AIGのCEO:高額賞与受け取った従業員に半額返還を要請(3)

米保険大手アメリカン・インタ ーナショナル・グループ(AIG)のエドワード・リディ会長兼最高 経営責任者(CEO)は18日、政府救済を受けたAIGが総額1億 6500万ドル(約158億円)のボーナスを支給したことへの米国民の 怒りを考慮し、10万ドルを超える賞与を受け取った従業員に半額を 返還するよう求めたことを明らかにした。

リディCEOは米下院金融委員会の小委員会での証言で、昨年の CEO就任前に締結された賞与の支払い契約について、自分がその立 場にいたら承認しなかっただろうと述べるとともに、従業員に対し、 支給された賞与に関して「正しい事を行う」よう要請したと語った。

同CEOは、「10万ドルを超えるボーナス支払いを受けた従業員 に、少なくとも半額を返還するよう求めた」と述べた上で、「中には 既に自ら全額の返却を申し出た者もいた」と説明した。

オバマ米大統領がボーナス支給問題での国民の憤激の沈静化を図る 一方、共和党は怒りの矛先をAIGへの政府支援前から交渉に関与して いたガイトナー米財務長官とオバマ政権へと変えようとしている。共和 党は、ガイトナー長官とホワイトハウス当局者がAIGの賞与をもっと 早期に把握し対処するべきだったと指摘した。オバマ大統領は、ガイト ナー長官は正しく行動したとあらためて強調した。

「恐ろしい結果」

リディCEOは、ボーナスについて昨年10月か11月に知ったと 述べるとともに、ボーナス支給が国民の怒りを買うと予想していたと明 言。「1億6500万ドルは非常に巨額であることは分かっている」とし た上で、AIGに不測の事態が起きた場合、「恐ろしい結果になり得 る」と語った。

米ニューヨーク州のクオモ司法長官は、自主的な賞与返還は「規模 が小さ過ぎる上に遅きに失した」と指摘。10万ドルを超えるボーナス を支給された従業員は、賞与を受け取った全418人の71%に相当する と説明した。クオモ長官はリディCEOに対し、ボーナスを受け取った 全員のリストを提出するよう求めた。

リディCEOは、AIGが昨年、破産法適用を申請していれば、 賞与の支払い契約は無効になっていただろうと説明。既に幹部報酬の制 限を実施したほか、ロビー活動や政治献金を停止したと語った。

リディCEOは「私は個人的に、AIGの事業環境と、大統領から の報酬制度規制の厳格化要求の双方に十分配慮している」と述べる一方 で、「同時にわれわれは、政府に早期返済できる金額を最大限増やせる よう、基本的に納税者の利益のためにAIGを経営している」と弁明し た。

本社ビルなどの売却検討

AIGが政府からの融資の返済を目指すなか、広報担当のマー ク・ハー氏は電子メールで配布した発表文で、同社はニューヨークの 66階建ての本社ビルとウォール街72番地の16階建てビルの売却を検 討していると述べた。

下院金融委員会のバーニー・フランク委員長(民主、マサチュー セッツ州)は公聴会で、AIGを管理下に置く政府が「同社に対し損害 を実際に与えた人たち」を相手取り訴訟を起こすべきだと明言。リディ CEOに対し賞与を受け取った社員の氏名を公表するよう求めるととも に、公表されない場合はその情報を得るために金融委がAIGを召喚す るだろうと述べた。

これに対しリディCEOは、従業員の中には脅迫されている者も おり、氏名公表が従業員の安全を脅かしかねないとして、公表に異を 唱えた。

賞与が支給されたのは、信用危機を招いた元凶の1つとされるク レジット・デフォルト・スワップ(CDS)を販売していた部門の従 業員だった。

リディCEOは、「AIGの過ちはほとんど誰も予想できなかっ た規模で起こった」と述べた上で、「中でも最も重大な過ちは、CD Sポートフォリオを作ったこと」であり、これが原因でAIGは手元 流動性不足に陥ったと説明した。

CDS部門の縮小

リディCEOは、CDS部門は「当社にとって大きなエクスポー ジャーであることから、可能な限り早く」同部門の縮小を目指してい ると表明。「CDS事業の制御不可能な崩壊の防止に懸命に努めてい る」と述べ、「これが納税者に早期に返済できるようになるための唯 一の道だ」と強調した。

また来年3月に予定されている同部門への総額約2億ドルの次回 賞与については、支給は「あり得ない」と言明。同部門の「大多数が 退社するとみている」と語った。

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