オルファニデス氏提唱のゼロ金利、ECB総裁への反旗もじわり優勢に

欧州中央銀行(ECB)の政策委員 会メンバー、オルファニデス・キプロス中銀総裁は、ゼロ金利に消極的 なトリシェECB総裁に反論を展開、じわじわと支持を集めている。オ ルファニデス総裁は、米連邦準備制度理事会(FRB)時代、上司批判 も辞さないことで知られていた。

07年にFRBを離れてキプロス中銀総裁に就任したオルファニデス 氏は、ECB当局者の中で最初にゼロ金利への支持を表明した。トリシ ェ総裁は低過ぎる金利には弊害がありゼロ金利は避けるべきだとの考え だ。しかしユーロ圏が第二次世界大戦以降で最悪のリセッション(景気 後退)に沈むなかで、オルファニデス氏に賛成の意見が増え始めた。

ECBの政策委員22人のうち、少なくとも7人はトリシェ総裁に賛 成だ。しかし、ECBの利下げ余地を使い切り、その後に非伝統的な手 段を駆使しようという方向に目を向け始めた当局者もいる。

債券市場ではドイツ2年国債の利回りが少なくとも1990年以来の低 水準となり、利下げ観測を示している。こうした市場の動きが加速した のは1月28日にオルファニデス氏が、政策金利がゼロに近づくと金融政 策の効果がなくなるとの見方は「危険」かつ「誤っている」と発言して からだった。

オルファニデス氏は1990-07年にかけてFRBに在職。元FRB金 融政策局長のビンセント・ラインハート氏によれば、オルファニデス氏 は上司に異論を唱えることも辞さないことで知られ、ラインハート氏自 身も批判の標的になったことがある。

欧州の現実

現在の金融危機への対応で、FRBは既に金利をゼロ付近とし非伝 統的な政策手段を採用している。しかしオルファニデス氏は、欧州の現 実も見据える必要がある。ECBは規則により、各国政府から直接国債 を購入することはできない。市場での購入は政治的な反対に遭遇する公 算がある。

同氏は共同執筆した1999年の論文で、デフレ対策として政策金利に よって銀行間金利を操作する代わりに市場金利に影響を与える方法を提 案した。ウニクレディト・MIBの欧州担当チーフエコノミスト、アウ レリオ・マカリオ氏は「より直接的な量的緩和の手法よりも、政策委員 会の意見を集約しやすい方法かもしれない」と評価した。

オルファニデス氏に同調する声は最近、増えている。フィンランド 中銀のリッカネン総裁は2月20日、ECB当局者は「創造力と独創性を 発揮する能力を使い果たしたわけではない」と発言。イタリア中銀のド ラギ総裁も翌日、「名目金利の下限に近づき過ぎるとの懸念は、行動し ない理由にはならない」と述べた。

ゴールドマン・サックス・グループの欧州担当チーフエコノミスト、 エリック・ニールセン氏は、景気悪化が続くなかで、ECBは最終的に オルファニデス氏の意見に従わざるを得なくなるだろうとして、「量的 緩和は時間の問題だ」と話した。

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