新日鉄・増田副社長:来期業績不透明も、海外拡張戦略は堅持

新日本製鉄の増田規一郎副社長は 25日、都内でブルームバーグ・ニュースの取材に応じ、鉄鋼需要が急 激に減少する中で鋼材価格や鉄鋼原料交渉が継続しているため、2010 年3月期の見通しについて現時点では何も確定できないと話した。一方、 中期的な新興国での鉄鋼需要拡大をにらみ、ブラジルなど海外を中心と した拡張戦略を変更する方針はないことを強調した。主なやりとりは以 下の通り。

今年1-3月は戦後最低水準の粗鋼生産を計画している。底打ちはいつ か:

「自動車業界では在庫調整と実需減、買い控えが同時進行中。ただトヨ タ自動車が5月から生産を引き上げると報道されており、在庫調整は時 間とともに進展する。4-6月の粗鋼生産は、1-3月並みか、もしく は少し持ち直すのではないか。7-9月は悪いなりの巡航速度に鉄鋼需 要が回復すると期待したい」

「中国は年明けに現地鉄鋼大手が鋼材価格を引き上げている。総額4兆 元(約50兆円)の景気刺激策の効果なのか判断できないが、中国の鉄 鋼需要は他国と別の動きをしており注目している」

1月末の四半期決算公表時に今期(09年3月期)業績予想を大幅に下 方修正したが、その後H形鋼や韓国向け造船用厚板など大幅な値下げを 決めた。今期予想を再び下方修正する可能性は:

「1月の四半期決算発表時点で一部鋼材価格の下落などは織り込んでお り、今期は公表値の水準で着地するとみている」

今期は3カ年の中期経営計画の最終年だが次期中期計画は:

「例年12月など年末に公表してきたが、100年に1度の経済危機とな り公表を遅らせた。設備投資に最低3年程度必要な鉄鋼業では3カ年の 計画は必要のため、(鉄鋼需要が)落ち着いた次期に公表したいが時期 は未定」

一部アナリストから来期赤字転落が不可避との見方が出ているが:

「黒字を確保できるように全力で努力している。ただ原料価格、鋼材価 格いずれも交渉中のためコメントできない。自動車や造船、機械など顧 客業界が不透明な中、来期業績を見通せない」

業績見通しが極めて不透明な中での財務上の指針は:

「現在ダブルAレベルの格付けを維持するため、DEレシオ(自己資本 に対する有利子負債の倍率)は現在の水準(約0.6倍)を維持する。少 なくとも0.8台以上に膨らまないようにする」

今期粗鋼生産は2890万トンと前期比13%減少するが、中長期目標とし て掲げる「4000万トン+アルファ」は維持できるか:

「維持する。東アジアやブラジルなどの鉄鋼需要を取り込んでいきたい。 4000万トン体制は、現在進めている大分製鉄所の高炉拡張などで達成 できるが、さらなる粗鋼生産拡大のためにはM&A(合併・買収)も選 択肢として排除しない。(持ち分法適用会社である)ブラジル・ウジミ ナスの製鉄所で年産250万トンの高炉を2基建設する計画も変更しない。 ただ時期については当初予定の2012年から遅らせる可能性もある。タ イ政府主導の高炉計画も引き続き検討の対象だ」

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