日銀総裁発言要旨:銀行券ルール見直すことは全く考えてない

【記者:日高正裕】

3月18日(ブルームバーグ):日本銀行の白川方明総裁は18日 午後の定例会見で、経済・物価情勢について次のように述べた。

――なぜこのタイミングで長期国債の買い入れ増額を行ったのか。景 気刺激のための財政出動が議論されているが、それとの関係があるの か。

「今回の長期国債の買入増額は年度明け後も金融市場の安定を確 保するため、引き続き積極的な資金供給を行っていくことが重要とい う判断の下、長期の資金供給手段を一層活用し、円滑な金融調節を行 っていくことを目的としている。今回の措置はこれまでの増額と同様、 あくまでも金融調節上の必要に基づいて行うものであり、今後の国債 増発への対応を念頭に置いて実施するものではない」

――日銀は長期国債の買い入れについて、銀行券発行残高を上限とす るルールを設けている。今回の増額で限界に近いところに来ているの ではないか。

「長期国債買い入れの背景について少し技術的に説明すると、銀 行券ルールはなかなか一般の方になじみがない。中央銀行で金融調節 を行っている人以外にはなかなかなじみがないルールだと思う。一般 的には、日銀が内部的に置いている精神規定ではないかとの感じがあ るかもしれないが、決してそういうものではない」

「長期国債の買い入れについて、今年1月に残存期間別買い入れ を導入して、2月から実行に移した。同じ1兆円の国債を買っても、 期間1年の国債なら1年で(日銀のバランスシートから)なくなる。 10年国債なら10年間残る。従って、国債がどのくらい中央銀行の バランスシートに残っているかということは、結局、年間の買入金額 と年間に買い入れた国債の平均的な期間の積に依存する」

「従来、長期国債の残高をコントロールする上で、日銀は買入総 額という変数でしかコントロールできなかったが、残存期間別の買い 入れによって、年間の買入金額と残存期間という2つの変数でコント ロールできるようになった。このような手段が加わり、金融市場の状 況を踏まえて、円滑な金融調節を行うために、長期国債の買い入れを 増額することが適当と判断した」

「銀行券のルールについて、足元の銀行券と足元の長期国債の関 係ももちろん重要だが、それ以上に重要なことは、この先その両方が どう推移するかという見通しが重要だ。もし将来の銀行券の姿、将来 の長期国債の姿を展望しないと、例えば今期、国債を大幅に増額した が、来期は逆にそれを売らなければならないことになると、今後は市 場に対してかく乱的な影響を与えてしまう」

「今回、増額したケース、すなわち年間26.1兆円の規模で長期 国債の買い入れを毎年行っていくと、単純に計算するとすぐ分かるが、 長期国債の保有残高は数年間のうちに銀行券発行高という上限に近接 していく可能性が高いと推定される」

「もちろん、こうした見通しは先行きの銀行券の伸びや、あるい はオペで入ってくる国債の満期構成にも左右されるので不確実性は残 るが、さすがにここまで買入額を増額させると、追加的な買い入れ余 地はおのずとかなり限定されるとみられる」

――仮に、長期国債の増額が今後さらに求められることがあれば、銀 行券ルールを見直すことはあり得るのか。

「銀行券ルールを見直すことは全く考えてない。銀行券ルールの 意味としては2つ挙げられる。第1は、円滑な金融市場調節を確保す ることだ。第2は、銀行券ルールは、長期国債の買い入れが国債価格 の買い支えや、あるいは財政ファイナンスの支援を目的とするもので はないという趣旨を明確にする役割を果たしている。従って、銀行券 ルールを見直すという考えはない」

――政府が今後、経済対策を第2次、第3次、第4次と取っていくと き、それによって赤字国債が大量に増発した場合でも、長期国債の買 い入れを増額する考えはないと理解してよいのか。

「長期国債の買い入れは、金融調節の必要性に即して判断してい く。銀行券の将来の姿、今後入ってくる国債の期間構成に依存するの で、不確実性は残るが、かなり限界に近くなってくる。あくまでも金 融調節の必要に応じて判断していく」

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE