【日本株週間展望】戻り継続、過度の金融不安修正-外国人売りは注意

3月第3週(16-19日)の日本 株相場は、戻り基調が継続する見通し。米国金融機関の経営問題に対す る過度の悲観論が後退しており、買い戻しの動きが相場全体を押し上げ そうだ。政府・与党による株価対策への期待も支えになる。ただ、米金 融機関へのストレステスト(健全性審査)の影響などで、外国人投資家 の売りが継続しており、反発力が限られる可能性もある。

農林中金全共連アセットマネジメント運用部の中村一也次長は、 「一進一退の展開は続くが、月内は下げ過ぎた戻りが継続しそうだ。た だ、外国人の売りが続き、どこで止まるかがポイント」と指摘する。

3月2週(9-13日)のTOPIXは、前の週に比べ0.4%高の

724.30ポイントで終了。一時は698.46ポイントまで下げ、1983年 12月以来の安値を更新する場面があったものの、米金融不安に対する 悲観論が後退し、買い戻しが優勢となった。

1-2月は黒字

「1-2月は黒字だった」――。米銀大手バンク・オブ・アメリカ (BOA)のケネス・ルイス最高経営責任者(CEO)は12日、ボス トンでの講演後に記者団に対しこう述べた。通期についても、黒字の自 信を示し、追加の公的資金なしで金融危機を乗り越えることは可能と強 調した。シティグループ、JPモルガン・チェースと、前週は米銀大手 のCEOによる業績の強気発言が相次ぎ、相場の足を引っ張り続けてき た米金融機関の経営懸念が和らいだ。

金融不安の後退から、12年半ぶりの安値に沈んでいた米S&P 500種株価指数はが前週、前の週末に比べて11%高となるなど米株式 相場は急伸。市場では、「過剰なリスクを考えていた投資家が見方を変 えてきた」(いちよし投資顧問の秋野充成運用部長)との解説が聞かれ、 ショートカバー(売り方の買い戻し)が先行、日経平均は2カ月ぶりに 投資家の短中期的な平均売買コストである25日移動平均線(7488 円)を上回って前週の取引を終えた。

東海東京調査センターの中井裕幸常務は、「米金融機関の問題はす べて解決したわけではないが、状況は徐々に変わってきている。時価会 計の凍結期待なども出ており、悲観論が強かっただけに、買い戻しはし ばらく続きそうだ」と見る。

時価会計見直し論議、国内株価対策

投資家の間で期待が高まっているのが、米金融機関に適用している 時価会計基準の見直しだ。「時価会計による数値は誤解を生んだり、あ まり有益でなくなる恐れがある」――。10日にバーナンキ米連邦準備 制度理事会(FRB)議長が講演で見直しに言及したことで、米金融界 では議論が再燃している。見直しは財務不信につながる可能性があるが、 証券化商品などは取引が成立しなくなっており、時価会計を続けると、 金融不安を長引かせる要因になるためだ。

米ニューヨーク大学スターン経営大学院のヌリエル・ルービニ教授 が1月下旬に発表した試算によると、米金融機関の損失額は3兆6000 億ドル(約320兆円)。時価会計基準の適用を緩和し、損失額が減額 されれば、新たに追加する公的資金の必要額も少なくて済む可能性が浮 上する。今週17、18日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催 されるため、時価会計の見直しを含む金融対策についての言及などに期 待感が高まりそうだ。

政府・与党が検討する株価対策への期待も相場を支えそう。銀行等 保有株式取得機構は11日、銀行と企業の持ち合い株式を買い取る業務 を再開すると発表した。取得枠を20兆円に拡大し、12日から取得する。 東海東京調査の中井氏は、「与党の解散・総選挙の時期が5月になる可 能性が高まる中、政府は節目である日経平均7000円を何としてでも維 持するだろう」との見方を示す。

銀行より外国人保有株取得機構を

もっとも、外国人からの売りは続き、相場の戻りは限定的になりそ う。東京証券取引所によると、3月第1週(2-6日)の外国人の売越 額は東証、大証、名証の1・2部合計で5571億円と、昨年3月2週 (9226億円)以来、1年ぶりの高水準となった。売り越しは8週連続。

ビスタマックス・ファンド・アドバイザーズの藤原正邦CEOは、 「膨張させてきた信用の破裂は実体経済にも影響を与えた。投資家は、 市場に戻ってきてリスクを取れない状況が続いている」と話し、世界的 な信用収縮、資産圧縮の動きは続くとしている。

外国人は2003年以降、日本株を差し引き32兆円買い越した。市 場では、足元は米政府による米金融機関へのストレステストの影響が出 ているとの見方が多い。査定の結果、資本調達が必要と判断された銀行 は6カ月以内に増資をしなくてはならず、バランスシート圧縮の動きが 継続しているためだ。東海東京調査の中井氏も、「こうした外国人の動 きは続こう。目先の相場は極端に弱気に傾いた国内勢の買い戻しで上昇 する可能性はあるが、政府は銀行ではなく、『外国人保有株式取得機 構』を作るべきだ」と提言する。

今週の日本株に影響を与えそうな材料では、17、18両日に日本銀 行が金融政策決定会合を開催、企業に対する支援策などが注目される。 米国では17日に2月の生産者物価指数(PPI)、住宅着工・建設許 可件数、18日に消費者物価指数(CPI)が発表される。

【市場関係者による当面の日本株相場の見方】 ●いちよし証券投資情報部の高橋幸洋課長

「日経平均が相場反転の第1ステップである25日線を先週に回復 したことで、今週は第2ステップである一目均衡表上の日足チャートの 基準線7639円を抜けるかが焦点。ここを抜ければ、弱気派が強気派に 転じるきっかけとなり、相場のセンチメントは転換しそうだ。25日線 で下値を固めながら、75日線の8052円を上値としてもみ合いとなれ ばベストの展開。TOPIXが安値を割り込みながら、日経平均は直近 安値を割らなかった98年型の底入れパターンの期待が出てくる」

●みずほインベスターズ証券投資情報部長石川照久氏

「為替相場の変動幅が大きくなっており、注意が必要。積極的な売 買を見送る向きが増えるのではないか。各国が景気対策を打っているた め売り込む動きが出てくるとは思わないが、景気は1日では回復しない。 株式相場が底を打つのは、企業が来期業績予想を公表する4月から5月 にかけてではないか。底を打ったことを確認してから買えばいい話だ。 株式相場が底を打ったとしても、景気の底打ちはもっと先になる」

●丸三証券の水野善四郎専務

「国内外の政策期待から前週末の流れを引き継ぐ短期的な反発局面 を予想、3月期末を控え配当狙いの買いも強まりそうだ。世界的な景気 の落ち込みが加速し、ことしに入ってからはじわじわと進行する『陰性 の下げ』が続いてきた。ただ、足元の日経平均は昨年6月の高値(1万 4601円)のほぼ半値水準まで沈み、昨秋のリーマンショックから振り 返ると下げのピッチが速過ぎる印象は拭えない。売買代金シェアで5割 を超える外国人投資家のリスク資産の圧縮も限界に近づいている」

--共同取材:河野 敏、長谷川 敏郎、鷺池 秀樹 Editor:Shintaro Inkyo

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