露ガスプロム副社長:日本の電力会社へ投資検討-供給先を確保(3)

ロシア最大の国営エネルギー会社 ガスプロムは、日本の電力会社への投資を検討している。来日中のア ンドレイ・クルグロフ副社長兼CFO(最高財務責任者)が13日、ブ ルームバーグ・ニュースのインタビューで明らかにした。

世界最大の天然ガス埋蔵量を保有するロシアでは2月に、大半を 日本市場向けに輸出する石油・天然ガス開発事業「サハリン2」プロ ジェクトの天然ガス液化設備が始動。クルグロフ氏は、具体的な話は まだないとしたうえで、今月中に液化天然ガス(LNG)の出荷が始 まることで「日本の電力会社への投資の検討を始める良いきっかけに なる」との見解を示した。

LNGを燃料として使用する電力会社と安定的な関係を構築し、 「最終消費者になるべく近づく」(クルグロフ氏)ことが戦略として重 要なため、としている。投資対象として「人々の日々の暮らしに根ざ している事業」は魅力的とも話した。

サハリン2プロジェクトでは、2009年に年間320万トンの液化天 然ガス(LNG)を生産し、10年には同960万トンまで拡大すること を計画している。ガスプロムは、同プロジェクトの事業主体であるサ ハリンエナジーの筆頭株主。当初は、ロイヤル・ダッチ・シェルが過 半数を保有するなど外国企業のみが権益を保有する事業だったが、ロ シア政府の介入で07年にガスプロムが過半数の株式を取得し、経営権 を握った。

現在はガスプロムが50%プラス1株、シェルが27.5%マイナス1 株、三井物産が12.5%、三菱商事が10%、サハリンエナジーの株式を 保有している。東京電力や東京ガス、中部電力など国内電力・ガス会 社9社のほか、韓国ガス公社などがサハリンエナジーとの間で長期の 購入契約を結んでいる。

サハリン1プロジェクト

サハリン1プロジェクトでは、ロシア政府が08年と09年の予算 や事業計画を承認していないとこから、同プロジェクトの一部鉱区の 開発が暗礁に乗り上げている。同プロジェクトの操業主体である米メ ジャー、エクソンモービルは、生産した天然ガスをすべてパイプライ ンで中国へ輸出することを計画している。これに対しガスプロムは、 ロシア産天然ガスを独占的に輸出する権利を持っていることを理由に エクソンに対し全量を販売するよう求めており、交渉はこう着してい る。

クルグロフ氏は、「ロシアの法律に照らし合わせると、ロシア国内 からのガスの輸出は全部ガスプロムがやることになっている。ガスプ ロム以外の企業が、ガス輸出事業に関わってはいけない決まりだ」と 強調。「なんらかの決定を見れば、それを事実として公表したい」と話 した。サハリン2と同様に、サハリン1でも事業の権益を取得する可 能性については、「シナリオは常に複数ある」と含みを持たせた。

同社はLNG輸出事業の一環として、サハリンからハバロフスク を経由して沿海地方のウラジオストクにつながるガス輸送用パイプラ インの敷設を進めている。サハリン2プロジェクト用に建設された天 然ガス液化プラントに次いでロシア国内で2番目の液化プラントをウ ラジオストクに建設し、LNGとして輸出したい考えだ。

3億トンの鋼管必要

クルグロフ氏は、このパイプライン用の天然ガス供給源について は「サハリンのガスだ」と答えるにとどめた。一方で、2011年の完成 を予定しているこのパイプラインの敷設には「約3億トン相当の鋼管 が必要になり、日本から大量に輸入することを考えている」と話した。

日本からの投資を歓迎

現在の金融市場で、「ガスプロムが過小評価されている」と主張す るクルグロフ氏の来日の目的は、国内金融機関、特に銀行関係者との 会合だという。同氏は「日本の投資家に着目している。最も歓迎した いのは、ガスプロムを長期的な投資対象として判断してくれる投資家 だ」と語った。

さらに、当面の設備投資については自己資金で補うことが可能と したうえで、資金調達の手段としては銀行からの融資を柱とする考え を示した。

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