自動車の春闘:賃上げゼロ回答、賞与も大幅減-収益悪化で(3)

賃金などをめぐる今春の労使交渉 で自動車メーカー各社は18日、労働組合側に相次ぎ回答した。世界的 な需要低迷や円高で今期の業績予想が赤字転落、大幅減益を余儀なくさ れることを背景に、各社とも賃上げ(ベースアップ)には応じず、年間 一時金(ボーナス)も組合要求を下回る内容となった。

今期59年ぶりの最終赤字に転じる見通しのトヨタ自動車は、賃上 げに相当する賃金改善分として月額4000円の組合要求を認めず、一時 金も5カ月プラス20万円(組合平均198万円=賃金改善分含む)の要 求に対し186万円とした。

トヨタが一時金で満額割れの回答をしたのは10年ぶり、賃上げ見 送りは4年ぶりとなる。前年の一時金の組合平均額は253万円だった。 一時金回答額186万円のうち冬に支払う分の93万円については秋に労 使協議会を開催してあらためて交渉するとしている。

トヨタの経営側は交渉の過程で、定期昇給に相当する賃金制度維 持分についても確保すら困難との姿勢を示していたが、組合要求通り同 7100円を認めた。トヨタの小沢哲専務は18日会見し、従業員の労働 意欲を保つために必要な原資としたうえで、「そこまで踏み込んでやる べきではないという結論に達した」と定昇維持の理由を語った。

今期9年ぶりの最終赤字見通しを受け2万人の人員削減を計画し ている日産自動車は、賃金改善分4000円を含む1万円の月額平均「賃 金改訂原資」、5.2カ月分の一時金要求に対し、それぞれ6000円、

4.2カ月を回答した。

日産自は2004年春、成果主義に基づく給与制度の導入で労使が合 意し、賃上げや定昇の概念がなくなった。このため組合側は05年春闘 から、それまでの従業員の賃金体系を一律で底上げする賃上げ要求から、 従業員に支払う賃金の総額そのものを増やすことを目指した方式を採用 している。

日産自の川口均常務執行役員は18日の会見で、世界的に賃金凍結 の方針を示している中で国内の賃金で定昇相当分を維持したことについ て、一時金が前年に比べて31%減少することを示したうえで「年収が それだけ減るのでグローバルにみて不公平のない形になっている」と述 べた。

さらに川口常務は来年度に支払われる管理職の賞与が今年度比 35%減、すでに無支給が決まっている取締役を含む役員賞与は同50% 以上の減少になることを明らかにした。また国内でのワークシェアリン グ導入について川口常務は「これからさらに検討していく」とし、2- 3月に給与の一部をカットする臨時休業日を設定した内容を踏まえた形 で進めていく考えを明らかにした。

大手3社の中で唯一黒字を確保する見通しのホンダも、組合側の 月額4000円の賃上げ要求にはゼロ回答。また一時金は5.5カ月の要求 に対し5カ月とした。賃上げ見送りは4年ぶり、一時金の満額割れは3 年ぶりとなる。

マツダも他の大手と同様にベア要求には応じず、また一時金に関 しては過去最低月数となる4.06カ月を回答した。一時金の組合員平均 額は125万円で、前年実績に対しては31%の減額となる。組合の一時 金要求は5カ月だった。

【自動車各社の一時金回答】
        回答       前年実績
トヨタ *186万円(198万円)  253万円
日産自  4.2カ月(5.2カ月)  6.1カ月
ホンダ  5.0カ月(5.5カ月)  6.6カ月
マツダ  4.06カ月(5.0カ月)  5.8カ月
ダイハツ 5カ月+α(5.6カ月)  5.8カ月
富士重  4.2カ月(5.0カ月)  5.0カ月
日野自 *3.5カ月(5.0カ月)  5カ月+5万円
いすゞ  3.6カ月(5.0カ月)  5.15カ月
カッコ内は組合要求
*冬分をあらためて協議
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