【経済コラム】血税をもらった銀行に秘密は許されない-A・ウルナー

政府からの手紙が楽しいニュース をもたらすことはあまりない。弁護士を通じて届けられる場合はなお さらだ。

米銀バンク・オブ・アメリカ(BOA)のケネス・ルイス最高経 営責任者(CEO)と同行お抱えの弁護士は今週、ニューヨーク州の クオモ司法長官とフランク米下院金融委員長から手紙を受け取った。 同行が社外秘としている情報を求める書簡だった。

当局が要求している情報とは、2008年のボーナスとして100万 ドル(約9800万円)以上を受け取った元メリルリンチ従業員の名前 だ。時代は変わったものだ。公的資金を受け取った銀行は、一部の情 報を社外秘とすることも許されないらしい。

それほど遠くない昔、つまり金融機関が景気をどん底に陥れる前、 銀行や証券会社は少なくとも幾らかは秘密を持つことができた。一握 りの経営トップを除いたメリルの従業員がどれほどボーナスをもらお うと、気にする人はいなかった。

しかしそれは、ただでさえ失業や住宅差し押さえの増加、老後に 向けた蓄えの目減りに直面している納税者が、家計の状態を悪化させ る原因を作った張本人の金融機関を救済する羽目になる前の話だ。

さらに言えば、BOAと米政府がメリルを破たんから救った挙句 に、メリルが36億ドルのボーナスを、しかもBOAによる買収が完 了する直前に支払っていたことが判明する前だ。

米国民の思い

というわけで、クオモ長官とフランク委員長は米国民の思いを代 弁して、メリルが従業員約700人に100万ドル以上のボーナスを支 払ったことに不興を示した。メリルの業績は過去最悪だった上に、経 営陣はさらに大きな損失を隠していたのだ。

それでも、政府が同社を救済していなければ、これは国民の知っ たことではなかっただろう。株主は文句を言っただろうが、何を言っ ても効果はほとんどない。

しかし、破たんを回避するために巨額の公的資金を受け取ったな らば、幾つかの質問に答える義務はある。クオモ長官とフランク委員 長は「米国の納税者は自分たちの納めた税金の使われ方を知る権利が ある」と記している。BOAがクオモ長官に何を教えなければならな いかは、裁判所が今週、判断する。

国民はかつて、システムが機能するために幾分の秘密は必要だと の議論を受け入れていた。政府が首を突っ込んだりしない方が、商売 は円滑で効率的に行われ利益も上がる。それは今でも、多くの場合は 真実だろう。

見張っていないと・・・

しかし、私たちは誰も見張っていないと何が起こるかを知ってし まった。高リスクの住宅ローン債権は証券化され、本質的に安全な証 券と銘打たれた。クレジット・デフォルトスワップ(CDS)は規制 当局の目の届かないところで膨れ上がり、当局ばかりか市場参加者に も理解不能となった。格付け会社は、査定するはずだったリスクを見 逃し、保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AI G)は自らを破たんのふちまで追いやった。

そういうわけで、メリルの誰が500万ドルを受け取り誰が3000 万ドルを受け取ったかは国民の知ったことではないとBOAが突っぱ ねようとしても、それは通らない。メリルとBOAは合わせて、450 億ドルの公的資金を受け取っているのだ。税金を使った保証も得てい る。

BOAはこれらすべての借りを、利子を付けて返すと言っている。 もちろん、そうしてもらいたいものだ。しかし、納税者からの助けが なくても生き延びられたふりをするのはやめてもらおう。納税者の懐 もどんどん寂しくなっているのだ。銀行のやることは国民とは関係な いという態度もやめてもらおう。関係は大いにあるのだから。 (アン・ウルナー)

(ウルナー氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニスト です。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

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