3月9日の海外株式・債券・為替市場(2)

(米国株を最新版に差し替えます)

○米国株:米株式相場は反落。資産家ウォーレン・バフェット氏が米 経済は「がけから転落した」と発言。世界銀行が8日公表した報告書 で、今年は世界的にマイナス成長に陥る可能性が高いと指摘したこと もあり、売りが優勢になった。

ヒューレット・パッカード(HP)やデュポン、ベライゾン・コ ミュニケーションズが急落。シェリング・プラウを411億ドル(約4 兆700億円)で買収することで合意したメルクは7.7%下げ、構成す るダウ工業株30種平均を押し下げた。UBSが投資判断を売りに設 定した補完医療保険のアフラックは15%安。

S&P500種株価指数は前週末比1%安の676.53と、終値ベー スで1996年9月以来の安値を付けた。売り買いが交錯し、一時

1.5%安となったが、1.7%上昇する場面もあった。ダウ工業株30種 平均は79.89ドル(1.2%)下落し、6547.05ドルで終了した。

ルーミス・セイルズ(ミシガン州ブルームフィールドヒルズ)で 資産運用に携わるデービッド・ソワビー氏は「不透明感が市場を支配 している。S&P500種の底は見えない」と語った。

米ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授は9日のインタビ ューで、S&P500種が今年、600以下に落ち込む可能性が高いと指 摘。メリルリンチのエコノミスト、デービッド・ローゼンバーグ氏は 同水準まで下げ、10月に底入れすると予想した。

HPは5.1%安、化学のデュポンは4.3%下げた。ベライゾンは 4%下落した。

アフラックは15%安。UBSは投資判断を「中立」から「売 り」へ引き下げた。同業他社に比べ、株価に割高感があるとの見方が 理由。

薬品業界

メルクはダウ平均の構成銘柄で下落率首位。買収により、すでに シェリングと提携しているコレステロール降下剤「ゼティア」と「バ イトリン」を完全に手中に収める。シェリング株は14%高。

キャリスのアナリスト、デービッド・モスコウィッツ氏は今回の 買収で業界再編が進む可能性があるとみている。ファイザーは1月に 同業のワイスを約680億ドルで買収することで合意した。9日付のウ ォールストリート・ジャーナル紙によると、ジェネンテックは最大株 主であるスイスの製薬大手ロシュ・ホールディングに467億ドルで身 売りすることで合意に近づいている。

ジェネンテックは2%高、ロシュは3.4%上げた。

景気認識

米保険・投資会社、バークシャー・ハサウェイを率いるウォーレ ン・バフェット氏は9日、米経済専門局CNBCとのインタビューで、 米経済は「がけから転落した」と発言した。また、回復に向けた景気 刺激策の結果、インフレ率が1970年代よりも高くなる可能性がある との見方を示した。

世銀は世界経済が今年、第2次世界大戦後初のマイナス成長とな る可能性が高く、世界貿易は過去80年間で最大の落ち込みとなると の見通しを示した。世銀の予測は、国際通貨基金(IMF)が1月に 発表した成長率予想のプラス0.5%よりも悲観的。ただ、世銀は具体 的な数字は明示しなかった。

BB&Tアセット・マネジメントの資産運用担当者、ロン・リム クス氏は「値動きは引き続き非常に荒いだろう。経済状況という点で は何も良いニュースがない」と指摘した。

バリュー投資

割安な銘柄に投資するバリュー投資の父と称された故ベンジャミ ン・グレアム氏が存命なら、S&P500種が過去1年5カ月で56%の 下落を演じたものの、米株式相場は依然として割高だと言うだろう。

グレアムは株価の評価尺度となる企業収益のひずみを平たん化す るため、10年間の利益を評価に使用した。エール大学のロバート・ シラー教授によると、この手法に基づくS&P500種の株価収益率 (PER)は現在13.2倍。1929年以降の最も深刻な3回のリセッシ ョン(景気後退)の底では、PERは10を下回っており、その水準 に達するにはS&P500種はあと27%下落する必要がある。

1年間の業績や収益見通しを基にした投資手法では株価の継続的 な下落で痛手を被っている。ブルームバーグが集計したデータによる と、S&P500種の過去1年の業績を基にした株価収益率(PER) は1月7日時点で16.2倍と、少なくとも1998年以降で最低だった。 しかし、S&P500種はその後も最大で25%下げ、12年ぶりの安値 を付けた。

金融株は上昇

S&P500種の金融株指数はこの日、2.5%高。前週末に付けた 約17年ぶりの安値(終値ベース)から戻した。2007年2月に付けた 最高値からの下落率は84%と、2000年3月以降のハイテク株の下げ を上回った。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)株は19%上昇。構成するダ ウ平均で上昇率トップとなった。事情に詳しい関係者はBOAが米連 邦預金保険公社(FDIC)の保証する社債を85億ドル相当発行す ることを明らかにした。

アクシオム・キャピタル・マネジメント(ニューヨーク、運用資 産11億ドル)のリアム・ダルトン最高経営責任者(CEO)は「融 資にとって非常に重要な大手の金融機関が社債発行計画を進めること は良い兆候だ。信用市場が正常に機能すれば、実体経済や市場全体も 幾らか安定できるとの安ど感につながるだろう」と述べた。

7日付の投資週刊紙バロンズは景気がいったん回復すれば、BO Aは「強力な業績」を得るとの見解を示した。

ゼネラル・エレクトリック(GE)は5%高。金融部門は米政府 の暫定流動性保証プログラム(TLGP)の下、社債を発行するため に銀行5行と契約した。

○米国債:米国債相場はほぼ変わらず。今週は米財務省が予定する 630億ドルの中・長期国債の入札が控えている。

財務省は10日に、340億ドルの3年債入札を、11日と12日にそ れぞれ10年債(180億ドル)と30年債(110億ドル)の入札を実施 する。

BNPパリバ・セキュリティーズの金利ストラテジスト、サブラ ト・プラカシュ氏は「入札の予定が詰まっている。指標となる6種の 国債の入札を毎月6度実施する。市場参加者は供給拡大にうんざりし てきた。債券相場に圧力が加わりつつある」とコメントした。

BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時 間午後4時20分現在、10年債利回りは前営業日比ほぼ変わらずの

2.88%。10年債(表面利率2.75%、2019年2月償還)価格は1/32 下げて98 28/32。30年債利回りは3ベーシスポイント(bp、1b p=0.01ポイント)上昇して3.59%。

世界銀行の見通し

世界銀行は8日公表した報告書で、世界経済は今年、第2次世界 大戦後初のマイナス成長となる可能性が高いと指摘、先進国よる国債 増発を招き、「多くの発展途上国の借り手を追い出す」恐れがあると 述べた。

BMOキャピタル・マーケッツのジャスティン・ホーゲンドーン 最高投資責任者(CIO)は「世界の状況をみると、多くの政府が大 規模な国債発行を実施している。問題は市場が供給を消化できるかど うかだ」と語る。

2年債と10年債の利回り格差は1.91ポイント、昨年12月31日 時点の1.45ポイント。投資家が短期債を選好しているのが示唆され た。

モルガン・スタンレーの債券ストラテジスト、ケビン・フラナガ ン氏は、景気が回復し始めると、利回り格差は最大2.75ポイントま で拡大する可能性があると指摘する。

フラナガン氏は「景気が緩やかな回復の兆しをみせるか、あるい は国内総生産(GDP)のプラス成長が記録されても、連邦公開市場 委員会(FOMC)はすぐに利上げを決定することはないだろう」と 語った。

2年債への投資

メリルリンチのデータによると、米国債投資の年初からのリター ンで、2年債だけがプラスを維持している。

ニューヨーク・ライフ・インベストメント・マネジメントのトー マス・ジラルド氏は「今は堅実に守りを固めている市場参加者が勝者 となる環境だ。2年債の保有はリスクを低く抑えて、投資利益を得ら れる道だ」と語った。

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が最初に米国債 買い取りの可能性に言及したのは昨年12月1日。同議長は7日、サ ウスカロライナ州ディロンでの式典で、「金融の安定回復と健全な経 済成長を支援するために必要な限り、われわれは用いることができる すべての手段を強力に展開し続けるだろう」と語った。

○NY外為:ニューヨーク外国為替市場では、円がドルとユーロに対 して下落。1月の日本の経常収支が13年ぶりに赤字転落したことを 受け、逃避通貨としての円需要が後退した。

ポンドは1月以降で初めて1ポンド=1.38ドルを割り込んだ。 英政府が英銀ロイズ・バンキング・グループの持ち分を最大75%に 引き上げることで合意したことがきっかけとなった。ドルは大半の主 要通貨に対して上昇。世界的不況が深刻化する中で、逃避先としての ドル需要が強まった。

ナショナル・バンク・オブ・カナダの外国為替担当マネジングデ ィレクター、ジャック・スピッツ氏(トロント在勤)は「日本の貿易 赤字が過去最大に膨らんだうえ、経常収支も13年ぶりに赤字転落し たことで、円が圧迫された。円とポンドはともに弱含んでいるが、ど ちらがより軟調となるかはまだ分からない」と語った。

ニューヨーク時間午後4時03分(日本時間午前5時03分)現在、 円の対ドル相場は1ドル=98円84銭と、6日の98円25銭を0.6% 下回っている。対ユーロでは1ユーロ=124円61銭と同124円34銭 から0.2%下落した。一方、ユーロの対ドル相場は0.4%下げ1ユー ロ=1.2608ドル(6日は1ユーロ=1.2653ドル)。

カナダ・ドルは米ドルに対して一時1.5%下げ、2004年9月以来 の安値を付けた。カナダ・ドルは2008年に18%下げ、記録的な下落 率となった。世界的な景気後退を受けて商品への投資需要が激減した ことが背景となった。同国では輸出収入の約半分を商品が占めている。

世界銀行が8日公表した報告書によると、世界経済は今年、第2 次世界大戦後初のマイナス成長となる可能性が高く、世界貿易は過去 80年間で最大の落ち込みとなるとの見通しを示した。

ドル指数

主要6通貨のバスケットに対するICEのドル指数は0.6%上昇 し、89.007。同指数は先週89.624と2006年4月以来の高水準まで上 昇した。S&P500種株価指数は1%低下。先週はここ3カ月で最大 の落ち込みとなっていた。ダウ・ストックス600指数も1%下げた。

ポンドは主要16通貨に対して下落。英政府はロイズ・バンキン グ・グループの経営権を握るとともにリスク資産2600億ポンド(約 36兆円)を保証することで同行と合意した。ポンドは対ドルで一時

2.5%下げ1ポンド=1.3743ドルと1月26日以来の安値を付けたほ か、対ユーロでも1.8%安い1ユーロ=91.47ペンスまで下げた。

円はドルとユーロに対して下落。日本の財務省が発表した1月財 政収支が1728億円の赤字となったことが背景。赤字額は比較可能な 統計が開始された1985年以来で最大となった。

多額の経常赤字

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ニューヨーク)の通貨戦略世 界責任者、マーク・チャンドラー氏は9日、「経常赤字は驚くほど多 額であり、日本経済の縮小ペースが減速する兆しはまるで見られな い」との見解を示した。

BNPパリバの通貨ストラテジスト、アンドルー・シャベリア氏 (ニューヨーク在勤)によると、ドル・円の相対力指数はドルが依然 として買われ過ぎ状態にあり、今後3-5日間で1ドル=100円まで 円安が進む可能性は低いことを示唆している。

シャベリア氏は「今日1ドル=99円を大幅に超えなければ市場 参加者は苛立つかもしれないが、長期的に見ればドルはいずれ上昇す る」と述べた。

○英国債:英国債相場は下落。2年債利回りは前週末比8ベーシスポ イント(bp、1bp=0.01%)上昇し1.33%となった。同国債 (表面利率4.25%、2011年3月償還)価格は0.17ポイント下げ

105.71。

10年債利回りは3.13%と、前週末を7bp上回った。一時は

2.95%まで低下し、ブルームバーグがデータ集計を開始した1989年 以来の低水準を付ける場面もあった。

カリヨンの債券ストラテジスト、オーランド・グリーン氏(ロン ドン在勤)は「利回りが上昇すると見込んでいる。英国債相場が上昇 し続ける余地はそれほどないと見られる。インフレ圧力は大幅に低下 していくと予想している」と語った。

○欧州債:欧州債市場ではドイツ2年債相場が下落。欧州の各国政府 が少なくとも120億ユーロ相当の国債入札を今週予定しているのに加 え、欧州中央銀行(ECB)当局者が追加利下げの有効性について疑 問を投げ掛けたことが背景。

ECBのシュタルク理事が余りにも低過ぎる水準への利下げが金 融危機を悪化させる恐れがあるとの見解を示したことを受け、独2年 債利回りは1週間余りで最大の上げとなった。ドイツが11日に最大 80億ユーロの新債を予定しているほか、オランダとオーストリア、 イタリアも国債入札を今週に計画している。

BNPパリバの欧州債券ストラテジスト、アレッサンドロ・テン トリ氏(ロンドン在勤)は「国債消化に問題はないとみられるが、市 場関係者は新発債供給を前に持ち高調整して購入余地を確保してい る」と述べた。同氏はさらに「シュタルク理事発言に加え、ECBが 利下げ継続の代わりに非伝統的な措置を講じることを余儀なくされる との観測を背景に、短期債のパフォーマンスが悪かった」と付け加え た。

2年債利回りは一時、前週末比10ベーシスポイント(bp、1 bp=0.01ポイント)上昇し、先月26日以来の高水準となる1.27% を付けた。ロンドン時間午後5時20分現在は1.26%。同国債(表面 利率2.25%、2010年12月償還)価格は0.16ポイント下げ101.69と なった。

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