東穀取理事長:2年赤字覚悟、11年度に黒字化-単独生き残り目指す

勧誘規制の厳格化などによる個人 投資家離れで今年度最終赤字に転落する東京穀物商品取引所は、農産物 専門の取引所として単独での生き残りに向けた市場振興策を進め、2011 年度に赤字脱却を目指す方針だ。

渡辺好明理事長が23日のインタビューで明らかにした。日本商品 先物振興協会(JCFIA)の調査では、商品取引員の8割が東京工業 品取引所との合併を希望しているものの、同理事長は「農産物専門の取 引所は必要。コンピューターシステムを共同利用することはあっても、 組織自体を一緒にすることは考えていない」と述べ、東工取との合併不 可避との見方を否定した。

単独での生き残り策として東穀取は、上場商品の品揃え拡充などの 市場振興策と組織合理化によるコスト削減を通じて赤字脱却を実現する 計画。同理事長は「システム費は減らせないので、人件費と運営管理費 を大幅に削る」と指摘、営業、広報活動を受け持つ営業本部の新設を含 めた組織の再編・整理を進め経費削減を図る考えを示した。

市場振興策については、「市場でニーズの強いコメ、小麦、畜産物 のできるだけ早い時期の上場を実現したい」と語り、魅力ある商品を提 供することで個人投資家の取り込みを狙う方針を表明した。これら商品 の上場により国内産品と輸入品をバランスよく提供できると期待する。

とりわけ、06年に上場申請が不認可となったコメの先物取引は、 「日本からタイまで東アジア地域だけで十分に世界市場をけん引でき、 かつての生糸や小豆のようにグローバルスタンダードとなれる」とみて おり、早期上場認可を監督官庁の農林水産省に強く求めていく方針。

今後2年間の赤字覚悟

08年の東穀取の先物出来高は843万3346枚と、前年の1967万 4560枚から57%減少。個人投資家の比率が9割超に上ることから、消 費者保護を狙った勧誘規制強化の荒波に飲み込まれた格好だ。

このため08年度に10億円台の最終赤字が見込まれており、同理事 長は09、10年度も赤字を覚悟していると述べた。ただ、3月までに策 定する中期経営計画に経費節減と市場振興策を盛り込み、「11年度に は黒字に転換したい」との意気込みを示した。

東穀取は取引手法の見直しなど短期的な取り組みにはすでに着手済 み。昨年10月に一般大豆の証拠金を引き下げたほか、今年3月には現 場からの要請を受け入れ粗糖市場をザラバ(複数約定値段方式)取引か ら板寄せ(単一約定値段方式)取引に戻すことを決めており、「新たな スタートに向けた試金石」(同理事長)と位置づけている。

堂島の火を消してはいけない

江戸時代の1730年に大阪の堂島に開設されたコメ取引所が商品先 物取引所の起源とされるなど、日本の穀物取引には300年近くの伝統と 経験が蓄積されている。渡辺理事長は「現在の市場で金が通貨の扱いを 受けるのと同様の扱いを当時はコメが受けており、日本人の素晴らしい 財産である堂島の火を消してはいけない」と指摘。

そのうえで、「世の中すべてが経済の上向く時期を今年の年末とか 来年以降と見通しているが、先物の特性から考えると、秋口ごろには意 外と明るい兆しが出てくるのではないか」と予想している。

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