須田日銀委員:株式市場への直接介入「歪み引き起こさぬか懸念」(3)

日本銀行の須田美矢子審議委員は4日 午後、京都市内で会見し、最近の株式市場の動向について「年度末越え を懸念する1つの材料」としながらも、株式市場に直接介入することに ついては否定的な見解を示した。量的緩和政策やゼロ金利政策の復活に ついても「情勢次第では否定できない」と語る一方で、「現時点で効果が あるとは思っていない」と述べ、消極的な姿勢を鮮明にした。

須田委員は株式市場について「基本的に企業収益によって決まるも のであり、株式市場全体がグローバル化している中、米国など海外市場 の影響を非常に受ける市場だ」として、「市場に直接介入していったい効 果があるのか、何か歪みを引き起こさないか懸念している」と語った。 その上で、日銀としては「金融政策で経済全体をしっかりサポートする ことを通じて株価に好影響が出てくればよいと思う」と語った。

国内の生産については「1-3月の落ち込みは10-12月よりかなり 大きいとみている」と指摘。マイナス2%とした日銀の2009年度の実質 成長率見通しについても「下振れる可能性が高い」との認識を示した。

須田委員は同日の講演で、経済・物価情勢の先行き下振れリスクが ある程度顕在化した場合、「いざとなれば、通常の政策ルールを逸脱する ほどの思い切った策を打つ」との姿勢を示した。会見では「通常の政策 ルールを逸脱するほどの思い切った策とは何か」という質問も出された。

シニョレッジは国民のもの

須田委員は、日銀が価格変動リスクや信用リスクのある資産を購入 することで損失を被れば、政府に納める納付金が減少する、と指摘した 上で、「民主主義社会の中で日銀がそこまでやってよいのかという思いが ある」と述べた。また、日銀が通貨を発行することで得られる資産の収 益、つまりシニョレッジ(通貨発行益)は「もともと国民のためのもの」 であり、「これをどの程度、日銀の独自の判断で使ってよいかということ に関しての国民間の同意が必要だ」と述べた。

須田委員はさらに、「シニョレッジを政府と日銀の間でどのように国 民のために活用していくのか、しっかり議論を深めていく必要がある」 と指摘。「それがある程度見えてこないと、日銀独自で思い切った政策を とるのは難しい」と語った。

量的緩和政策やゼロ金利政策の復活については「そういった政策に いったい効果があったのか、それから副作用がどうだったかについてし っかりみて、経済の状況次第ではそういう政策が採用されることは否定 できない」と指摘。その上で「今は必要だとは思ってないが、先行きに 関しては経済状況次第ということもあるので何とも言えない」と述べた。

効果があるとは思ってない

須田委員はさらに、「経済、金融状況が(当時と)違うので何とも言 えないというだけで、現時点でそれが効果があるとは思ってない」と言 明。「今の状況の下では私の頭の中にはないが、先行きどうかと言われた ときは、どういう状況が起こっているか分からないので、何事も排除し てかかることは望ましくないという観点から、そういう答え方をせざる を得ない」と述べ、基本的には両政策の復活に消極的な姿勢を示した。

日銀は2月19日の金融政策決定会合で1兆円の社債買い入れを決 定したが、須田委員は1人反対票を投じた。須田委員はその理由につい て「コマーシャルペーパー(CP)や貸し出しによる代替もあり、社債 市場の機能低下が企業金融全体を逼迫(ひっぱく)させるような状況に は至っていない」と指摘。さらに「残存1年以内の社債買い入れでは、 企業金融の円滑化に与える効果が限定的と言わざるを得ない」と述べた。

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