東京外為:ユーロが1週間ぶり安値、欧州当局の景気対策困難との見方

東京外国為替市場ではユーロが軟 調に推移した。対ドルでは1ユーロ=1.2600ドル前後を中心に、2月 20日以来、約1週間ぶりの安値で取引された。欧州の景気減速と金融 危機の深刻化懸念が強まるなか、対策不足を背景にユーロの先安観が くすぶる格好となった。

三菱UFJ証券クレジット市場部為替課長の塩入稔氏は、市場は 引き続き非常事態下で「リスクを敬遠」する状況にあり、ドルへの資 金回帰が主流になっていると指摘。そうしたなかで、欧州経済に絡む 悪材料を背景にユーロ売りが後押しされる格好になったと説明する。

ユーロ・ドル相場は午後の取引で一時1.2546ドルと、約1週間ぶ りの安値を付けた。また、ユーロ・円相場も一時1ユーロ=121円96 銭と、4営業日ぶりの水準までユーロ安・円高が進行した。

一方、ドル・円相場はユーロを中心としたクロス・円(ドル以外 の通貨と円の取引)に振らされる展開となっており、一時は1ドル= 96円93銭まで円高が進行。その後、クロス・円で円が伸び悩む展開に なると、97円90銭までドル高・円安方向に値を戻し、午後の取引では 97円台後半を中心に推移した。

ECBの利下げ継続姿勢を見極めへ

欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が先月の27日に発表 した1月のユーロ圏失業率は8.2%と、昨年12月の8.1%から上昇 し、ここ2年余りで最悪となった。同時に発表された1月のインフレ 率(改定値)が1.1%に低下しており、欧州中央銀行(ECB)の利 下げ観測が強まる格好となっている。

ECBは今週5日に金融政策決定会合を開くが、ブルームバー グ・ニュースがまとめた市場予想では、0.5ポイントの利下げが見込 まれており、政策金利は1.5%となる見通し。

また、ユーロ圏は中東欧諸国の金融機関に向けた融資規模が日米 に比べて大きく、同地域の景気が著しく減速していることから、市場 ではユーロ圏の金融危機が一段と深刻化する可能性が懸念されてい る。

そうしたなか、イタリアのベルルスコーニ首相は1日、ブリュッ セルで記者団に対して、同国の銀行1行が資本増強のため政府支援を 要請したことを明らかにした。行名には言及していない。

さらに、EUは1日、ブリュッセルで開いた首脳会議で、EUが 一括して実施する自動車業界救済策の可能性を排除し、市場をゆがめ る補助金を禁じるEU規則に違反しない範囲で各国政府に委ねる方針 を表明。EUの枠組みで積極的な対策は見込みにくいとの失望感が広 がった面もある。

資産管理サービス信託銀行資金為替部の野村祥宏調査役は、欧州 経済のてこ入れに向けて主要国の一角が主導権を取って対策を打たな いと、ユーロの信認は醸成されにくいと指摘。さらに、今回のECB 会合で政策の先行きを見極めたいとの姿勢が広がるなか、日米と比べ て「利下げ余地」が残ることからユーロは上値の重い展開が続くとみ ている。

米景気後退で投資避難的ドル買いも

一方、米国でも引き続き指標の悪化が目立つなか、投資避難的な ドルの買い戻しが進みやすいとの指摘も聞かれている。

米商務省が先月27日に発表した昨年10-12月の実質国内総生産 (GDP、季節調整済み、年率)改定値は前期比年率で6.2%の減少 と、速報値の3.8%減少から下方修正され、1982年以来で最大のマイ ナスとなった。

また、米政府は銀行大手シティグループの普通株持ち分を引き上 げることを発表しており、金融機関の国有化懸念もくすぶっている。 格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは27日、同行 の優先債務格付けを「A2」から「A3」に引き下げている。

三菱UFJ証の塩入氏は、米銀行大手の国有化は足元で「ネガテ ィブ材料」と捉えられているとしたうえで、この日のアジア時間に米 国の株価指数先物が下落している状況から、投資家のリスク回避に伴 うドルの買い戻しが連想されやすいと指摘している。

この日の米国時間には供給管理協会(ISM)が2月の製造業景 気指数を発表する予定で、ドルは指標内容を受けた株価動向に左右さ れる展開となる可能性もありそうだ。

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