米国株:続落、S&P500種は97年以来の安値-銀行株は高い

米株式相場は大幅続落。S&P 500種株価指数は12年ぶりの安値に沈んだ。米当局が銀行に追加資 本を注入する方針を示したものの、企業業績がリセッション(景気後 退)深刻化の影響を受けるとの懸念から売りが膨らんだ。

ヒューレット・パッカード(HP)とインテルは急落。モルガン・ スタンレーがハイテク株について、景気に敏感な産業の中で最もぜい弱 だとの見方を示したことが売りを誘った。USスチールを中心に鉄鋼株 も安い。UBSが鉄鋼業界の増産が急激過ぎたと指摘したことが売り材 料。

一方、バンク・オブ・アメリカ(BOA)は3.2%高、シティグ ループは9.7%上昇。米政府が両行を国有化するとの懸念が弱まった ことが背景にある。

S&P500種株価指数は前週末比3.5%安の743.33と、1997 年4月以来の安値で終えた。6日続落は昨年10月以来で最長。ダウ工 業株30種平均は250.89ドル(3.4%)下落し、97年5月以来の安 値となる7114.78ドルで終了。ラッセル2000指数は4%安。

インベスコ・AIM・アドバイザーズのシニア市場ストラテジスト、 フリッツ・マイヤー氏は「多くの投資家は株式相場のリスクをこれ以上、 ポートフォリオに組み込むことができない。市場心理は非常に弱く、暗 い」と述べた。

金融株

BOAとシティはともに年初からの下げが68%を超えており、S &P500種全体の足を引っ張っている。S&P500種は年初来で18% 安と、過去最悪の滑り出しとなっている。オバマ大統領とガイトナー財 務長官は税控除や財政出動から成る7870億ドル規模の景気対策を打 ち出したが、投資家の懸念を和らげるには至らなかった。

S&P500種の金融株指数が一時4.6%高となり、相場全体も金 融株主導で高く始まった。米規制当局はリセッションが深刻化した場合 でも銀行に資本が十分あるかどうかを確認するための査定を開始する方 針を表明した。査定で増資が必要と判断された銀行は民間から資本を 調達できない場合、追加の公的資金を注入される。

鉄鋼株

ニューコアやUSスチール、AKスティール・ホールディングなど 鉄鋼株を中心に売りが出たため、S&P500種の素材株指数は6.2% 安と、全10業種で下げが最もきつい。

UBSのアナリスト、アンドルー・スノードーン氏はリポートで、 「持続的な回復」を得るためには鉄鋼メーカーは供給を抑える必要があ ると指摘。アルセロール・ミタルの投資判断を「買い」から「中立」へ 引き下げた。

ハイテク株

モルガン・スタンレーのストラテジスト、ジェイソン・トッド氏は 世界的な不況が続いていることを理由に、ハイテク株と素材株を引き続 き「アンダーウエート(基準以下)」にとどめるよう提唱した。

さらに「最近の上昇局面を利用して売りを出すべきだ。企業業績は すぐには好転しない」と指摘した。

S&P500種の情報技術(IT)株指数はこの日、4.4%安。年 初からでは8.7%下落しているものの、全10セクター中で2番目に小 幅な下げにとどまっている。

HPは6.3%安と、5営業日続落。インテルは5.5%下落した。

UBSファイナンシャル・サービシズの米州担当資産運用調査責任 者、マイク・ライアン氏は「リセッションの深刻度が引き続き相場を左 右している。問題が一部でも消えつつあるとの明確な兆候は見当たらな い」と述べた。

ヘルスケア株

医療保険のヒューマナは昨年3月以来の大幅な下げ。政府から補助 金を得てメディケア(高齢者向け公的医療保険制度)を提供している企 業に対し、米政府が1%未満の手数料引き上げを提案したことがきっか け。

S&P500種のヘルスケア株指数は2.5%安。ヒューマナは24% 下げ、S&P500種全体で下落率首位となった。

減配懸念

ゼネラル・エレクトリック(GE)は5.7%安の8.85ドルと、 95年3月以来の安値。ドイツ銀行のアナリスト、ナイジェル・コー氏 は22日付のリポートで、金融部門であるGEキャピタルに増資が必要 となる可能性があるとして、GEの配当が「大幅に減額される可能性が 非常に高い」との見方を示した。

米企業による減配のペースが1955年以来最高となるなか、過去 100年にわたる米国株の国債に対する唯一の強みが失われつつある。

ロンドン・ビジネス・スクールとクレディ・スイス・グループが まとめたデータによると、米国株の1900年以降の年平均リターンは インフレ調整ベースで6%。配当を除くと、リターンは1.7%に低下 し、長期国債のリターン(2.1%)を下回る。

クレディ・スイスはさらに、年末時点のS&P500種の予想を 920と、従来予想の1050から下方修正した。日米の両方が世界経済 を立ち直らせると投資家が確信するまで株価は回復しないとの見方が理 由。

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