白川日銀総裁:適切な財政政策の発動が必要-金融政策には限界(5)

日本銀行の白川方明総裁は13日午 前、衆院財務金融委員会で、景気が大幅に悪化する中で、日銀の政策 金利の下げ余地が限られていることから金融政策には限界があるとし て、「適切な財政政策の発動が必要」との考えを示した。また、社債の 買入条件を現時点で見直す考えはないとしながらも、「必要であれば、 必要な措置を講じていきたい」と語った。

公明党の谷口隆義氏の質問に答えた。白川総裁は「現在のように ゼロ金利に近く、金融システムに強い緊張がある局面では、大幅な有 効需要の落ち込みに対し、金融面からの対応だけでは限界があり、適 切な財政政策の発動が必要だということは、ローマの7カ国財務相・ 中央銀行総裁会議(G7)の声明にもある通りだ」と述べた。

日銀総裁が「金融政策に限界」があり「財政政策が必要」と述べ るのは異例。野村証券の松沢中チーフストラテジストは「日銀は財政 政策待ちだろう」と指摘。「09年度第1次補正予算の規模や市場の反 応を見て」追加的な緩和策を具体化するのではないか、としている。

白川総裁は一方で、「財政の持続可能性を維持するために、中長期 的な財政規律の確保が重要であること、また、財政の運営に当たって は、中長期的な経済成長に資するべきだという原則も各国で共有され ている」と指摘。「具体的な財政運営の在り方は、こうした基本原則に 照らして、国民の選択として、政府、国会において決定されるという のが私の考えだ」と語った。

社債買入額は大きくならない可能性も

日銀は2月19日の金融政策決定会合で、1兆円を上限にシングル A格相当以上の社債を買い入れることを決定した。しかし、4日行っ た初めての買い取りでは、1500億円の通知額に対し、応札額が449億 円と大幅に下回る「札割れ」となった。

白川総裁は社債買い入れオペで応札額が少なかった背景について 「オペ対象先による買い入れ対象社債の保有金額が少なかったことや、 初回の買い入れなので、様子を見た先があったことが挙げられる」と 指摘。「こうした要件の下で、今後も買入額そのものは大きくならない 可能性がある」と述べた。民主党の鈴木克昌氏の質問に答えた。

白川総裁はその上で「日銀の狙いは、社債市場における資金仲介 機能を大規模に肩代わりすることではない。あくまで証券会社や投資 家が必要な場合に、日銀に保有社債をいつでも売却できるという安心 感をつくり出し、市場における社債売買を促す効果や、金融機関の貸 出余力を拡大する効果を通じて企業金融全体の円滑化に寄与すること を狙った措置だ」と語った。

社債買入条件と株式買入額を変える考えない

社債の買入条件を緩和する考えがあるかという質問に対しては 「現時点でそういう考えはない」としながらも、「最終的に必要なのは 、企業金融をどう円滑化するか、そのためにどういう方法が一番有効 かは常に考えており、その意味ではこれから検討し、必要であれば必 要な措置を講じていきたい」と述べた。

日銀は2月3日、1兆円を上限に銀行保有株式の買い入れを再開 することを決定した。10日現在で買入額は1億1205万円にとどまっ ている。日銀が2002年9月に表明した前回の銀行保有株式買い入れの 上限は当初2兆円、03年3月に3兆円に引き上げられた。今回も買入 額を増額する考えはないか、という質問に対し、日銀の山本謙三理事 は「現時点で増額する考えはない」と述べた。

白川総裁は景気については「大幅に悪化しており、当面悪化を続 ける可能性が高い」と指摘。09年度後半以降に景気は持ち直しに向か うという日銀の見通しについて「大変不確実性が大きい」として、「さ らなる下振れリスクに注意が必要な状況だと認識している」と述べた。

日銀は1月22日の金融政策決定会合で、09年度の実質GDP(国 内総生産)成長率についてマイナス2%という見通し(大勢見通しの 中心値)を示している。白川総裁は足元の経済情勢は「1月時点より 厳しくなっている」と指摘。「必ずしもその数字にこだわらず、経済の 状況が厳しくなれば、それに応じてわれわれの定性的な判断を変えて いき、政策もそれに従って運営する」と語った。

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