トリシェECB総裁:利下げ継続を示唆、1.5%は最低水準ではない

欧州中央銀行(ECB)のトリシ ェ総裁は5日、金融政策決定後の記者会見で、1.5%は同中銀にとっ ての最低ではないと発言し、利下げ継続を示唆した。

ECBはこの日、政策金利を0.5ポイント引き下げ過去最低の

1.5%とした。トリシェ総裁は会見で、「われわれはこれが可能な最 低水準だと事前に決めているわけではない」と言明した。また、金 利以外の手段を利用するかどうかについては未定だと述べた。

世界的な景気後退による輸出の落ち込みと雇用情勢の悪化で、ユ ーロ圏の景気はECBが3カ月前に予想したよりも急速に落ち込んで いる。トリシェ総裁はこの日、今年と来年のユーロ圏のインフレ率が 2%を「大きく下回る」との見通しを示した。ECBはインフレ率 2%弱を政策の目安としている。

コメルツ銀行のチーフエコノミスト、ヨルグ・クレーマー氏 (フランクフルト在勤)は「ECBは可能な限りの利下げを続ける だろう」として、「春または初夏までに政策金利は1%となるだろう。 ECBは成長率とインフレ率の予想を思い切って引き下げた。市場 は今や追加利下げを確実視している」と述べた。

総裁の発言を受けてユーロは一時0.6%下落し1ユーロ=1.2481 ドルを付けた。

新手の手段

トリシェ総裁はこれまでのところ、将来の危機の芽となりかねな いゼロ金利や新手の政策手段の採用には慎重な姿勢を示してきた。 この日の会見では、新たな措置を導入するとすれば、通貨供給量を 増やすことよりも、信用市場の緊張を緩和させることを政策の目的 とする考えを示唆した。同総裁は会見で「非従来型の手法に関して は、ユーロ圏の構造に即したものを中心に考えている」とし、「量 的緩和というよりは、信用緩和と呼ぶべきものだろう」と語った。

ウニクレディトMIBのユーロ圏担当チーフエコノミスト、ア ウレリオ・マッカリオ氏は「総裁会見のハト派的論調に驚かされた。 ECBは危機の深刻さとユーロ圏経済への影響のひどさを完全に理 解したようだ」と述べた。

また、UBSの為替ストラテジスト、ジェフリー・ユー氏は 「トリシェ総裁は明言することを避けているが、基本的にはECB の一段の行動が必要なことを認めている」として、「追加利下げに 加え、他の選択肢も検討している」と指摘した。

ECBはこの日、ユーロ圏の成長率とインフレ率予想を下方修正 した。最新の予想では、今年は3.2-2.2%のマイナス成長と見込ま れている。従来予想はマイナス1%-ゼロ成長だった。来年について はマイナス0.7%-プラス0.7%と予想されている。

最新のインフレ率予想は、今年が0.1-0.7%(従来予想は1.1-

1.7%)、来年が0.6-1.4%。

トリシェ総裁は「全体として、インフレ率は大きく低下した。 2009、10年は2%を大幅に下回ると予想される。商品価格の下落に 加え、経済活動の急激な低下を反映した価格上昇圧力の後退が原因 だ」と語った。

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