日本女性の「婚活」意欲高まる-世界的不況の影響はこんなところにも

岩手裕美子さんは昨年、賃金カッ トに見舞われた。彼女と会社の女性同僚はそのとき、取るべき道はただ 1つ、結婚相手を見つけることだと心に誓った。

東京の通販会社に勤務する岩手さん(36)は「できるだけ早く結 婚がしたい、希望としては今年中です」とし、「この不景気によって自 分が思い描いていたように賃金が上がっていかないことを実感した。も し、共働きだったら、もっと経済的に安定することができる」と語る。

トヨタ自動車やソニーなど大手企業でも大量の人員削減が行われ、 国内経済が1945年以来最大の落ち込みに向かいつつあるなかで、日本 女性は結婚相手を探す活動を「婚活」と呼ぶ。昨年の婚姻件数は73万 1000件と、5年ぶりの高水準だった。同年は賃金の伸びが停滞し、失 業率も6年ぶりに上昇に転じた。

第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは「この不況を 受けて、出来るだけ早く安定した経済力のあるパートナーを見つけると いうのは今まで以上に気合が入っている」とし、婚活は「経済的な不安 が大きい」と述べた。

23年前に男女雇用機会均等法が施行されて以来、家庭生活よりも 仕事でのキャリアを優先してきた女性たちにとって、こうした傾向は逆 戻りの展開を意味する。

男性と同等に

東京大神宮でお守りを購入した久保怜子さん(25)は「私たちの 一つ上の世代はキャリア志向で女性が男性と同じくらいできるというこ とをバリバリ働いて証明したと思う」とした上で、「そういった人たち は男性に依存する必要もなくて、自由だしカッコいいけど、私もそうな りたいかというとそうじゃないんです」と語った。

東京大神宮は縁結びにご利益があるとして、婚活中の人が詣でる 場所として話題となり、神職の唐松義行さんによると過去1年で参拝者 数が約2割増えた。

リセッション(景気後退)は過去にも、日本人の結婚を後押しして きた。1980年代の終わりの資産バブルがはじけたときと、2001年のハ イテクバブル崩壊後がそれだ。今回のケースは失業率が過去最悪の水準 に上昇すると見込まれることから、その傾向は強まる公算があるとエコ ノミストは指摘する。

リセッションの深刻化を背景に、日本以外でも結婚するカップル は増加している。ロンドンのウェストミンスターの戸籍登録所では、 08年4月から09年2月までの挙式数が1684組と1年前と比べ8.5% 増加したという。

婚活の実態

岩手さんは昨年12月から婚活を開始、今年の正月は結婚相手候補 を紹介してほしいと、中学時代の同級生からサルサ教室の知り合いまで、 年賀状170通を送付した。彼女の5人の同僚の女性たちも婚活中で、 互いに結婚相手として可能性のありそうな友人・知人を紹介し合い、 20代から30代女性を対象とした雑誌an・anの「大人の婚活マニュ アル完全版」には付箋を張り付けてみんなで回し読みしチェックしてい る。

婚活バー、六本木の「Green」も盛況だ。同バーでは、会員 になると男性は1回の来店につき1万1340円を支払うことで、そこを 訪れている女性を紹介してもらえる仕組みとなっている。オーナーの本 多有太さんによると、週末は予約が殺到している。インターネットの結 婚情報サービス、オーネットも入会希望者が過去1年で10%増えた。

婚活は、出生率を高めたいとする政界からの関心も集めている。 07年の政府統計によると、日本女性が一生のうちに出産する子供の平 均人数は1.34人にまで落ち込んでいる。日本が人口を維持するために は2.07人が必要とされる。

小渕優子少子化担当相は婚活について、「少子化対策を考える上 で、これまでは子供を産んでからの支援をメインに行ってきた」とした 上で、「婚活の必要性が指摘されていると思う」との考えを示した。

小野奈津子さん(25)は、結婚相手を見つけるための出費を惜し まない。これまでに37万円を費やし、プロのカメラマンに写真を撮っ てもらい、結婚相談機関にも登録している。「すごいお金をかけている ように聞こえるかもしれないけど、これで結婚相手が見つかるとしたら、 全然良心的な投資だと思う」と語った。

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