政投銀のCP買い取り拡大報道、発行金利の二極化を助長する公算も

政府が企業の資金繰り支援策とし て日本政策投資銀行を通じたコマーシャルペーパー(CP)の買い取 り上限額を拡大するとの報道について、市場では買い取りの対象とな っている企業とそうでない企業で発行金利の格差拡大を助長するとの 見方が多い。

27日付の日本経済新聞朝刊によると、政府は資金需要の高まる年 度末を視野に、政策投資銀行による低利融資やCP買い取りを最大

1.5倍に拡大する検討に入った。CP買い取りの上限額は2兆円から 3兆円に拡大される方針だという。

一方、市場関係者の間では、政策投資銀が現在の買い取り上限額 2兆円を達成するのも難しいとの見方が多い。企業金融支援策の効果 から、日銀や政策投資銀の買い取り対象となっている企業のCPは発 行金利が急低下しているためだ。

国内大手銀行のCPディーラーは、政策投資銀が目標にしている 運用利回りが残っている企業は少ないとみる。安全弁として上限を拡 大することは良いが、残高を積み上げるために買い入れ利回りを下げ れば、民間の投資を圧迫すると警戒する。

同業種・同格付けも金利格差4倍

政策投資銀のCP買い入れが本格化した今週の市場では、発行金 利が大幅に低下した。ただ、日銀の買い取り上限額に達しているとみ られる銘柄や、政策投資銀の買い入れ対象外と推測される銘柄は金利 がむしろ上昇しており、「二極化」が強まっている。

この日は最上位a-1プラス格の電機メーカーが3カ月物を

0.35%割れで発行した。週初の発行水準は0.4-0.5%台で、10ベーシ スポイント(bp)前後の大幅低下。日銀の買い取り下限利回り0.4% も下回った。

一方、最上位から2番目a-1格の電機メーカーが発行した期間 1カ月以内の発行金利は1.2%程度。格付けの違いはあるものの、同 じ電機メーカーで4倍近い金利差が生じている。

資金繰りの不安が比較的小さいとみられている年度内償還物でも、 発行金利に大きな差が付いている。a-1格銘柄の中でも、一部食品 メーカーが0.2%で資金を調達できる一方、一部自動車メーカーの調 達コストは0.8%を上回ったという。

市場の健全性

日銀のCP買い切りオペでは、残存期間が1カ月以内の銘柄で

0.3%、1カ月超から3カ月以内の銘柄で0.4%の下限利回りを設定し ており、過度に金利を押し下げない仕組みになっている。

日銀の野田忠男審議委員は26日の講演で、「中央銀行が個別金融 市場に介入せざるを得ない局面だが、介入が強過ぎると市場機能を低 下させる本末転倒な結果をもたらしかねない」と指摘。「買い入れの 金額が大きいほど、また金利が低いほど、効果があるとは考えていな い」と述べている。

今週の市場では、信用力が最も高い国庫短期証券(TB)3カ月 物の利回り0.27%前後を下回る発行金利のCPが出てくるなど、「官 民逆転」が生じている。国より一般企業の調達コストが安い状態が恒 常化すれば、市場の健全性が失われるとの指摘も出ている。

別の国内大手銀のCPディーラーは、市場参加者が買えないよう な銘柄を政府や日銀が買い取れば、本当の政策効果が出ると指摘する。 政府や日銀が買い入れ対象銘柄の拡大や、1社あたりの買い入れ上限 額を拡大すれば、銘柄間の格差を縮小する方向に働くとみられている。

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