武藤前日銀副総裁:緊急時の日銀の株買いは政策として価値ある(4)

前日本銀行副総裁の武藤敏郎大和 総研理事長は10日午後、ブルームバーグの東京支局で講演し、米国経 済や米国の株価が極端に落ち込んだ際の危機回避策として、銀行等保 有株式取得機構や日銀が国内の株価下支えのために株式を買い入れる ことは「政策として十分価値」があり「正当化される」と語った。

講演は産経新聞とブルームバーグの主催、徳間書店の後援で行わ れた。政府が銀行と企業の持ち合い株を買い取り、市場への影響を抑 える目的で設立された「銀行等保有株式取得機構」の業務再開に関す る法律は4日、国会で成立。早ければ週内にも買い取りを再開する。 一足先に株買い取りを再開した日銀の実績はゼロにとどまっている。

武藤氏は政府など当局による株式の買い入れについて「株価を引 き上げる効果が本当にあるのか、そう簡単ではない。あまりに特異な 株式市場をつくってしまい、政府当局の意向によって日本の株が変わ るというふうになったとき、投資場所としての評判を非常に落として しまう。株は市場に任せるのが非常に重要だ」と述べた。

武藤氏は「ただし、米国が極端なことになったときのルールは平 常時と同じルールで考えないという意味で、時価評価も場合によって は再考するかもしれないというレベルまで来た段階であれば、株の下 支えのための株式買取機構の発動や、あるいは日銀が株を買うという ことは政策として十分価値がある」と語った。

武藤氏はその上で「しかし、いつまでも続けることはできないの で、そういう危機回避のための手段としてのみ正当化されるのではな いか」と述べた。10日の東京株式相場は3日続落し、日経平均株価、 TOPIXとも終値でのバブル経済崩壊後の安値を連日で更新した。

09年度成長率はマイナス3%がコンセンサスに

武藤氏は日本の実質GDP(国内総生産)成長率については、大 和総研の2008年度マイナス2.9%、09年度マイナス4.4%、10年度プ ラス0.4%という予測を紹介した上で、「客観的に見てこの見通しは調 査機関の中では下の方にあるが、09年度は平均するとマイナス3%く らいがコンセンサスになりつつある。いずれにしても大変厳しい状況 だ」と述べた。

その上で「10年度はプラス成長を予測しているが、プラス0.4% という数字からも分かる通りV字型の回復は望むべくもなく、L字型 に近い回復となるだろう」とし、成長率は底ばいが続くとの見方を示 した。

武藤氏はまた、「米国では巨額の財政赤字がある程度長期化すると 見ざるを得ない」と指摘。米連邦準備制度理事会(FRB)のバラン スシート拡大と合わせ、その帰結として「長期金利の上昇なのか、ド ル安なのか、頭に置いておかなければならない」と述べた。

さらに、生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)前年比上 昇率については「まもなくマイナスになり、資源価格が横ばいで推移 すれば夏にはマイナス2%に達する」と述べた上で、「日本はインフレ よりデフレの方が心配だ」と語った。

--共同取材:長谷川 敏郎 Editor:Masaru Aoki,Hitoshi Ozawa

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