1月鉱工業生産は10.0%低下-下落率は3カ月連続で最大更新(2)

1月の鉱工業生産指数は、前月比の 下落率が3カ月連続で過去最大を更新した。世界同時不況で輸出が落ち 込む中、自動車や電子部品・デバイスを中心に全業種で生産が減少した。 経済産業省は「生産は急速に低下している」とし、2カ月連続で基調判 断を据え置いた。

経産省が27日発表した1月の鉱工業指数速報(季節調整済み、 2005 年=100)によると、生産指数は前月比10.0%低下し、下落率は統計上 比較可能な1953年2月以降で最大の下落率となった。前月比で2けたの マイナスも今回が初めて。前年同月比は30.8%の低下だった。ブルーム バーグ・ニュースによるエコノミスト調査では、1月の鉱工業生産指数 の予想中央値は前月比10.0%低下、前年同月比30.7%低下だった。

生産動向を左右する輸出の減少に歯止めが掛からない中、日本経済 は内需も設備投資や個人消費が低迷し、底打ちの糸口がつかめない状況 だ。財務省が25日発表した1月の貿易収支は9526億円の赤字となり、 過 去最大だった80年1月の8248億円を上回った。また、国内自動車メー カー8社平均の国内自動車生産は前年比約4割減となり、中でもトヨタ 自動車とホンダは過去最大の減産を強いられた。

マネックス証券の村上尚己チーフエコノミストは発表後、「製造業に おける、まれに見る減産圧力は和らいでいない」と述べ、「1-3月のG DP(国内総生産)成長率が、08年10-12月同様に2四半期連続で大 幅な落ち込みとなる可能性が一段と高まった」と指摘。一方、在庫調整 にめどが立ち、春ごろに大手自動車の減産に歯止めが掛かれば「全体の 生産もさすがに4-6月には下げ止まりが見えるだろう」とみている。

円の対ドル相場は午前11時現在、1ドル=97円70銭前後で推移し ている。統計発表直前は同98円33銭前後だった。日経平均株価の午前 の終値は前日比53円27銭高の7511円20銭。

1-3月は22.4%減の過去最大も

経産省によると、2月の製造工業生産予測指数は前月比8.3%低下、 3月は2.8%上昇となっている。同予測指数でプラスになるのは、08年 8月以来6カ月ぶり。1-3月期の生産は前期比で5四半期連続のマイ ナスになることは必至で、アジア金融危機と国内の大型金融機関の破た んが相次いだ97年10-12月期から98年 10-12月期以来以来となる。

同省調査統計部の志村勝也経済解析室長は記者説明で、2月と3月 の予測指数がそのまま実現した場合、1-3月期の生産は前期比22.4% 減と四半期では過去最大の下落率になるとの試算を示した。志村室長は 「全業種が在庫の調整局面に入っている」と述べ、「在庫調整がかなり進 んできている面はある」と指摘。一方、「出荷の減がかなり大きい。在庫 率も高いので、景気は低下局面にある」との認識を示した。

在庫調整が生産増につながるか不透明

日本政策投資銀行調査部の鈴木英介調査役は、「3月実績が実際にプ ラスとなるかは依然不透明だが、足元では在庫調整圧力の低下がプラス 材料となっている」と分析。鈴木氏は、「3月以降の生産活動の下げ止ま り兆しの要因が、在庫調整圧力の低下が主で、需要の持ち直しに裏打ち されたものでない場合は、その後緩やかな持ち直しペースが基調として 定着するかは依然、不透明である」との見方を示した。

1月の出荷指数は前月比11.4%低下し、過去最大の下落率を記録。 在庫は同2.0%低下し、在庫率指数は前月比11.6%上昇した。日産自動 車は26日、3月の国内工場での減産台数を1-2月に比べ圧縮すること を明らかにしたほか、トヨタ自動車は18日、5月の国内生産台数が4月 の水準を上回るとの見通しを示している。

農林中金総合研究所の南武志主任研究員は、「企業は在庫調整にも積 極的に取り組んでおり、残高は大きく減少している。ただし、出荷の激 減を受けて在庫率は急激な上昇を続けており、依然として在庫調整圧力 は極めて高いといえるだろう」と指摘した。

一方、「自動車や素材メーカーなどは、4-6月期あたりには在庫調 整が終了するとの見通しが出始めている」ことに言及し、「年半ばには生 産落ち込みの度合いはかなり緩やかになると思われるが、そこから再び 元のトレンドに回帰する動きはなかなか進展しないとみられる」との見 方を示した。

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