日立:社長に川村氏、家電や自動車関連を分社-環境・省エネ強化(5)

今期(2009年3月期)に過去最 悪の最終赤字を計上する見込みの総合電機メーカー国内最大手、日立 製作所は16日、社長に川村隆氏(69)が就任する首脳人事を発表した。 会長も兼務する。同時に業績が悪化している自動車関連機器事業と薄 型テレビなど家電事業の分社化も発表、拠点集約・閉鎖や他社との提 携などを進め、収益改善を急ぐ。

川村氏は現在、日立プラントテクノロジー会長兼日立マクセル会 長。日立の古川一夫社長は副会長に、庄山悦彦会長は取締役会議長に それぞれ退く。いずれも4月1日付。川村氏は1962年に日立入社、電 力事業本部長、副社長などの経験がある。

川村氏は同日夕の記者会見で、「スピード経営に取り組みたい」 とした上で、「今後は従来以上に社会インフラへの傾斜が進むだろう。 日立本体は環境・省エネ対応の事業分野を強化する」と強調。分社す る2事業は「他社との提携などを含め、あらゆる可能性を模索するこ とになる」と述べた。

庄山氏は川村氏について、電力事業の成長期に貢献した実績やグ ループ会社の経営経験が豊富で「幅広い経験があり、グループの求心 力を高めるためにもベストな選択」と説明。「この際ベテランで行こ うと考え、何が何でも日立の昔の強みに戻すんだという意気込み」と 語った。

分社化は7月

分社する新会社はともに日立が全額出資して7月1日に設立する。 規模は、自動車関連機器事業が、売上高約2800億円(2010年3月期 見込み)、従業員数は設立時約7600人、家電事業の売上高は約1600 億円(同)、従業員数は同約750人。

一方で、環境や省エネルギーを重点事業と位置付け、「リチウム イオン電池」と「再生可能エネルギー関連」の2事業についてそれぞ れ「推進本部」を4月1日付で設けて強化する。

古川氏は、課題だった薄型テレビ事業の改革やハードディスク駆 動装置(HDD)の収益改善に一定の道筋を付け、10年3月期は営業 利益率5%を目標に掲げた。しかし環境が一段と悪化していることか ら、「直面する危機を乗り越え、日立を再生するためにも人心を一新 したい」と述べた。

自動車不況で打撃深刻

世界的な需要冷え込みで、最大市場の北米の自動車月間販売台数 はゼネラル・モーターズ(GM)が2月は前年同月比53%、トヨタ自 動車が同40%それぞれ減少。パワーステアリングやエンジン制御シス テム、カーナビゲーションなどの関連機器を手掛ける日立も深刻な打 撃を受け、2月には国内工場で2-3月に最大14日間の一時帰休を発 表した。

リストラではすでに、設計・製造拠点の閉鎖を含む国内外の拠点 を10年3月期末までに再編成しコストを削減、世界で85の販売、設 計開発、製造の拠点を半減させる方針を表明済み。

分散している製造拠点のうち、エンジン制御システムは佐和事業 所(茨城県ひたちなか市)、パワーステアリングは秋田工場(秋田県 横手市)にそれぞれ集約。北米の拠点は、ケンタッキー工場に実質的 に統合する。表面加工を行うめっき事業の撤退に伴い、厚木事業所平 塚地区(神奈川県厚木市)を閉鎖する。

家電事業は、08年3月期に約1000億円の損失を計上し、09年3 月期も大幅な赤字が続く薄型テレビの早期黒字化を目指す。パネル基 幹部品の自社生産を終息しパナソニックからの全面調達に切り替える などしてきたが、経営スピードアップや販売体制の見直しに取り組む。

業績悪化を受け期末配当の見送りも決めた。これにより、年間配 当は中間配当を実施した1株当たり3円のみとなる。前期実績は同6 円。

日立製作所株の16日終値は前週末比10円(4%)高の263円。

●川村隆氏(かわむら・たかし)東大工卒、1962年日立製作所入社、 日立工場長、取締役電力統括営業本部長、常務電力事業本部長、副社 長を歴任。2003年日立ソフトウェアエンジニアリング会長、05年日立 プラント建設(現日立プラントテクノロジー)会長、07年に日立マクセ ル会長。69歳。

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