銀のパフォーマンス:06年以来初めて金しのぐ可能性-投資需要で

金と銀の価格差が過去13年で最大と なっていることから、銀が今年、1979年以降で最高の年間リターン(投 資収益率)を上げるとの見方が投資家の間で強まっている。79年にはハ ント兄弟が銀を買い占めた。

米政府が総額9兆7000億ドル(約950兆円)規模の景気刺激策を打 ち出したため、米国債が下落するとの懸念が広がっている。S&P500 種株価指数が過去1年間で47%下落するなか、資産運用会社は貴金属の 購入を進めている。貴金属調査会社、英GFMSのフィリップ・クラプ ウィジク会長は、金相場が今年25%上げ、銀相場は58%上昇し1オンス 当たり18ドルになると予想している。

ハンティントン・アセット・アドバイザーズで総額155億ドルの資 産運用に携わるピーター・ソレンティーノ氏は「銀相場はうまく連動し て上昇するだろう」と予想。「価値の保存を目指して投資家らは貴金属に 逃避している。銀相場は出遅れたが急速に追い上げている。ただ、依然 としてパフォーマンスの差はある」との見方を示す。ハンティントンは 資産の約7%を銀に、約3%を金に、それぞれ投資している。金相場は 過去最高値を1オンス当たり約80ドル下回る水準で取引されている。

銀相場が上昇すれば、世界最大の銀生産会社フレスニージョ(メキ シコ)やペルーのリマを拠点とするホックシールド・マイニング、カナ ダのパン・アメリカン・シルバーなどの利益につながる可能性がある。 銀の主要生産国であるペルーとメキシコの輸出収入も拡大が見込まれる。 一方、銀は写真用品の原料となるため、写真用品大手の米イーストマン・ コダックはコスト増に直面することになる。

前回、銀相場のパフォーマンスが金を上回ったのは2006年だった。 24銘柄で構成するスタンダード・アンド・プアーズのゴールドマン・サ ックス商品指数(S&P GSCI商品指数)は今年に入って3.7%下落 している。2008年は年間ベースで43%下げ、同指数が導入された1971 年以降で最大の下落率を示した。

「まだ高騰していない」

銀現物相場は過去1年間で35%下落し、1オンス当たり13.2350ド ル。金相場の下落率は3.2%にとどまり、1オンス当たり951.80ドルと なっている。

このため、金と銀の価格差が広がった。ブルームバーグ・ニュース が集計したデータによると、金1オンス当たりの価格で購入できる銀の 量は72オンスと、過去2年間の平均である58オンスから増加している。 昨年10月には84.39オンスと、95年3月以降で最大となった。

デルタ・グローバル・アドバイザーズ(カリフォルニア州)で10 億ドル相当の運用を手掛けるチップ・ハンロン社長は「銀相場は最近上 昇を始めたばかりで、まだ高騰していない」と指摘。「金相場がさらに上 昇すれば、心理的に金を購入するのが困難になってくる。そのため、人々 は銀に目を向ける」との見方を示し、銀相場が20ドルに達すると予想す る。

世界の大手金融機関が総額1兆2000億ドルを超える評価損や損失 を計上し、世界経済がリセッション(景気後退)に陥るなか、投資家ら は他のほぼすべての投資先よりも貴金属に好んで投資している。

「貧しい人々にとっての金」

グレシャム・インベストメント・マネジメント(ニューヨーク)の 調査ディレクター、ダグ・ヘップワース氏は「銀は貧しい人々にとって の金であり、貧困層は以前と比較して非常に多くなっている」と指摘。 「現在のような環境では、商品銘柄のうち金と銀だけが高騰し得る」と の見方を示す。

ダラス在住の資産家、ネルソン・ハント氏とウィリアム・ハント氏 の兄弟が銀を買い占めたため、79年年初に1オンス当たり6ドルだった 銀相場は80年初めには50ドルに高騰した。兄弟は88年に相場操縦の共 謀容疑で有罪判決を受け、罰金1億3000万ドルの支払いを命じられた。

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