10-12月GDPは12.1%減に小幅上方修正-需要減による在庫増で(3)

昨年10-12月期の日本の国内総生 産(GDP)2次速報値は前期比年率12.1%減となり、予想に反して 1次速報から上方修正された。需要減少に伴う原材料在庫の増加が上 方修正の主因で、日本経済が厳しい状況にあることに変わりはない。 1-3月期も2けた台のマイナス成長が続く見込みで、4-6月期に どの程度下落率が鈍化するかが焦点となる。

内閣府が12日発表した四半期別国民所得統計2次速報によると、 10-12月期の実質GDPは前期比3.2%減。1次速報は同3.3%減、 前期比年率12.7%減だった。年率換算は2次速報で小幅上方修正され たが、1974年1-3月期の同13.1%減に次ぐ戦後2番目の減少率。ブ ルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査では、10-12月期の実質 GDPの予想中央値は前期比3.5%減、前期比年率13.4%減だった。

10-12月期は世界的な金融危機と経済収縮により、日本経済の成 長のエンジンだった輸出が失速し、それが企業の設備投資や個人消費 にも波及した。企業部門の悪化に伴い今後、雇用・所得環境が一段と 悪化する恐れもあり、政府・与党は2009年度予算の成立後に、大規模 な追加経済対策を打ち出す構えだ。

麻生太郎首相は12日午前の参院予算委員会で、10-12月期GD Pの上方修正について「12.1%に良くなったが内容は良くない。景気 悪化が続いていると基本的に思っている」との認識を示した。

農林中金総研の南武志主任研究員は統計発表後、「上方修正された とはいえ、マイナス成長の幅は極めて大きなものであり、しかも09 年1-3月期にかけても同程度のマイナス成長が見込まれている」と した上で、「国内景気に対する厳しい見方を変更する必要がないのは言 うまでもない」との見方を示した。

意図せざる在庫増

統計発表後の東京外国為替市場の円の対ドル相場は午後零時5分 現在、1ドル=96円77銭。発表直前は同97円41銭近辺で推移して いた。東京株式市場の日経平均株価の午前終値は前日比79円02銭安 の7297円10銭と反落、債券先物市場の中心限月6月物は同11銭高の 138円61銭。

内需の成長率への寄与度はマイナス0.1%と1次速報のマイナス

0.3%から上方修正された。このうち在庫の成長率への寄与度はプラス

0.5%(同プラス0.4%)に上方修正。内閣府の大脇広樹国民経済計算 部長は記者説明で、原材料在庫の増加について「現下の局面では意図 せざる在庫増加」との見方を示す一方、製品在庫については「イメー ジ的には減っている。寄与度ではマイナスになっている」と説明した。

2次速報を受けた全体の評価について、大脇氏は「世界経済の減 速を受け、輸出が大幅に減少し、外需がかなりマイナスに寄与した」 とした上で、「内需についても、設備投資がマイナスになっている。あ まりいい姿ではないという点で(1次速報から)あまり変わりない」 と述べた。

1-3月に在庫は1兆円以上減少へ

内閣府が算出した1-3月期の民間在庫品増加(原材料および仕 掛品在庫)の実質値によると、季節調整済み前期差で計1兆4889億円 減少する。三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミ ストは、この減少だけで1-3月期GDPを前期比0.27%ポイント、 年率1.08%ポイント押し下げると指摘。これはGDP統計上マイナス 要因となるものの、「在庫調整が進んでいると評価したい」としている。

2次速報では、輸出は前期比13.8%減となり、過去最大の落ち込 みを記録した1次速報の13.9%減から小幅上方修正された。輸出から 輸入を差し引いた外需は、成長率への寄与度が1次速報と同じマイナ ス3.0%で過去最悪。内需のうち、民間設備投資は前期比5.4%減と1 次速報の同5.3%減から小幅下方修正され、個人消費は同0.4%減と1 次速報と変わらずだった。

ドイツ証券の松岡幹裕チーフエコノミストは「1-3月期は、08 年10-12月期よりもさらに景気悪化ペースが加速している」と指摘。 さらに、「4-6月期は、2兆円規模の定額給付金によって消費がわず かに回復する余地があるが、それは一過性なので、翌期の大幅な減少 によって相殺されてしまう」との見方を示す。

1-3月GDPも大幅減が確実

三菱総合研究所の後藤康雄チーフエコノミストは発表前、10-12 月期と1-3月期の「大きなポイントは外需だ」とした上で、「1-3 月期のGDPも大きな落ち込みになるのは確実であり、覚悟が必要だ」 と指摘。4-6月期は「輸入が相当減るので、外需の落ち込みが緩や かになる」とする一方、外需悪化が消費や設備投資をさらにどの程度 押し下げるかかが鍵だ」と述べ、プラス成長への復帰は困難と見方を 示した。

第一生命経済研究所の新家義貴主任エコノミストは、「海外経済の 底打ちや在庫調整の進展等を受けて09年7-9月期以降にはプラス 成長に戻ると予想しているが、年度の成長率でみると大幅なマイナス は避けられない」としている。

与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は10日夕の経済財政諮問会 議後の記者会見で、新たな経済対策の策定に際しては「現状認識をは っきりさせるところから物事を進めるべきだ」と強調。実質ゼロ%と している09年度の政府経済見通しについて「プラスになるはずはない ことは分かる」と述べ、マイナスに修正する意向を示した。

内閣府の外郭団体、社団法人・経済企画協会が10日発表した民間 エコノミスト38人対象のESPフォーキャスト調査(回答期間2月 23日-3月2日:回答数36人)によると、09年1-3月期の実質G DPは平均で前期比年率10.41%の減少を見込んでいる。また、09年 度の実質成長率の予想平均はマイナス4.11%、名目でマイナス3.79% となっている。

10-12月期の名目GDP成長率は、前期比1.6%減(1次速報は

1.7%減)、年率換算では6.4%減(同6.6%減)と小幅上方修正された。 また、名目GDPを実質GDPに変換する際に用いられる物価指数で あるGDPデフレーターは、前年同期比0.7%上昇と1次速報の同

0.9%上昇からプラス幅が縮小した。

政府は昨年末に08年度の実質GDPをマイナス0.8%程度とした が、残り1-3月期で同見通しを達成するには前期比5.0%、年率換 算で21.7%増加が必要となり、実現不可能な状況だ。

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