東京外為:ドルが上下に振れる、米経済不安と資金還流の思惑が交錯

週明けの東京外国為替市場ではド ルが上下に振れる展開となった。雇用情勢の悪化を受け、米経済の先 行き不安が高まる一方、世界的な景気悪化で米国への資金還流が継続 するとの見方もくすぶり、ドルは方向感の定まらない相場展開が続い た。

ドル・円は1ドル=97円90銭から98円52銭の間で乱高下。日 本の1月の経常収支が1996年1月以来、13年ぶりに赤字に転落した ことを受け、円売りが進む場面も見られたが、ドルの上値は重かった。

ユーロ・ドルも一時、1ユーロ=1.2727ドルまでユーロ買い・ド ル売りが先行。欧州中央銀行(ECB)当局者が過度の利下げをけん 制したことがユーロ買いを後押ししたが、アイルランドの格下げ懸念 など欧州経済の先行き懸念が根強いなか、午後には早朝の水準を下回 る1.26ドル台前半までユーロ売りが進んだ。

三菱UFJ証券クレジット市場部為替課長の塩入稔氏は、「ずっ とリスク回避のドル買いというキーワードできたが、ドル・インデッ クスをみてもそろそろドルの上昇は限界にきた感がある」と指摘。そ の上で、「今週は少しドル安に転換するような動きが出るかどうかが 注目され、そういう意味ではドル・円よりも対欧州通貨で動きが出て くる可能性がある」一方、「株が落ちているうちは、なかなかドル売 りとはなりにくい」とみている。

米株動向を注視

今週は米国で12日に2月の小売売上高、13日に1月の貿易収支 が発表される。6日に発表された2月の米雇用統計では、非農業部門 雇用者数の減少幅が3カ月連続で60万人を上回ったほか、失業率が

8.1%と1983年12月以来の高水準に上昇。雇用の悪化が進むなか、個 人消費や輸入の減少が予想以上のペースで進んでいるかが注目される。

もっとも、景気悪化の深刻化懸念から米国株が下落すれば、「レ パトリエーション(自国への資金回帰)に伴うドル買い需要」(ソシ エテ・ジェネラル銀行外国為替本部長・斉藤裕司氏)の思惑を強める 可能性もある。

一方、塩入氏は「リスク回避以上にドルをポジティブに買おうと いう向きは恐らくいない」と指摘。米国株もかなり下げ過ぎている感 があり、多少の底堅さが出てくれば、「リスク回避のドル買い」にも 一巡感が出てくる可能性があるとみている。

日本の経常収支、13年ぶり赤字転落

日本の財務省が9日発表した1月の国際収支状況(速報)による と、経常収支は1728億円の赤字となった。このうち、貿易収支は8444 億円の赤字で、赤字は3カ月連続。世界的な株安や円高の進行により 所得収支の黒字額も前年同月比31.5%減の9924億円と4カ月連続で 縮小した。

国際収支以外にも、今週は国内で1月の機械受注(11日)や昨年 10-12月の国内総生産(GDP)の2次速報(12日)が発表される。 日本の悪材料については2月中旬以降の円安進行で織り込まれた可能 性もあるが、指標結果が予想を大幅に下回った場合には円売り圧力が 再び強まる場面も予想される。

経常収支の赤字転落を受け、ユーロ・円は一時、1ユーロ=125 円3銭まで円売りが進行。しかし、日本株の下落を背景に「クロス円 (ドル以外の通貨の対円相場)の売りが出た」(塩入氏)といい、午 後には一時、123円98銭までユーロ売り・円買いが進んだ。

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