米経済に「恐慌」の様相強まる、市場は30年代と同じ教訓導く可能性

米経済のバイタルサイン(生命兆 候)からは現在の病が「恐慌」であるとの診断を下すことはできないか もしれないが、それを示唆する症状は増えている。

大恐慌の時と同じく、世界貿易は大きく落ち込み、資産の消失や金 融システムの崩壊が進んでいる。企業の給与削減や値下げ、減産に伴い デフレの脅威が拡大しつつある。そして世界の指導者は、終わりの見え ない下降局面の阻止に苦労している。

米カリフォルニア大学バークレー校のバリー・アイヒェングリーン 教授は、大恐慌前夜の「1929-30年を、われわれはたどっている」と 指摘した。

その結果、現在の景気収縮は大恐慌の時と同じく、米経済と社会に 長期にわたって影響を残す可能性がある。30年代の大恐慌の後、米国 民は株取引を控え、自己資源は温存し、政府に助けを求めた。いまの世 代も、自分が経験したなかで最悪の景気後退から一部同様の教訓を導く 可能性がある。

ムーディーズ・エコノミー・ドット・コムのチーフエコノミスト、 マーク・ザンディ氏は「これは集団心理の悪化につながる」と分析。 「人々は借り入れと融資、投資で、これまでよりずっと保守的になるだ ろう」と説明した。

恐慌に公式な定義は存在しない。30年代には、失業率は25%まで 上昇し、成長率はマイナス25%余りとなった。

米経済指標は、「大」恐慌とまではいかなくても学者が恐慌の要件 とみる水準に一部近づいているものの、再びどん底のような経済状態に 落ち込むと予想するエコノミストはいない。

恐慌となる確率

ノーベル経済学賞を受賞したハーバード大のロバート・バロー教授 は恐慌を、1人当たりの国内総生産(GDP)と消費が10%減少する ことと定義。同教授は現在、恐慌となる確率は約30%と分析する。

米商務省によれば2008年第4四半期(10-12月)の実質国内総 生産(GDP、季節調整済み、年率)改定値は前期比年率6.2%減少。 ゴールドマン・サックス・グループの米国担当チーフエコノミスト、ジ ャン・ハッチウス氏は09年1-3月(第1四半期)が同7%減少にな ると予想している。

一方、財務省出身のカリフォルニア大学バークレー校ブラッドフォ ード・デロング教授は、恐慌を失業率が2年連続で10%以上になるこ と定義。同教授は、その可能性は低いながらあると述べている。2月の 失業率は過去25年間で最大の8.1%に上昇した。

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