1月国内経済情勢:生産は記録的下げ、厳しい雇用-デフレ懸念(2)

1月の国内経済指標は、世界的な金 融危機に伴う急激な景気悪化が年明け以降も加速し、生産は記録的な落 ち込みを示し、雇用も引き続き厳しい姿が浮かび上がった。消費者物価 も急激な需要後退を受けて前年比の伸び率は横ばいとなり、夏場に向け てデフレ色を強めそうだ。

経産省が27日発表した1月の鉱工業指数速報(季節調整済み、 2005 年=100)によると、生産指数は前月比10.0%低下し、下落率は統計上 比較可能な1953年2月以降で最大となった。前月比で2けたのマイナス も今回が初めて。前年同月比は30.8%低下。1月の完全失業率(同)は

4.1%と前月から0.2ポイント低下した。有効求人倍率(同)は0.67倍 と前月を0.06ポイント下回り、03年9月に並ぶ低水準だった。

日本経済は自動車や電機、半導体など輸出企業が海外需要の急激な 減少を受けて、過去に例を見ないような大幅な生産調整や人員削減など を強いられている。1月の輸出額は前年同月比45.7%減と2カ月連続で 過去最大の減少率だった。内需も設備投資や個人消費が低迷しており、 景気の底打ちがまだ見通せない厳しい状況が続いている。

第一生命経済研究所の新家義貴主任エコノミストは各指標を受け、 「1-3月期の日本経済が厳しい状況にあることを確認した」と述べ、 雇用についても失業率が改善したものの悪化の「トレンドは変わってい ない」と指摘。一方、先行きは急激な生産減に伴い「在庫調整が緩やか に進展している可能性がある」とし、1-3月期の景気の落ち込みは「不 可避だが、4-6月期は鈍化する可能性がある」と語った。

経産省によると、2月の製造工業生産予測指数は前月比8.3%低下、 3月は2.8%上昇となっている。同予測指数でプラスになるのは08年8 月以来6カ月ぶり。2月と3月の予測指数がそのまま実現した場合、1 -3月期の生産は前期比22.4%減と四半期では過去最大の下落率にな る。一方、1月の在庫指数は前月比2.0%低下と5カ月ぶりに低下した。

不況が実体経済に一段と影響

与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は27日の閣議後会見で、一連 の雇用関係指標を受けて、「不況は実体経済に一段と影響を及ぼしてきた と判断される」と述べ、雇用対策を盛り込んだ今年度第2次補正予算、 来年度予算を迅速に執行しなければならないとの認識を示した。

国内大手自動車メーカーの1月の世界生産台数はいずれも大幅に落 ち込み、最大手のトヨタ自動車は前年同月比43%減、2位のホンダも同 34%減、日産自動車は同54%減などと軒並み急減した。一方、半導体検 査装置メーカー国内最大手のアドバンテストは25日、3月末までに約 1200人を削減することを発表した。日本郵船はアジア-北米間の定期コ ンテナの船腹供給量を前年比15%程度追加削減する検討に入った。

コアCPI、夏場にマイナス幅2%台も

急激な景気の下降は生産、雇用にとどまらず、物価や個人消費にも 鮮明に表れてきた。総務省が27日発表した1月の全国の消費者物価指数 (除く生鮮食品、コアCPI)は前年同月比横ばいだった。コアCPI の前年比上昇率は昨年7、8月にプラス2.4%まで上昇したが、わずか 5カ月で横ばいの水準まで下げた。エネルギー・原材料価格が下落基調 にあることや景気下降で、夏場にかけてマイナス幅が2%台に達すると の見方も出ている。

ドイツ証券の安達誠司シニアエコノミストは、内需動向が反映され るコア・コアCPI(除く食料、エネルギー)が前年比0.2%低下とな ったことで、「日本経済のデフレ局面入りがあらためて確認できる結果と なった」と指摘した。

低調な販売関連指標相次ぐ

1月の商業販売統計によると、小売業販売額は前年同月比2.4%減 少した。5カ月連続の減少で、景気後退を背景に雇用環境が一段と厳し さを増す中、個人消費が引き続き低迷している姿が表れている。

1月の販売関連指標は低調な結果が多く、百貨店売上高は前年同月 比9.1%減と11カ月連続の減少だった。百貨店の三越と伊勢丹を傘下に 持つ三越伊勢丹ホールディングスは5日、衣料品や高額品の販売不振な どを受け、09年3月期の連結純利益の見通しを大幅に下方修正した。一 方、政府は19日に発表した2月の月例経済報告で、個人消費の判断を「緩 やかに減少している」とし、2カ月連続で下方修正した。

昨年10-12月の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比年率マイ ナス12.7%と、1974年以来約34年ぶりの落ち込みだった。内閣府によ ると、総需要と供給力の乖離(かいり)を示す需給ギャップはマイナス

4.3%(約20兆円)に広がった。バークレイズ・キャピタル証券の森田 京平チーフエコノミストは「GDPギャップの拡大はマクロ的な需給を 緩めることで、CPIを押し下げる方向に働く」と指摘している。

三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストは、 5月に発表される1-3月期の実質GDPは「前期比年率2けたの減少 になるかどうかはまだはっきりしない部分もあるが、10-12月期第1次 速報値の前期比年率12.7%減に近いかなりのマイナスになりそうだ」と の見方を示した。

--共同取材 下土井京子 亀山 律子 Editor: Hitoshi Ozawa,Masaru Aoki

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