日本版「HIA」で合計10兆円の資金還流も、4月集中か-RBS

政府が検討している「日本版HI A」(海外子会社からの配当利益の非課税化)が実現した場合、合計 で10兆円程度の資金が4月以降、数年にわたって国内に還流し、潜在 的に大きな円買い圧力となる可能性がある。ロイヤル・バンク・オブ・ スコットランドのヘッド・オブFXストラテジー・ジャパンの山本雅 文氏が試算した。

自民党税制調査会は昨年12月に取りまとめた2009年度税制改正 大綱に、日本企業の海外子会社の利益の国内還流を促進するための法 人税の非課税化を盛り込んだ。

現行制度では、海外子会社利益を日本国内に戻す場合、海外の法 人税率が日本の法人税率より低いとその差分が追加課税される。日本 の法人税率は約40%と主要国で最高水準にあるため、アジアや欧州で 獲得した利益の多くは国内に還流されず、日本企業の海外子会社にお ける内部留保残高は06年度末時点で約17兆円(経済産業省調べ)ま で膨らんだ。

山本氏は23日付のリポートで、07年度も海外内部留保が過去と 同じ増加率を維持し、08年度は世界的な経済・金融危機により利益の 伸びがゼロだったと仮定した場合、海外留保利益は21兆円程度に増加 していると推計。その半分にあたる10兆円程度が今後、数年にわたり 国内に還流する可能性があるとしている。

経済産業省が昨年9月に実施した大・中堅・中小企業アンケート では、回答企業数335社中、約4割が海外子会社からの配当を増やさ ない理由として、税負担の重さを挙げた。また、「海外に利益または 十分な内部留保がない」と回答した企業を除く180社中74%が、非課 税制度が導入されれば海外子会社からの配当額を増加させると回答し た。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドは3月末の円の対ドル 相場を1ドル=90円と予想。7-9月期にかけては85円台まで円高 進む可能性があるとみている。

潜在的インパクトは大きい

米国は05年に米多国籍企業による海外の利益・配当金などの本国 送金に対する優遇税制措置、「HIA」を施行。同制度は1年限りの 時限措置だったため、同年中には「市場推計で1500億ドル程度」(山 本氏)のレパトリエーション(自国への資金回帰)が集中し、ドルを押 し上げる要因となった。

米国と違い日本版「HIA」は恒久措置となるため、国内への資 金還流は数年にわたって分散される可能性が高い。

もっとも、山本氏は、税制改正直後の今年4月には資金繰りに窮 する企業のレパトリが集中するリスクがあると指摘。新年度入りした 本邦機関投資家の対外投資が活発化しなければ、企業による円買いが 支配的になるとみている。

一方、3月末に向けてはレパトリへの思惑が積極的な円売りを抑 制する要因になると予想。その上で、「日本版HIAの相場へのイン パクトは潜在的に非常に大きなものになり得る」としている。

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