アジアの中銀は通貨防衛策を断念-輸出減少に対応し通貨安容認

アジア各国の中央銀行は6カ月にわ たる自国通貨の防衛策を断念し、輸出の10年ぶりの大幅減少に対応 して輸出価格を低下させる方向に政策転換している。

韓国のウォンは今年、米ドルに対して19%下落したが、韓国当局 はこれを容認して自国企業の競争力を高めた。これを受け、インドや マレーシア、台湾の政策当局者も自国・地域の通貨下落を放置してい る。ブルームバーグ・データによれば、韓国とインドネシア、台湾、 マレーシアの1月の輸出は17%減の790億ドルと、アジア金融危機 で域内経済が3割余り縮小した1998年4月に比べて2倍の落ち込み を記録した。

ステート・ストリート・グローバル・マーケッツのストラテジス ト、ドワイフォー・エバンス氏(香港在勤)は「ライバルの韓国ウォ ンの下落に対抗するため、輸出市場が通貨安を誘導せざるを得ない状 況だ」と指摘した。

モルガン・スタンレーの通貨ストラテジスト、スティーブン・ジ ェン氏によると、ウォンとインド・ルピー、台湾ドルは米ドルに対し 6月末までにそれぞれ、12%、13%、6%下落する見通し。ゴールド マン・サックス・グループはシンガポール・ドルが4月までに3%値 下がりするとみる。カリヨンはマレーシア・リンギットが9月末まで に5%下落すると予測する。

通貨政策の根本的変化

韓国企業からの攻勢で苦戦している輸出業者にとって通貨安は命 綱になる。オッペンハイマーが先月顧客に配布した調査リポートによ ると、台湾の友達光電はテレビやパソコン向け液晶表示装置(LCD) の世界市場でシェアが今年は15%と、昨年の16.8%から縮小する見 通しだ。一方、ライバルの韓国サムスン電子とLGディスプレーのシ ェアは合計で44.9%(昨年41.9%)から拡大する見込み。

モルガン・スタンレーのジェン氏は3月2日付リポートで「日本 を除くアジアの通貨下落を阻止する意味ある介入はもはやないだろ う」と述べ、「多くのアジア諸国の通貨政策が根本から変化した。貿易 黒字の急激な縮小がこれらの国でのドルの相対的需給に影響している ことは明らかだ」と指摘した。

マレーシア中央銀行はリンギット買いを実施し、昨年12月に対 米ドル相場を4.5%上昇させたが、今月5日にはリンギット相場が「安 定」し、「自力で機能している」との見解を表明した。ただ、リンギッ トは年初以降6.7%下落し、6日現在1米ドル=3.7175リンギット と、05年に廃止した1ドル=3.80リンギットでの固定相場制の水準 に接近しつつある。

フィリピン中央銀行のギニグンド副総裁は4日、ペソが昨年12 月5日以来の安値に接近したものの、通貨てこ入れのために介入する 考えはないと言明している。

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