「グラス・スティーガル法」復活も-業務の垣根撤廃が危機の一因

商業銀行業務と証券業務の兼営を 禁じた米グラス・スティーガル法が1999年に廃止されて10年が経過 したが、その亡霊が再び金融業界に舞い戻ってきた。

米大統領経済回復諮問委員会のボルカー委員長(元米連邦準備制 度理事会=FRB=議長)と米連邦預金保険公社(FDIC)のベア ー総裁のここ1週間の発言は、グラス・スティーガル法の廃止で新規 参入が認められた分野に銀行がとどまり続ければ、犠牲が一段と大き くなることを示唆するとアナリストらは受け止めている。

サンフォード・C・バーンスティーンのアナリスト、ブラッド・ ヒンツ氏はブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで、「資 本市場のルールは変わろうとしている」と指摘。銀行が投資資金を借 り入れたり、「流動性のない市場で取引したりすることがますます困 難になるだろう」と述べた上で、ヘッジファンドは新興市場やディス トレス証券などリスクの高い分野の取引をますます引き受けることに なると予測した。

政策当局者や政治家らの間では、グラス・スティーガル法の廃止 によって、貸し出しや預金受け入れなど日常的な銀行業務と、デリバ ティブ(金融派生商品)取引のような高リスク分野との業務の垣根を 取り除いたことが現在の危機を招く一因になったとの見方が出ている。

リスクテイク制限案

経済回復諮問委のボルカー委員長は6日、ニューヨークで開かれ た会議で、金融システム全体に与える影響から見て最も重要な金融機 関についてはリスクテークを制限する「2層構造の」金融システムを 提唱。また、FDICのベアー総裁は8日放映されたCBSとのイン タビューで、米議会は大手行の規模縮小に動くべきだとの考えを示し た。

バーナンキFRB議長もワシントン時間10日午前8時半(日本時 間同日午後9時半)、講演で金融業界規制の抜本的見直しについて意 見表明する。オバマ大統領は側近に対し、議会と協力して金融関連規 則の改正案を数週間以内にまとめるよう指示している。

また、米金融大手モルガン・スタンレーのジョン・マック最高経 営責任者(CEO)は2月23日、「過去の事業分野は一部縮小される だろう」と語った。

商業銀行は投資銀行と競おうとするなかで、より大きなリスクを 引き受けたり、必要な自己資本を引き下げられるよう簿外に金融会社 を設けた。一方、投資銀行は企業向け融資に一段と積極的になり、証 券・不動産投資のために自己勘定の借り入れを増やした。

ボルカー委員長は1月、グラス・スティーガル法廃止で設立が可 能になった金融コングロマリットは「管理不能だ」と指摘し、伝統的 な商業銀行業務を「非常にリスクの高い資本市場での活動」と兼営す べきではないと強調した。

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