1月の輸出は4割強減、過去最大の減少率更新-貿易赤字も最大(3)

1月の日本の輸出額は世界経済の後 退を背景に前年比4割強の減少となり、2カ月連続で過去最大の減少率 を更新した。自動車や半導体などの主力品目を中心に全地域向けで輸出 の減少が続いた。輸出の減少額が原油価格の急落や内需低迷を受けた輸 入の減少額を大きく上回った結果、貿易収支は29年ぶりに過去最大の赤 字を記録した。

財務省が25日発表した1月の貿易統計速報(通関ベース)によると、 貿易収支(原数値)は9526億円の赤字となり、赤字額は過去最大だった 1980年1月の8248億円を上回った。赤字は4カ月連続。輸出額は前年 同月比45.7%減の3兆4826億円と4カ月連続で減少した。輸入額は同

31.7%減の4兆4352億円と3カ月連続減だった。

ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査では、1月の貿易収 支の予想中央値は1兆2000億円の赤字だった。

金融危機の影響が実体経済に波及する「負の連鎖」が世界的に広が るなか、輸出は全地域で大幅に減少。中でもこれまで輸出をけん引して きた自動車や関連部品、半導体など電子部品の不振が目立つ。日本の昨 年10-12月期の実質GDP(国内総生産)は、輸出の急減を受けた企業 部門の不振が家計部門に波及し、前期比年率12.7%減と約34年ぶりの 減少率を記録。今年1-3月期もけん引役の不在からマイナス成長が続 く見込みで、日本経済の底入れ時期は見極められない状況にある。

1月の全体の輸出品目のうち、前年同月比で減少が著しかった上位 3品目は自動車の66.1%減、半導体等電子部品52.8%減、自動車部品

51.9%減。輸入品目では、原粗油と石油製品が6割強の落ち込みを示し た。

ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次シニアエコノミストはブルームバー グテレビジョンに出演し、「輸出の落ち込みは昨年9月半ばのリーマン・ ブラザーズ破たん以降、止まらない状況だ。世界経済の後退が先進国か ら新興国へ波及している姿が輸出を通じて見てとれる」と指摘。 その上 で、「各国の内需策に期待せざるを得ないが、財政政策を打ってもすぐに 物事が良くなるわけではない。最低でも夏場までマイナスの状況が続く」 との見方を示した。

みずほ総合研究所の草場洋方シニアエコノミストは統計発表後、「世 界的な金融市場と実体経済の負の相互作用がわが国の貿易取引に尋常な らざる影響を与えていることをあらためて確認する、著しく厳しい結果」 と指摘。その上で、「今のところ米国をはじめとする海外経済指標からは 底打ち感を確認できず、特に自動車やIT(情報技術)関連財、一般機 械といった主力財は需要の縮小が一段と強まっている。わが国の貿易収 支は当面の間、低迷を続ける可能性が高い」との見方を示した。

統計発表後の東京外国為替市場のドル円相場は午後2時現在、1ド ル=97円18銭。発表直前は同96円72銭近辺で推移していた。同時刻 現在、東京株式市場の日経平均株価は前日比108円10銭高の7376円66 銭と反発、債券先物市場の中心限月3月物は同41銭安の139円17銭。

輸出は、米国向けが前年同月比52.9%減と17カ月連続で減少した ほか、欧州連合(EU)向けも同47.4%減と6カ月連続で減少。いずれ も自動車や自動車部品、原動機などの不振が響いた。アジア向けは半導 体など電子部品、プラスチックなどが落ち込み同46.7%減と4カ月連続 の減少。このうち中国向けは同45.1%減と4カ月連続の減少だった。

また、昨年11月以降に減少に転じたアジア以外の新興国向け輸出も、 1月は対ロシアが同65.5%減の337億円と大幅減を記録。対中東も同

26.2%減の1794億円にとどまった。

地域別の貿易収支をみると、1月の対米黒字額は前年同月比75.3% 減の1328億円。対EUは同92.3%減の266億円と黒字額としては過去 最小だった。対アジアは3年ぶりに過去最大の4301億円の赤字を記録し た。

トヨタ自動車は日米の自動車販売の低迷を受けて、第4四半期(1- 3月期)の国内生産を前年同期の113万台から51万9000台とほぼ半分 に削減する。また、三菱自動車は欧州向け車用に生産する計画だった低 公害ディーゼルエンジンの生産開始時期を半年延期する。

一方で、自動車輸出船隊で世界最大規模の日本郵船は、世界的な自 動車需要の低迷を受け、老朽化した専用輸出船の廃棄を2011年3月期末 までに計20隻だった従来計画から一段と加速させる方針。輸出に依存し ていた自動車産業の低迷の影響は各方面に広がりつつある。

--共同取材:北村 真樹子、Jason Clenfield、小松哲也、松田 潔社、Chris Cooper、曽宮一恵、鎌田泰幸 Editor:Masaru Aoki,Hitoshi Ozawa29

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