日銀:長期国債の買入額を月1.8兆円に増額-政策金利据え置き(2)

(発表内容を追加します)

【記者:日高正裕】

3月18日(ブルームバーグ):日本銀行は18日午後、同日開いた 金融政策決定会合で、長期国債の買入額をこれまでの月1.4兆円から 「1.8兆円」に増額することを決定した、と発表した。金融市場の安 定を図るため、長期資金の一段の供給が必要と判断した。

日銀は金融調節方針については、政策金利を0.1%前後に据え置 くことを決定した。上限金利の補完貸付金利は0.3%に、下限金利の 補完当座預金金利は0.1%に維持した。決定はいずれも全員一致。景 気については「大幅に悪化しており、当面、悪化を続ける可能性が高 い」との判断を維持した。

日銀は昨年12月の決定会合で、長期国債の買入額を月1.2兆円か ら1.4兆円に増額したばかり。日銀は声明文で「厳しい金融経済情勢 を背景に、市場の緊張が続く可能性が高い」と指摘。「金融市場の安定 を確保するため、引き続き積極的な資金供給を行っていくことが重要」 とした上で、「長期の資金供給手段を一層活用し、円滑な金融調節を行 っていくため」、長期国債の買入増額を行うとしている。

麻生太郎首相は13日、追加的な経済政策の策定を指示した。UB S証券の道家映二チーフストラテジストは「永田町からは『真水』で 数10兆円規模の追加経済対策を訴える声が多く聞かれる。税収の大幅 な下振れも予想される中、財源を国債の追加発行に頼らざるを得ない 状況にある。日銀の意志に反し、財政ファイナンスに組み込まれてい くリスクは小さくない」と指摘する。

実質的な財政ファイナンス

白川方明総裁は12日の参院予算委員会で「長期国債の買い入れは、 銀行券発行残高に見合った長期安定的な資金の供給という金融調節上 の必要に基づき実施している」と指摘。「金融調節の必要性ということ から離れ、財政ファイナンスを目的として長期国債買い入れを行うと、 そのこと自体が長期金利に悪影響を与える」と述べた。

日銀は今回の買入増額についてもそうした建前を捨ててない。バ ークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジストは「一 応、過去の説明との整合性は取れないことはない」としながらも、市 場が「政府・与党が検討を始めている追加経済対策に伴う財政ファイ ナンスのサポートと受け取ることは間違いないだろう」と指摘する。

白川総裁は13日の衆院財務金融委員会で「大幅な需要の落ち込み に対し、金融面からの対応だけでは限界があり、適切な財政政策の発 動が必要」と述べ、財政政策に対する異例の働き掛けを行った。政策 金利は0.1%で下げ余地はほとんどない。民間のリスク資産の購入も 「米国に比べクレジット市場の規模が小さく、限界は近い」(日興シテ ィグループ証券の佐野一彦チーフストラテジスト)。

今後も長期国債買い入れは増額へ

このため、日銀は今後も「政府の拡張財政に対応し、長期国債買 い入れを増額する可能性が高い」(BNPパリバ証券の河野龍太郎チー フエコノミスト)とみられている。東短リサーチの加藤出チーフエコ ノミストは「今後の最大の焦点は、補正予算での国債増発に伴い、日 銀に対する長期国債の買入増額要請だろう」という。

日銀は長期国債の買い入れについて、銀行券発行残高を上限とす る自主ルールを設けている。10日現在、銀行券発行残高の76兆円に 対し、保有長期国債は44兆円。UBS証券の道家氏は「今後半年間で 月2兆円まで増額されるだろう」と予想している。

白川方明総裁が午後3時半に記者会見する。議事要旨は4月10 日に公表される。次回以降の金融政策決定会合、総裁会見などの日程 は以下の通り。

会合開催       総裁会見  金融経済月報  議事要旨
4月6、7日  4月7日     4月8日     5月8日
4月30日    4月30日        -        5月27日
5月21、22日  5月22日     5月25日     6月19日
6月15、16日  6月16日     6月17日     7月21日
7月14、15日   7月15日     7月16日     8月14日
8月10、11日   8月11日     8月12日     9月25日
9月16、17日   9月17日     9月18日     10月19日
10月13、14日   10月14日     10月15日     11月5日
10月30日       10月30日        -        11月26日
11月19、20日   11月20日     11月24日     12月24日
12月17、18日   12月18日     12月21日       未定

総裁会見は午後3時半。金融経済月報は午後2時、議事要旨は午 前8時50分。次回の経済・物価情勢の展望(展望リポート)は4月 30日と10月30日の午後3時に公表される。

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