08年度の企業決算と09年度業績予想が低くなる可能 性が高く、相場は再度下値を模索する展開になる、との見方も少なくな い。あくまで戻りは短期と割り切らざるを得ないようだ。

政策期待と円高

一方、世界全体に目を向けると、「景気底割れ回避のためには各国 政府が何でもやるとの姿勢が明確になっている」(平野氏)。これが過 度な悲観から売り持ちしていた投資家の買い戻しを誘っている。日本銀 行は18日の金融政策決定会合で、長期国債の買入額を月1.4兆円から

1.8兆円に増額することを決定。17日の政策委員会では、大手銀行な どを対象に1兆円の劣後ローン引き受けを検討すると発表した。

また、米国では連邦準備制度理事会(FRB)が18日、最高 3000億ドル(約29兆円)の米長期国債買い入れと、住宅ローン担保 証券(MBS)や機関債の購入拡大を決定した。

しかしこの決定は同時に米ドルの信認を壊しかねず、早速為替市場 ではドル売りが優勢となった。MFCグローバル・インベストメント・ マネジメントのマネー・マネジャー、ジャック・アイル氏は「決定は市 場に衝撃を与えた。FRBが紙幣を印刷していることは全般的なドルの 下落につながり、ドル相場には大きなマイナス材料」との見方を示す。

ドルは第3週に対円でおおむね1ドル=98円を挟んで小動きだっ たが、18日の発表を受けて一気に95円台までドル安が進んだ。買い取 り枠拡大の圧力もあるため、4月以降も円高が懸念される状況が続きか ねない。円高は輸出企業の業績押し下げにつながり、外需依存度が高い 日本経済にとってマイナスに働く。

潮流変化

来年度の経済成長と企業収益について楽観視できる状況にないが、 ファンドクリエーション投信投資顧問の黒田毅シニアファンドマネジャ ーは、自動車減産の緩和や液晶パネルの底打ちなど、悪化を続けてきた 市況に変化が出始めた点に着目。「バイアンドホールドのポートフォリ オが苦戦する中、こうした潮流の変化が好影響を与える銘柄を拾い、実 現益を積み重ねていきたい」と話す。

昨秋からの急激な景気悪化を機に、企業が生産設備の統廃合やそれ に伴う人員削減といった大胆なリストラを迅速に進めた結果、「優良企 業の収益体質は強化された。売上高が横ばいなら、かなり利益が出るよ うになっている」(いちよし投資顧問の秋野氏)。秋野氏は、為替相場 次第と前置きしながらも、「来期は営業利益で増益もあり得る」と見る。

米国で住宅関連統計など発表

第4週は、国内で23日に1-3月の法人景気予測調査や1月1日 時点の公示地価、27日に2月の消費者物価指数が発表予定。米国では 23日に2月の中古住宅販売、24日に1月の住宅価格指数と3月のリッ チモンド連銀製造業指数、25日に2月の耐久財受注と新築住宅販売、 26日には08年10-12月の国内総生産(GDP)確定値が発表される。

2月に発表された米GDP改定値はマイナス6.2%に下方修正され たが、ブルームバーグ調査では、確定値はさらにマイナス6.6%に下が ると予想されている。一方、世界の金融、経済を混乱に陥れた米住宅市 場で改善傾向が見られるようなら、安心感が醸成される可能性もある。

【市場関係者による当面の日本株相場の見方】 ●ウイングアセットマネジメント・羽賀誠代表取締役

「相場は底を打ったようだ。投資家は来期(2010年3月期)業績に 目が移りつつある。株式相場は半年から1年先を見ながら動くため、こ れから半年先の経済指標がマイナス幅の縮小やプラスに転じると期待で きる。直近では金融不安が解消されており、過度に売られていた不動産 を買い戻す動きになりそうだ」

●日興コーディアル証券エクイティ部の西広市部長

「日経平均株価は8000円を挟んだ展開になるだろう。短期的な急ピ ッチの上昇に対する警戒感が出ている上、為替相場はやや円高に振れて いる。ただ、各国の金融対策が相次いで金融不安は後退しており、売り 込む向きは少なそう。週前半は売り込まれた銘柄などの買い戻しが続く 可能性はあり、後半は「閑散に売りなし」の状態になるだろう」

●コスモ証券営業サポート部情報課の林卓郎氏

「決算期末を控えて様子見を決め込もうというのが大勢のようだ。各 国政府が協調して政策出動しようとしているのに流れに逆らって売るべ きではない。トヨタや三菱UFJフィナンシャルグループなど代表的な 大型株の戻りもチャート上はあと一歩。少し戻りが足りないので、大型 株をもう少し買っておきたい」

●住信アセットマネジメントの村上典之ファンドマネージャー

「相場上昇もやや息切れ気味となってきた。ただ、政策期待を背景と したベアマーケットラリー(下落基調の中の反転相)の中での一時的な 踊り場局面にあるのか、ラリー終了なのかは判断しがたく、積極的な売 買を手控えざるを得ない。株安を主因に自己資本比率が急速に落ち込ん でいる銀行が融資に消極的になり、事業会社の資金繰り悪化につながる 負の連鎖に陥っていることを考えれば、政府や日銀はもっとスピード感 を持って株価対策に取り組むべきだ」

●大和証券SMBCグローバル・プロダクト企画部の高橋和宏部長

「日経平均株価は13週移動平均に接近し、戻り相場は分岐点に来て いる。米国で自動車や金融業界に対する具体的な対策が出てくるような ら、日経平均8000円台半ばまで上昇の可能性があろう。米国で住宅関 連指標や耐久財受注などの発表が予定され、小売売上や住宅着工などの ように引き続き底入れ感が出る内容かが注目される。経済指標などがマ イナス要因となって13週平均を抜け切れないと、年金資金による買い が期待できなくなる新年度を先取りした売りも出やすくなるだろう」

----共同取材:河野 敏、長谷川 敏郎、鷺池 秀樹、常冨 浩太郎、

浅野 文重  Editor:Shintaro Inkyo

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