資生堂:中国売上高成長、来期も20%台半ば-内陸部開拓を強化

化粧品国内最大手の資生堂は中国 の売上高成長率(現地通貨ベース)について、来期(2010年3月 期)も20%台半ばを見込む。同社の成長をけん引している中国にも、 世界景気の急速な悪化による影響が及んでいるが、中間所得者層が今 後さらに拡大する内陸部の開拓を強化する。中国専用ブランドも増や して高成長を維持する方針だ。

高森竜臣執行役員・中国事業部長は17日放映のブルームバーグ・ テレビジョンで、中国沿岸部の百貨店で販売されている欧米ブランド に「世界的な経済悪化の影響が出始めている」と説明。逆に、同社の 百貨店向け中国専用ブランド「オプレ」には値ごろ感が生まれ、顧客 が欧米ブランドからオプレに移ってきており、不況が「追い風になっ ている」という。

また、専門店向け中国専用ブランドの「ウララ」(発表資料)と 「ピュア&マイルド」を展開する内陸部では、中国政府が内需振興策 を打ち出していることもあり、「スローダウンしていない」といい、 今期(09年3月期)、来期の中国の売上高成長率は「20%の半ばは いくだろう」との見通しを示した。

みずほインベスターズ証券の鈴木博行アナリストは「中国は景気 低迷の影響で下振れが懸念されるが、内陸部を中心に高成長が続くこ と自体に変わりはない」とみており、「化学セクターの中で長期的に 拡大の道筋が見えている数少ない企業の1社」として評価している。

中国専用ブランドを新たに追加

高森氏は、中国人女性の肌や好みに合わせて開発された現地生産 の中国専用ブランドを今後増やす方向で「検討している」ことも明ら かにした。広大な内陸部に点在する地方都市は気候差などもあるため、 省ごとやエリア別にきめ細かく対応した商品を投入し、新しい消費層 を取り込むのが狙い。

同社はこれまでは北京、上海など沿岸部の富裕層を中心とした百 貨店での販売に力を入れてきたが、現在は経済発展に伴い拡大してい る内陸部の中間所得者層を掘り起こすため専門店の展開に注力。価格 帯と出店地域を広げ、顧客を増やしている。同社の中国の売上高は米 証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(たん)後も、昨年10月 から12月末までで前年比約30%増と好調だった。

中国事業に関する3カ年計画では、最終年の10年までに化粧品専 門店を現在の3300店から5000店に、愛用者数を300万人から500 万人に増やす方針。売上高営業利益率は約17%を維持する。

消費マインドの冷え込みは景気に左右されにくいとみられていた 化粧品にも波及してきており、資生堂の1月の国内売上高は前年同月 比5%減と4カ月連続マイナス。鈴木氏も、国内の減速感は「来期に かけて本格化する」と見る。海外も円高リスクがあるなかで、成長が 見込める中国は資生堂にとってますます重要になっている。

中国人スタッフ育成が勝負の鍵

中国の化粧品市場は昨年実績で約1兆5000億円と日本とほぼ並 ぶ。今年は「もう日本を追い抜く」と高森氏はみており、資生堂では 10年までに年率10%の拡大を続けると予測する。中国の人口13億 人のうち、特に女性の中間所得者層は10年に1億人になる見込みで 「非常にポテンシャルが高い」(高森氏)。日本は人口1億2000万 人のうち、女性人口は5600万人で頭打ちだ。

中国では仏ロレアル、米P&Gなど世界の競合がしのぎを削って おり、競争が年々厳しくなっている。高森氏は、し烈な競争に勝ち抜 くためには中国人のスタッフや幹部社員の育成が大きな要素であり、 人材育成が一番の課題とみており、「将来的には中国人に経営の根幹 を委ねていきたい」としている。

資生堂は1981年に中国に参入し、百貨店、化粧品専門店、ドラ ッグストアなどで販売。中国専用ブランドのほか、ヘアケア「TSU BAKI」やメーキャップブランド「マキアージュ」、世界共通ブラ ンド「SHISEIDO」(メーキャップ、スキンケア)なども展開 する。

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