【日本株週間展望】安値圏で乱高下、国内対策失望なら7000円割れも

3月2週(9-13日)の日本株相 場は安値圏での乱高下が予想される。年度末で需給環境への警戒が強い 中、金融不安や企業業績懸念による売り圧力が継続しそう。国内で株価 対策の取り組みが遅いと意識されれば、日経平均株価はバブル経済崩壊 後の安値6994円(日中、2008年10月28日)を割れる可能性もある。

フォルティス・アセットマネジメントの清川鉉徳シニアファンドマ ネジャーは、「米国で金融システムに対する具体的な安定策が示される まで、金融不安は払しょくされず上値は重い。半面、安値水準でさらに 下値を売り込む材料にも乏しい」と指摘。日経平均で7500円前後を中 心レンジとする安値圏でのこう着展開を予想する。

3月1週の日経平均株価は、前の週に比べて5.2%安の7173円10 銭で終了。一時は7088円と昨年10月に付けた終値ベースでのバブル 崩壊後安値7162円を下回る場面もあり、米国の金融システム不安の深 刻化や不況の長期化が警戒された。

金融警戒で世界株安、昨秋との違い

先週は米S&P500種株価指数が12年ぶりの安値、国内でもTO PIXが25年ぶりの安値水準まで下げた。保険大手アメリカン・イン ターナショナル・グループ(AIG)が、米企業として史上最悪の損失 を計上。米ムーディーズは今年のデフォルト件数は前年比で3倍以上に 増大し、大恐慌時代の水準を上回ると予測した。

米政府は金融機関の不良資産問題を抜本的に解決するため、新たな 「ストレステスト(健全性審査)」を開始した。米大手19行を対象と する査定の結果、資本調達が必要と判断された銀行に対し、6カ月以内 の増資を求めている。この結果への不透明感が強い中で悪材料が次々と 重なり、「米金融システムの安定化への道のりが遠い」(三菱UFJ投 信運用戦略部の石金淳シニアストラテジスト)と警戒されている。

今回の下げの特徴は、昨年9-11月時のようなパニック的な売り ではなく、企業業績の悪化に合わせて投資家による株式ウエート引き下 げが進行、じりじりと安値を更新する点にある。ソシエテ・ジェネラ ル・アセット・マネジメント(パリ)の経済戦略チーム、グローバル・ ヘッドのミカラ・マルクッセン氏によると、「株式市場は割安見直しの 中間反騰はあっても、米アナリストの業績予想がまだ楽観的な中では株 価調整は長引くと見ざるを得ない」という。

株価対策や中国景況感が焦点

ただ、足元の日本株は欧米株に比べると相対的には底堅く推移。為 替の円安基調や政府の株価対策、中国の景気対策への期待が下値を支え ている。しかし、銀行等保有株式取得機構の株式買い入れは金融機関か らの20兆円枠は決定しているものの、市場からの直接買い入れなどの 拡充案は進展していない。さらに中国の温家宝首相は全国人民代表大会 で、4兆元の景気刺激策の増額は不要との立場を示した。

三菱UFJ証券の鮎貝正弘シニア投資ストラテジストは、「株価対 策と中国追加対策がともにややトーンダウンしている」と指摘。今週は 相場が下振れする形で、「株価対策を催促する可能性がある」(同氏) とし、海外株式や中国経済の動向次第で日経平均は6800円程度までの 下落を想定すべき、と警戒している。

メジャーSQ、中国生産、機械受注

今週は、市場参加者の多くが需給動向にも敏感になりそう。週末 13日は、株価指数先物とオプションの特別清算値(SQ)算出が重な る3カ月に1度のいわゆるメジャーSQだ。SQ前後は例年外国人によ るファンドの解約売りがピークを迎えやすく、需給は悪化しやすい。前 回のメジャーSQである昨年12月は、日経平均の週間値幅が761円と 先物主導で乱高下した経緯がある。

一方、2月4週時点で外国人が約6年7カ月ぶりに7週連続で日本 株を売り越した中で、国内勢では年金経由の信託銀行が8週連続で買い 越した。公的年金は3月末のポートフォリオにおける国内株式の目標比 率を11%としているが、株価下落で足元の株式ウエートは低下気味。 現在の株価水準で目標比率に近づけるには、「1兆2000億-3000億 円の買い余力が生じる計算」(三菱U証の鮎貝氏)。株価が急落する場 面では、年金の買いが膨らむ場面もありそうだ。

今週の日本株に影響を与えそうな材料は、海外では中国で11日に 2月の貿易収支、12日に2月の鉱工業生産、米国で12日に2月の小売 売上高、13日に1月の貿易収支、3月ミシガン大学消費者信頼感指数 の発表が予定される。国内では11日に2月の機械受注、12日には08 年10-12月国内総生産(GDP)改定値など。機械受注については、 「前年比マイナス41.9%(前月比マイナス6.9%)と統計以来最大の 前年比落ち込み幅の可能性がある」(バークレイズ・キャピタル証券の 森田京平チーフエコノミスト)という。

【市場関係者による当面の日本株相場の見方】 ●岡三アセットマネジメントの伊藤嘉洋上席ストラテジスト

「米保険大手AIGや米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)、 米金融大手シティグループなどに経営不安があり、先行きが見えない。 また、実質GDPなど国内の実体経済は世界と比べ突出して悪化してい るが、政局は混迷を極め、経済対策は実行に移されていない。需給面で は、外国人による日本株売りは続き、『外国人売り・公的年金買い』の 構図は続きそう。国内企業の財務内容は非常に悪くなる可能性があり、 ことし1年の日本株見通しは非常に厳しくなろう」

●水戸証券の吉井豊投資情報部長

「日経平均が7000円を割り込めば、公的年金や個人が下値を買う 動きを強め、需給要因からの下支えが機能する。ただ、世界的な金融不 安や実体経済の落ち込みを背景に、相場が底入れしたと見る市場参加者 は少ない。先安観が優勢な状況で、7500円を上回ると戻り売りに押さ れやすくなる。主要輸出企業の1-3月期想定為替レートを上回る円安 水準で推移しているのに、輸出株への買い戻しが弱いのは気掛かり。為 替変動が輸出企業の営業損益に与える影響は3割程度で、世界的な需要 減による下押し圧力をしのげないとの見方が大勢だからだろう」

●SMBCフレンド証券の中西文行ストラテジスト

「昨年末のG20で各国が金融市場安定化を図るという方針が決議 され、株価下落による逆資産効果や景気への悪影響を遮断するという流 れが共通認識になった。ニューヨークや中国は年度末ではないので株価 が下げているが、わが国は3月末に決算期末を控え、自然体という訳に はいかない。主力の日経平均225採用銘柄がSQをにらみ急上昇する とみられ、年度内は大きく崩れることはない」

●モーニングスターの鈴木英之調査分析部長

「日経平均7000円台の攻防になりそう。米国では金融不安、自動 車メーカーの再建策などが注目されるが、これらの対応が長引いてしま うと、株価の下落を招きかねない。国内では政局への不安もある。西松 建設の献金に関連し、小沢一郎民主党代表の公設第1秘書が逮捕された ことで、民主党政権誕生への期待が弱まった。早急な経済対策が求めら れているが、打てそうもない」

--共同取材:常冨 浩太郎、河野 敏、鷺池 秀樹、浅野 文重 Editor:Shintaro Inkyo

参考画面: 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 長谷川 敏郎 Toshiro Hasegawa +81-3-3201-8361 thasegawa6@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net 東京 Darren Boey +852-2977-6646 dboey@bloomberg.net

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