米国債保有、米国民が拡大の傾向-貯蓄率の上昇で需要増加(2)

米国債は、過去11年のうち9年で米 国債への投資残高を減らした投資家からの支持を拡大しつつある。それ は米国民だ。

米メリルリンチによると、米国債が家計の金融資産に占める割合は 2013年までに2%と、現在の0.2%から急上昇する可能性が高い。米連 邦準備制度理事会(FRB)の集計によれば、2%になれば、2001年9 月11日の米同時多発テロ後の数カ月以来の高水準となる。米個人の直接 購入は今後5年間、外国人が購入するとみられる推計1兆ドル規模に匹 敵すると、メリルは予測する。

ミラー・タバクの主任債券市場ストラテジスト、トニー・クレセン ツィ氏(ニューヨーク在勤)によると、7年ぶりの高い米貯蓄率に加え、 国内の株価や不動産価格に関連する過去最大の総額13兆5000億ドルの 損失に伴い米国債への需要が増加し、それが相場を支える見通し。オバ マ米大統領の7870億ドルの景気対策を受けて政府借り入れが過去最大 に達するものの、利回りや消費者向け金利の低水準維持に寄与する見込 みだ。

メリルの北米担当エコノミスト、デービッド・ローゼンバーグ氏は 「われわれはテレビドラマ『ビーバーちゃん』の時代に戻りつつある」 とし、「注意深さと慎重さが今後、重視される傾向になるだろう」と指摘 する。

FRBの統計によると、「ビーバーちゃん」の放映が始まった1957 年の年末時点で、米個人の金融資産に占める米国債の割合は2%強だっ た(投資信託に組み込まれた米国債除く)。その後、この割合を上回る水 準に達したのは1984年で、94-96年には3%以上を記録。それ以降は、 消費者信頼感や雇用が低迷した2001年と04年を除き、毎年低下してき ている。米個人の米国債保有は昨年9月末時点で890億ドルと、個人の 投資残高の0.2%だった。

貯蓄率との関係

これまでの景気低迷期をみると、米国債へのシフトは貯蓄率の上昇 と重なっている。米商務省経済分析局(BEA)によると、08年10-12 月(第4四半期)は可処分所得に対する貯蓄率が2.9%と、02年初め以 来の高水準だった。クレセンツィ氏は「貯蓄率が上昇すると、米国債の 保有が増えるだろう」とし、「貯蓄率上昇は非常に重要な時期に起きつつ ある。財政赤字を補てんする十分な現金が確保されるだろう」と指摘す る。

1984年7-9月(第3四半期)は貯蓄率が11.3%に達し、家計の資 産に占める米国債の割合は2.5%と、少なくとも52年以来の高水準だっ た。この間の国内総生産(GDP)は前期比年率3.9%に鈍化している。 それから10年後の1994年末、米国債の割合は3.7%と、再び52年以来 の高い水準となる。その2カ月後には貯蓄率が5.9%と、直近では最高 の水準を記録。GDPは1.1%増に減速した。

BGキャンター・マーケット・データによると、先週は10年債(表 面利率2.75%、2019年2月償還)利回りが23ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01%)上昇して3.02%。価格は1 29/32下げて97 22/32。利 回りは昨年12月18日に2.035%と、集計を開始した53年以降で最低を 記録した。

リッジワース・キャピタル・マネジメント(ニュージャージー州) のシニア・ポートフォリオマネジャー、ジェームズ・キーガン氏は「2008 年から学ぶ1つの教訓があるとすれば、それは資本の回収が資本からの リターンよりも重要だということだ」とし、「すぐにこの傾向が消えると は思わない」と話している。

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