国交省:航空業界支援で政投銀融資の活用検討-日航や全日空

世界的な景気悪化で旅客需要が 急減している日本航空や全日本空輸など国内航空業界に対する支援策の 一環として、国土交通省が日本政策投資銀行による金融危機対応融資の 活用を検討していることが分かった。

国交省の篠原康弘航空事業課長は25日、ブルームバーグ・ニュー スの取材に対し「具体的な融資の話が両社から来ているわけではない」 としながらも、業界の要請を受け策定中の支援策として政投銀の低利融 資が選択肢の一つだと述べた。金額などは「未定」だが、「3月末の支 援策実現に向けて検討している」という。

日航や全日空がメンバーの定期航空協会は4日、景気後退で旅客や 貨物の需要が落ち込む中、自助努力では危機に対応し切れないとして、 コスト軽減や競争力向上のための政府に緊急支援を要請。これに対し、 金子一義国土交通相は同日、年度末までに支援策をまとめる方向で検討 することを表明した。

野村証券金融経済研究所の村山誠シニアアナリストは、これまで重 症急性呼吸器症候群(SARS)の流行や米同時多発テロ後の需要低迷 などで航空業界が苦しいときに政投銀が支援してきた経緯に触れ、「今 回の金融危機に伴う需要減少を受けて融資することになってもサプライ ズではない」と指摘している。

世界的な金融危機に対応するため、政府は昨年10月末に追加経済 対策(生活対策)を策定。これを受けて政投銀などの指定金融機関は 「危機対応業務」として、一時的に資金繰りが悪化した企業に対し、日 本政策金融公庫からの資金の貸し付けなどを受けた融資を行っている。

「資金繰りに困っているわけではない」

25日付の朝日新聞は、全日空が危機対応融資の活用を検討してお り、少なくとも数百億円規模を想定しているもようと報じた。同社の三 宅啓文・広報室課長は報道に対し、金融危機に関係なく「政投銀を含め さまざまな金融機関と常に資金調達のための融資などを検討している」 と述べ、「いま資金繰りに困っているわけではない」と強調した。

日航の金山佳正取締役は6日の決算会見で、政投銀融資活用の可能 性について「手元資金が2000億円近くあり、緊急には融資を必要とし ていない」と、今期中の申請を否定。一方、来期以降の資金調達は「い ずれ必要になってくるが、方法は現在精査中だ」と述べていた。日航広 報担当の田中聡氏は26日、現時点では何も決まっていないとしながら も、「政投銀を含む金融機関とは調整するなど、常にあらゆる方策を模 索している」と語った。

日航、全日空は2008年4-12月期の決算発表の際、今期(09年 3月期)連結の最終損益が赤字に転落するとの見通しを発表。日航は純 損益が従来予想の130億円の黒字から340億円の赤字に、全日空は 170億円の黒字から90億円の赤字をそれぞれ見込む。両社ともに、世 界的な景気後退による旅客・ビジネス需要減少が主な要因としている。

いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は、世界的に政府が金融危機 の影響を受けた企業に対して融資支援する流れにあるとしながらも、原 則として航空業界でも、生き残る可能性のある強い会社に融資すべきだ と指摘する。また、同氏は、日航について、「徹底的なコスト削減がま だ可能だ」とし、競争力アップのためには安易に融資しない選択肢もあ るとの見方を示した。

--共同取材:クリス・クーパー Editor:Kenzo Taniai,Kiyo Sakihama

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