英アストラゼネカ:薬と糖尿病との関連性を日本で警告-米では伝えず

英製薬大手アストラゼネカが、同社 の統合失調症治療薬「セロクエル」は糖尿病を引き起こさないと米国の 医療関係者に伝えるよう営業担当者に指示していた一方、日本の医療関 係者に対しては約2年前、セロクエルと糖尿病が関連している可能性が あると警告していた。内部文書で明らかになった。

セロクエルをめぐる訴訟に関連して先週アストラゼネカが公表し た文書によれば、同社は2002年11月、日本の医療関係者に対し、セ ロクエルを使用した患者が高血糖と診断されたケースが1年9カ月で 12件報告されたとする書簡を送付した。

アストラゼネカの複数の幹部は同書簡で、「セロクエルが市場に出 始めた01年2月以降、同薬との因果関係を否定できない高血糖症、糖 尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(こんすい)による12件の深 刻な事例(うち1件は死亡)が報告されている」と説明した。

先週公表された05年8月のボイスメールの記録によれば、同書簡 の送付から約3年後、アストラゼネカの営業幹部らは担当者に対し、米 国の医療関係者に「入手可能なデータでは、セロクエルと糖尿病の因果 関係は証明されていない」と伝えるよう指示していた。

アストラゼネカに対しては、同社がセロクエルの使用と糖尿病と の関連性についての情報を医師や患者に開示しなかったとして1万 5000人を超える患者が提訴している。また訴えた患者の多くは、アス トラゼネカが米食品医薬品局(FDA)の認めていない使用法でセロク エルの販売促進を行ったとも主張している。

日本の当局の要請

セロクエルの売り上げは、アストラゼネカの医薬品の中では抗か いよう剤「ネクシアム」に次いで2番目。08年の売上高は44億5000 万ドルだった。同社はセロクエルをめぐる不正行為は否定しており、裁 判で争う姿勢を示している。

アストラゼネカの幹部は2日、日本の関係者に送った書簡につい て、日本の監督当局の要請に応じたものだと語った。

同社の広報担当、トニー・ジュウェル氏は電子メールで、「規制の 基準や要件などは国によって異なる」とし、「アストラゼネカのマーケ ティング会社は、営業する国の監督機関が定める規則や規定を順守する よう求められている」と説明した。

米消費者団体パブリック・シチズンの健康調査グループのディレ クター、シドニー・ウォルフ氏は、アストラゼネカが米国の医療関係者 に日本と同様の情報開示を行わなかったのは「無責任」だと批判した。 同氏は、FDAの医薬品の安全性に関する監視委員会の委員も務める。

ウォルフ氏は電話取材で、「アストラゼネカは、医者や患者から薬 のマイナス面を知る権利を奪っている」とした上で、「日本で警告する だけの十分な根拠があるのなら、米国でも同様に警告する十分な根拠が あるはずだ」と語った。

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