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マツダ:公的融資獲得が課題に-短期借入金が増加、社債も発行難(2)

今期8年ぶり赤字見込みのマツダ の財務内容が急速に悪化している。世界的な自動車需要の冷え込みで短 期借入金が増加。当面の資金手当ては十分としているが、社債も発行で きる環境にはない。調達手段の多様化としてまずは公的融資の獲得が課 題になる。

マツダの昨年12月末時点の有利子負債残高は7136億円と、9カ 月間で2086億円増えた。中でも短期借入金は1396億円と倍に増えた。 資本業務提携関係にある米フォード・モーター保有の自己株取得もあっ たが、それを上回る在庫運転資金が発生したためだ。

事業活動で自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローも、昨 年末時点で1967億円の赤字で3カ月間で8.8倍に拡大。また昨年末時 点の手元資金は1441億円で同3月末に比べて37%減っている。

マツダに限らずトヨタ自動車やホンダなども公的融資活用に向け動 き出しているが、トヨタは総額2000億円の社債を先月発行したうえ、 昨年末時点の手元資金は2兆2000億円を超える。大手5社の中で唯一、 今期の黒字を見込むホンダの手元資金も7400億円近くある。

マツダの尾崎清専務兼最高財務責任者(CFO)は13日都内で開 いた記者懇談会で資金手当てについて「少なくとも今年度については何 の心配もない。すべて確保済み。2000億円のコミットメントライン (融資枠)を持っているが、これも未使用のままで今期は終わる予定」 と強調した。しかし、1年以内に返済・償還予定の借入金や社債、リー ス債務は昨年末時点で計2207億円と、これだけで融資枠を上回ってい る。

社債の発行はできない

マツダの栃尾信義財務本部本部長は13日、ブルームバーグ・ニュ ースの取材に対し、「社債の発行はできない。条件が悪く、格付けが厳 しい」とし、今後の資金調達で社債発行は選択肢にないとの考えを示し た。

新生証券の松本康宏シニアアナリストも「現在の格付けでマツダが 社債を発行しても100億円程度にとどまる。しかも来期以降も市場環 境は厳しいという前提になれば1-1.5%のプレミアが上乗せされて調 達コストも割高になり、公募による資金調達は事実上難しい」とみる。

国内外の格付け機関によるマツダの評価はスタンダード・アンド・ プアーズが「BB」、格付投資情報センターは「BBB+」、日本格付 研究所が「A-」などとなっている。

このため栃尾本部長は、金融危機に対応した日本政策投資銀行など による低利融資を「手元資金を厚くするため、前向きに検討している」 と述べた。さらに尾崎CFOは政策投資銀だけではなく、海外活動の資 金需要で国際協力銀行による制度融資の活用も検討しているという。具 体的な融資要請額は明らかにしていない。

公的融資は乗用車、トラックメーカーのほとんどが活用を表明して いる。自動車部品業界では、公的融資の対象が大手企業に限られるので はないかとの危惧(きぐ)も出ている。すでに国際協力銀には約2カ月 半に実需ベースで3兆-4兆円の要請が殺到。しかし、今年度の融資予 算約1兆5800億円分の枠はほぼ使い切り、来年度の枠も1兆2500億 円と、全社が満額獲得するのは難しい状況だ。

大和住銀投信投資顧問の小川耕一チーフ・ポートフォリオ・マネジ ャーは「マツダは競争力もあるし、地元経済に影響があるので、公的融 資は受けられるだろう」とみている。新生証券の松本氏は「公的融資が 活用できても有利子負債は増えるため、このままの状態が2年続けば格 付けは下がり、条件はさらに悪化する」と指摘する。

環境対応への投資が課題

一方、UBS証券の吉田達生アナリストはマツダに関し、「円高に 自動車需要の落ち込みが重なるという厳しい状況が来期で終わるのであ れば、通常の努力プラスアルファで何とかしのいでいける」としながら も、「その場合であっても、環境・安全対応を含めた将来の技術開発に 対する投資が課題になる」と指摘する。

岡三証券の岩元泰晶アナリストも「環境対応の開発に向けられる資 金が巨大化する中で、マツダより大きい会社でさえ、その調達に苦しん でいる」としたうえで、マツダが単独で開発競争を勝ち抜くのは難しい とみている。

マツダの株価は前日比4円(2.6%)高の159円(午後2時50分 現在)。

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