UBS:フィリガー元財務相を会長に-米・EU対策にらむ人選(3)

スイスの銀行最大手UBSは4日、 カスパー・フィリガー元スイス財務相(68)をピーター・クラー氏 の後任の会長に指名したと発表した。同行が米国民の税逃れをめぐる 捜査の対象となるなかで、クラー氏は1年での退任となる。

UBSは先週、最高経営責任者(CEO)も更迭し、前クレデ ィ・スイス・グループCEOのオズワルド・グルーベル氏(65)を 迎えたばかり。フィリガー氏の会長指名は4月15日のUBSの株主 総会に諮られる。承認された場合、同氏はスイス再保険やネスレ、ノ イエ・チュルヒュー・ツァイトゥング紙の取締役を辞任する。

UBSは米当局から最大5万2000人の顧客の氏名開示を求めら れ提訴されている。金融危機で500億ドル(約4兆9200億円)以 上の評価損・損失を出し1万1000人の削減も進めている。顧客資産 は昨年、1950億ドルの純流出となった。

クレディ・アグリコル・シュブルー(チューリヒ)のアナリスト、 クリスティアン・シュタルク氏は「新しい出発だ」と評価し、「フィ リガー氏は銀行業界の経験はないが、米国や欧州連合(EU)との交 渉では同氏の経歴が役立つだろう」と話した。米国での訴訟に加え、 EU諸国もスイスを「非協力的」な租税回避地の一覧に加えると警告 している。

UBS株はスイス時間午前10時2分(日本時間午後6時2分) 現在、前日比0.31フラン(3.1%)高の10.20スイス・フラン。

「異例の時期」

フィリガー氏は発表資料で、「現在はUBSとスイスにとって異 例の時期だと思う。今後に控えている困難は認識している」とし、 「国家と国民に奉仕するため会長指名を受諾した」と心境を述べた。

UBSの発表によれば、同氏は1989-2003年にかけて政権に 参画し、最後の8年間は財務相だった。この間にスイスはマネーロン ダリング(資金洗浄)阻止の法律を成立させたほか、貯蓄収入に課税 するEUの方針にも同意した。フィリガー氏は2001年に破たんしたス イス航空の救済をめぐり、UBSの会長だったマルセル・オスペル氏 とやり合ったこともある。

法務顧問から会長となっていたクラー氏は、グルーベル氏がCE Oとなった今、「移行を完了するべきときだ。1年間の任期満了とと もに退任する」と表明した。

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