三菱重工:新型ガスタービン開発-7000億円規模の受注目指す

三菱重工業は12日、2011年ごろ の出荷開始を目指し新型の高効率ガスタービンの商用化に着手すると 発表した。同社の佃嘉章取締役が都内で会見した。15年ごろまでに、 世界のガスタービン市場でシェアを現在の10%程度を30%程度まで 伸ばし、6000億-7000億円規模の受注を目指す。

同社は今後、年産50台規模の生産体制を整える方針。高砂製作所 (兵庫県高砂市)や海外の生産拠点の増強に数百億円の投資を検討し ているという。佃氏は、設備投資の時期について、世界経済の動向を 注視しつつ「15年ごろをにらみ悩んでいる」と述べた。

今回、三菱重工が開発した「J形ガスタービン」と呼ばれる発電 装置は、熱効率が60%以上で世界最高水準を誇る。出力も約46万キ ロワットと、ガスタービンによる発電と排熱を利用する蒸気タービン を組み合わせた「コンバインドサイクル」方式のガスタービンとして は世界最大。効率が高いことから、石炭を燃料とする従来型の発電機 と比較して、約50%の二酸化炭素(CO2)排出削減が可能になると いう。

従来型との違いはタービン入口温度。既存のタービンより100度 高い1600度の温度に耐えられるコーティング技術を開発するととも に冷却効率を引き上げたことで熱効率を高めることが可能になった。

環境省のデータによると、07年度の日本の温室効果ガス排出量は 13億7100万トン(速報値)。このうち約半分の排出源が発電所となっ ており、同社は、従来型発電装置の半分がこのJ形ガスタービンに置 き換われば、日本全体で6-7%の排出削減が可能と試算している。

先進国諸国が最初のターゲット

佃氏によると、同社が受注の第1段階として照準を定めているの は、米国、欧州、日本などの先進国。その後に、タイなどの東南アジ ア諸国や、旧ソビエト連邦に相当するCIS(独立国家共同体)諸国 など天然ガスが生産されている地域での受注を目指す。

特に、発電所の老朽化が進む米国が、新型タービンの有望な市場 とみている。米国では、環境負荷が高い石炭火力発電所が全発電量の 「65-70%を占める」(佃氏)ことから、景気回復を待ちながら建て替 え需要を取り込んでいきたい考えだ。

みずほインベースターズ証券の東丸英二シニアアナリストは、三 菱重工が現在、年間約30台のガスタービンを生産して4000億円程度 売り上げていることから、新型ガスタービンでの7000億円程度の受注 は「十分可能」と話す。東丸氏は「鍵は米国経済が回復基調に乗るか にかかっている」と指摘した。

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