コーンFRB副議長:AIG救済しない代償は「大きい」―証言

コーン米連邦準備制度理事会(FR B)副議長は5日、上院銀行委員会で証言し、保険大手アメリカン・イ ンターナショナル・グループ(AIG)救済の決断は「困難だった」と 述べながらも、救済しない場合のコストは「非常に大きく、受け入れる ことができない」との見解を示した。

コーン副議長は「経済が深刻な緊張状態にあるこの時期に、連鎖破 たんを招きかねないほど重要な金融機関を無秩序に破たんさせれば、現 在のリセッション(景気後退)を深刻化させるだけのことだ。このよう な結果を避けるため、FRBは財務省など関係省庁と協調してきたが、 今後もそれを継続する」と発言した。

バーナンキFRB議長は今週、AIGの破たんを回避するため、追 加資金を投入する可能性を示唆しており、コーン副議長の発言はこれを 後押しする格好となっている。バーナンキ議長は3日の上院での証言で 、AIGを破たんさせれば、「世界の金融システムの安定が崩壊しかね ない」と述べ、すでに同社に投入している1630億ドルの公的資金を回 収できなくなる恐れがあるとの見解を示した。

米当局は2日、AIGに最大300億ドル(約2兆9100億円)の 追加資本を注入する計画を発表した。AIGが同日発表した2008年 10-12月(第4四半期)決算は損失が617億ドルに上った。FRB はさらに、市場が回復しなければ、追加の支援が必要になる恐れがある と警告した。

「複雑さ増す」

コーン副議長は「米政府による支援を返済させるため、AIGの大 部分を切り離す計画を進めているが、異常な金融・経済状況により、複 雑さがかなり増している」と証言した。追加の資本注入については「A IGを長期的に安定させ、米政府への返済の可能性を最大化する」との 考えを明らかにした。

米政府は昨年9月に850億ドルの資金を注入し、AIG株の80% を取得した。その後、AIGと取引する銀行の損失を回避するため、救 済額は1228億ドル、さらに1500億ドルに拡大していった。

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)での損失を中心にA IGの損失額は過去5四半期で1000億ドルを超えている。

コーン副議長は救済について「中央銀行にとって非常に難しく、苦 しい決断だ。特にAIGの間違った判断を主因とした連鎖破たんリスク への対処が含まれていたため、特に困難で不愉快な決断だった」と述べ た。

米政府は2日、AIG向け融資の金利を引き下げることで合意。ま た、米政府が先に取得した優先株400億ドル相当を「普通株に近い」 非累積優先株に転換することでも合意した。優先株では支払われなか った配当は累積していくが、「非累積」優先株ではこれがない。

同副議長はまた、AIGがCP買い入れプログラム(CPFF)を 通じて約140億ドルを借り入れたことも明らかにした。

コーン副議長によると、FRBの高官を含む職員15人で構成され るチームがAIGを監督し、「支出や幹部報酬など重要な問題」につい て意見を「日常的に」を伝えているという。さらに、2008-09年の 幹部の給与と賞与を制限することでFRBはAIGと協議した。

AIGは年末までに連邦政府からの融資を約389億ドル返済する 予定。合計で約260億ドル相当の2つの海外生保部門の売却益をその 一部に充てる。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE