東京外為:円が底堅い、米雇用悪化を意識-欧州追加利下げ観測も支え

午前の東京外国為替市場では、円 が底堅く推移した。対ユーロや対ドルで円高が進んだ前日の海外市場 の反動もあり、朝方は円の戻り売りが先行。しかし、ユーロ圏の金利 先安観が強まり、米国の雇用統計の発表を控えて一段の雇用悪化が意 識されるなか、円の下値は堅い。

ドル・円は1ドル=98円ちょうど前後で早朝の取引を開始すると、 午前10時前には一時、98円50銭までドル買い・円売りが進行。前日 には昨年11月5日以来の円安値99円68銭から1円近く円買いが進ん でいたが、その3分の1超を取り戻した。しかし、その後は再び円買 いが優勢となっており、正午前には98円ちょうど付近まで円がじり高 となっている。

三菱UFJ信託銀行資金為替部の清水昭男グループマネジャーは、 「ドル・円はきのうまで調整らしい動きがないまま上昇していたが、さ すがに100円の大台を目の前に一服感が出ている」と指摘。「このとこ ろ株価と円相場の相関関係が薄まっていたと思われていたが、きのうは 金融株を中心に米国株が大幅下落し、リスク回避の動きも相まって円が 買い戻される動きになっている」と説明する。

ユーロ・円相場も朝方に前日付けた円高値(1ユーロ=122円72 銭)付近をうかがった後、123円76銭まで円が反落。しかし、金利先 安観測がユーロの重しとなるなか、その後は123円台前半まで円が下 げ渋っている。

米雇用情勢はさらに悪化へ

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、 2月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比65万人減少し、 1949年以来で最大の落ち込みを記録する見通し。失業率も7.9%に悪 化する見込みで、景気悪化に伴う雇用減少の深刻化が改めて浮き彫り になるとみられている。

清水氏は、今週発表された民間部門の雇用者数が悪かったことも あり、米国の雇用については一段の悪化が意識されていると指摘する。 その上で、「悪材料はある程度織り込まれているため、過度の動きは 想定しにくい」といい、リスク回避に伴うドル需要も意識されるなか、 「ドルの下落はそれほど一方的にはなり得ない」とみている。

5日の海外市場ではECBの追加利下げ観測が高まったことから 対ユーロを中心に円の買い戻しが活発化。金融株を中心に米株式相場 が急落したことも対ドルでの円買いを後押しした。

一方、日本の急速な景気悪化や政局の混迷を考えれば「持ち高調 整以外の積極的な円買いは難しい」(東海東京証券金融市場部・二瓶 洋トレーディンググループマネージャー)との指摘もあり、この日の 東京市場午前の取引では円の戻り売りが先行する場面が見られた。

金利先安観でユーロ軟調

ECBのトリシェ総裁は5日の記者会見で、1.5%は同中銀にとっ ての最低の政策金利水準ではないと発言した。ECBは同日の会合で、 政策金利を0.5ポイント引き下げ過去最低の1.5%に設定。また、ユ ーロ圏の成長率とインフレ率予想を下方修正した。

イングランド銀行(英中央銀行、BOE)も同日開いた金融政策 委員会(MPC)で、政策金利のレポ金利を0.5ポイント引き下げ0.5% にすることを決めた。政策金利は1694年の同中銀創設以来の最低を更 新。同中銀はまた、最大1500億ポンド(約20兆8350億円)相当の国 債と社債の買い取りを通じ、英経済に資金を注入することも発表した。

三菱UFJ信託銀の清水氏は、利下げ幅自体はいずれも予想通り だったが、「BOEが長期債の購入計画に触れ、ECBが追加利下げ の可能性に言及したことで、欧州の金融・経済を取り巻く環境が依然 として厳しいことが意識され、ユーロやポンドはともに売られやすい 地合いが継続する」とみている。

5日の海外市場ではユーロが対ドルで一時、1ユーロ=1.2481ド ルまで下落。この日の東京市場では1.25ドル台半ばでのもみ合いが続 いているが、金利先安観測が高まるなか、ユーロの上値は重く、今後 は「前回の安値の1.2330ドルあたりを視野に入れた動き」(清水氏) も予想される。

--共同取材 曽宮一恵 Editor:Tetsuzo Ushiroyama,Norihiko Kosaka

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