3月11日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国株とNY外為を最新版に差し替えます)

○米国株:米株式相場は小幅続伸。前日のシティグループに続き、J Pモルガン・チェースが1-2月の業績が黒字だったことを明らかに したため、金融危機の最悪期が終わったとの思惑が強まった。

JPモルガン・チェースは4.6%上昇、シティは6.2%高。S& P500種株価指数の金融株指数は2.4%上昇した。ヒューレット・パ ッカード(HP)はUBSアナリストの買い推奨を受けて5.8%上げ た。

S&P500種株価指数は前日比0.2%高の721.36で終えた。ダウ 工業株30種平均は3.91ドル(0.1%)上昇し、6930.40ドルで終了。 エクソンモービルとシェブロンの下げが上値を抑えた。

セキュリティ・グローバル・インベスターズの資産運用担当者、 マーク・ブロンゾ氏は「銀行は実際に利益を上げている。銀行株はか なり売り込まれてきたため、上昇するのに材料はさほど必要ない」と 述べた。

JPモルガンも

主な株価指数はほぼ終日、前日終値を挟んでもみ合った。買いが 先行したものの、エネルギー株とヘルスケア株の下げが相場全体の上 値を抑える格好となった。JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高 経営責任者(CEO)が経済専門局CNBCに対し、1―2月の業績 が黒字だったと述べたため、取引終盤の90分で株式相場は強含んだ。

前日はシティが1-3月(第1四半期)は2007年以来で最良の 業績になるとの見方を示したため、銀行は金融危機を克服していると の楽観的な見方が強まり、急伸した。

モルガン・スタンレーはこの日、8%高。ゴールドマン・サック ス・グループが「コンビクションバイ(強い買い推奨)」銘柄リスト に加えたことが買いを誘った。高水準の自己資本と株価の割安感が理 由。

S&P500種の各種金融指数は4.6%高。全24産業グループで上 昇率首位だった。

両面作戦

ガイトナー米財務長官の発言をきっかけに銀行株は高く始まった。 同長官は10日、PBSテレビの番組「チャーリー・ローズ」とのイ ンタビューで、米銀への資本注入のほか、民間投資家にも公的融資を 提供し、不良資産の購入を後押しする計画を進めていることを明らか にした。この両面作戦は住宅ローン担保証券(MBS)の取引を再活 性化するのが狙い。

長官はまた、「金融システムにおける利用可能な資本、銀行が不 良資産の処理を開始するための動機付け、投資家が不良債権を購入す る資金を賄う仕組みを確保する必要がある」との考えを示した。

地銀のマーシャル・アンド・イルズリーとザイオンズ・バンコー プもそれぞれ急伸した。モルガン・キーガンのアナリストが「極度の 割安感」を理由に、株価には「上値余地がかなりある」と指摘したこ とがきっかけ。

歳出法案可決

HPは5.8%上昇。買いを推奨したUBSは「長期的な観点の投 資家は恩恵を受ける」との見方を示した。

米議会が総額4100億ドル(約40兆円)規模の一括歳出法案を可 決したことも朝方の買い材料となった。法案には内需拡大策やキュー バに対する経済制裁の緩和、「ひも付き予算」と呼ばれる数千に及ぶ 議会のプロジェクトも含まれた。

モルガン・アセット・マネジメントで300億ドルの運用に携わる ウォルター・ヘルウィグ氏は「これまで多くの短期的な上昇局面があ った。弱気相場の中で大きな上げが見られると、弱気相場の中の上昇 局面に入るのか、それとも下落局面に戻るのか、判断する期間が3- 5日ある場合が多い」と述べた。

エネルギーやヘルスケアは安い

S&P500種のエネルギー株指数は2%、ヘルスケア株指数は

1.2%それぞれ下げ、相場全体の足を引っ張った。

原油相場は7.4%安のバレル当たり42.33ドルで取引を終了した。 米エネルギー省が発表した原油在庫統計で予想以上の増加が示され、 燃料消費が過去2カ月間での最低に落ち込んだことが売り材料。

医薬品卸売りのマッケソンは17%安。ドイツ銀のアナリスト、 ロス・ムケン氏はドラッグストアの破たんで利益が1株当たり最大で 50セント押し下げられるリスクがあるとの見方を示した。また、同 業のカーディナル・ヘルスとの競争も理由に挙げた。

カーディナルは9.8%安、アメリソースバーゲンは9.7%下落し た。

○米国債:米国債相場は上昇。午後に入って財務省が実施した10年 債入札(発行額180億ドル)で、最高落札利回りが3%を超えたのが 買いを誘った。財務省は今週、計630億ドルの国債入札を実施する。

10年債利回りは前日比8ベーシスポイント(bp、1bp=

0.01ポイント)下げて2.92%。10年債の入札結果によると、最高落 札利回りは3.043%と、過去4カ月間での最高を記録した。30年債利 回りは6bp下げて3.66%だった。利回りは一時、11月25日以来の 高水準となる3.7622%まで上昇した。財務省は12日、30年債入札 (110億ドル)を実施する。

モルガン・スタンレーの米国債・機関債チーフストラテジスト、 ジョージ・ゴンキャルベス氏は「入札後の市場の強さを測ると、利回 りが3%超まで押し上げられた事実は、明らかに10年債の投資妙味 を高めた。3%の利回りは10年債にとって突破の困難な水準になり つつある」と語った。

米政府は景気回復を促し、過去最大規模の財政赤字に対応するた め、前例にない規模の借り入れを余儀なくされている。ゴールドマ ン・サックス・グループは、今年の米国債発行額は前年比ほぼ3倍の 2兆5000億ドルに達すると予想している。

米国債の投資妙味

長期債の利回りは、ドルの借り入れコストが上昇しているにもか かわらず低下した。世界的なリセッション(景気後退)が深刻化して いるほか、中央銀行が金融機関支援措置を講じているにもかかわらず 政府救済を求める金融機関が絶えないのが背景だ。

英国銀行協会(BBA)によると、3カ月物LIBOR(ロンド ン銀行間取引金利)は1.33%と、1月8日以来の高水準付近で推移 した。3カ月物LIBORとオーバーナイト・インデックス・スワッ プ(翌日物無担保コールレートと固定金利を交換する金利、OIS) のスプレッド(利回り格差)は1月9日以来の最大に拡大した。

ドル建て3カ月物LIBORと同年限の米財務省証券利回りとの 格差である「TEDスプレッド」は110bpに拡大。2月10日の時 点では91bpだった。2002年から2006年まで同スプレッドは平均

0.27ポイントだった。

ホイジントン・インベストメント・マネジメントのチーフエコノ ミスト、レーシー・ハント氏は「この環境ではまだ、米国債が一番の 投資先だ。ボラティリティーへの準備ができている投資家はこの先数 年間、米国債投資で大きく報われるだろう」とコメントした。

10年債入札

この日入札があった10年債は、前回発行の10年債と銘柄統合さ れる。

投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.14倍と、前回(2月11 日)の2.21倍を下回った。

外国中央銀行を含む間接応札が落札全体に占める割合は23.9% で前回の37.8%から低下した。プライマリーディーラー(政府証券 公認ディーラー)の同割合は73%、前回は60.4%だった。直接応札 が落札全体に占める割合は3.1%だった。

○NY外為:ニューヨーク外国為替市場では、ドルが対ユーロで2週 間ぶり安値を付けた。銀行危機が緩和しつつあるとの思惑から、逃避 先としてのドル需要が後退した。

ノルウェー・クローナは上昇。世界の株式市場も1カ月ぶりに2 日続伸した。ユーロは対スイス・フランで上昇。ドイツ経済技術省が 11日発表した1月の製造業新規受注指数は前月比8%低下し、エコ ノミスト予想の4倍の落ち込みとなったが、高利回り資産に対する需 要がこの影響を上回った。

ゲイン・キャピタル傘下FOREX・ドット・コム(ニュージャ ージー州ベドミンスター)のチーフ為替ストラテジスト、ブライア ン・ドーラン氏は「極めて悪い状況の中で、市場参加者はわずかな好 材料を探して何とかしようとしている。現状は長期保有には適してい ない。急速に売りに転換する態勢を整えておくべきだ」と指摘した。

ニューヨーク時間午後4時23分(日本時間午前5時23分)現在、 ドルの対ユーロ相場は1ユーロ=1.2845ドルと、前日の1.2682ドル から1.3%下落。一時は1ユーロ=1.2864ドルと、2月25日以来の 安値を付けた。円は対ユーロで0.2%上げ1ユーロ=124円89銭(前 日は125円13銭)。一時は0.5%下げる場面も見られた。円は対ド ルで1.5%上げ1ドル=97円22銭(前日は98円67銭)。

ユーロは対スイス・フランで0.6%上昇。ドイツの1月製造業受 注は前年同期比で38%低下し、東西ドイツ統一後の1991年に統計が 始まって以来で最大の下げを記録した。

主要6通貨のバスケットに対するICEのドル指数は87.868と、 前日の88.927から1%下げた。3月4日には89.624と、2006年4 月以来の高水準まで上昇した。

それでも、経済危機の中、ドルの調達コストは依然としてここ2 カ月で最高となっている。

先進国23市場で構成するMSCI世界指数は0.3%上昇。一時 は2%上昇する場面も見られた。

ウォンが上昇

韓国ウォンはドルに対して今年最長の4日連続上昇。同国がドル 調達に行き詰まるとの懸念が緩和されたことが背景。ソウル・マネ ー・ブローカレッジ・サービシズによると、ウォンは対ドルで2.7% 上昇。アジア株の上昇が背景となった。

円は対ドルで2日続伸。円は3月5日には1ドル=99円68銭と 4カ月ぶりの安値を付けていた。

円高観測が後退

ブルームバーグが世界の端末ユーザーを対象にまとめた3月の調 査によると、向こう半年の間に円相場が上昇するとの見方は急速に後 退した。昨年10-12月期の日本の国内総生産(GDP)1次速報値 は第1次石油危機直後の1974年以来の下落率となったことが背景。

3637人のユーザーを対象とした調査によると、円についての見 方は昨年8月以来で最低。円についての指数は2月から26%低下し た。一方、スイス・フランについての見方は調査開始以来で最も強気 となった。

ドルはこの1カ月ではスイス・フランを除く主要16通貨に対し て上昇している。世界的なリセッション(景気後退)深刻化を受け、 世界の準備通貨としての需要が増えたことが背景。

○英国債:英国債市場では、5年債と10年債の各相場が続伸した。 イングランド銀行(英中央銀行)が初の国債買い切りオペを実施した ことがきっかけ。

英中銀はこの日、量的緩和策の一環として、20億ポンド相当の 英国債を購入した。英中銀が5日に向こう3カ月で750億ポンドの資 産買い取りを実施する計画を明らかにして以来、10年債利回りは0.5 ポイント余り低下している。

カリヨンの債券ストラテジスト、オーランド・グリーン氏(ロン ドン在勤)は、「ほどほどの反応があり、市場関係者は結果に満足し ているだろう」と述べた上で、「これ以上の結果となる余地があった のは明らかだ」と付け加えた。

ロンドン時間午後5時19分現在、10年債利回りは前日比2ベー シスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し3.09%。同国債(表 面利率4.5%、2019年3月償還)価格は0.22ポイント上げ112.05。 5年債利回りも2bp下げ2.15となった。2年債利回りは1.38%。

○欧州債:欧州債相場は下落し、ドイツ10年債相場は3営業日連続 安となった。独政府が63億ユーロ規模の国債入札を実施したのに加 え、欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、メルシュ氏が行 き過ぎた低金利の利点に疑問を呈したことがきっかけとなった。

メルシュ氏の発言を受けて、独2年利回りは約1週間ぶりの高水 準を付けた。この日のドイツの国債入札を含め、欧州の各国政府は今 週、最大200億ユーロ相当の国債入札を予定している。株式相場が上 昇したことも、国債相場への重しとなった。

野村インターナショナルの欧州金利戦略責任者、チャールズ・デ ィーベル氏(ロンドン在勤)は「供給が国債相場への重しとなってお り、今週いっぱいは引き続き材料視されるだろう」と語った。

ロンドン時間午後3時40分現在、10年債利回りは前日比6ベー シスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上昇し3.06%となっ た。同国債(表面利率3.75%、2019年1月償還)価格は0.55ポイン ト下げ105.74。2年債利回りは4bp上げ1.35%。

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