景気悪化と株安で銀行の自己資本は90年末の水準以下に-日銀報告

日本銀行は17日、景気の悪化と株 価の低迷が続くと、経営体力が相対的に弱い銀行の中核的な自己資本 であるTIER1比率が「1990年代末期から2000年代初頭並みか、 それ以下の水準にとどまる恐れがある」とする報告書を公表した。報 告書は、銀行の自己資本制約から「金融仲介機能が円滑に発揮されな くなる可能性」もあるとしている。

報告書は半期に1度の「金融システムリポート」。昨年10-12月 の実質GDP(国内総生産)1次速報値公表後の民間予測機関見通し の平均値(09年度は約マイナス4%)を用い、08年度末のTOPIX がバブル崩壊後の最安値(730ポイント)にとどまるというシナリオ の下で、銀行のTIER1比率がどう推移するかを試算した。

それによると、「景気悪化と株価低迷がともに顕在化する場合、損 失見込み額が基礎的な収益力を大きく上回る銀行が一定の割合に達し、 経営体力が相対的に弱い銀行群のTIER1比率が、1990年代末期か ら2000年代初頭並みか、それ以下の水準に低下する恐れがある」とい う。銀行によってばらつきはあるが、TIER1比率が4%程度まで 低下する銀行が出てくる可能性もある。

日銀は「銀行が先行きの自己資本制約を強く意識するようになる 場合、マクロ的にみた金融仲介機能が円滑に発揮されなくなる可能性 も考えられる」と指摘。景気が大幅に悪化し、厳しい金融環境が続く 中、「金融機関が十分な自己資本基盤を持ち、金融仲介機能を適切に発 揮していくことの重要性が一段と高まっている」としている。

金融システムは全体として安定を維持

同リポートはまた、「わが国の金融システムは、全体として安定し た状態を維持してきたが、国際金融資本市場における緊張の持続や内 外経済環境の悪化が、有価証券関係損失の拡大や信用コストの高まり 等を通じて、金融仲介機能・金融システムの頑健性の両面に影響を及 ぼしてきている状況にある」と指摘。

その上で「わが国の金融機関は、資本市場調達が困難となった企 業の資金調達をサポートするなど、企業金融が全体として逼迫(ひっ ぱく)する下でも、金融仲介機能を相応に維持してきたといえるが、 今後については、景気悪化の下での企業の資金需要の変化に対して、 適切に対応していけるかどうか、注意深くみていく必要がある」とし ている。

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