NY外為:円下落、米政府の銀行支援方針で逃避需要弱まる(2)

23日のニューヨーク外国為替市場 では、円が全主要通貨に対して下落。昨年12月以来の低水準に落ち込 んだ。米金融監督当局が銀行に追加資金を注入する方針を発表したこと を受けて、逃避先としての円需要が弱まった。

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では日本国債の 保証コストが高騰していることからも、円は今後さらに下落する可能性 がある。英ポンドはドルに対して3営業日連続で上昇。英銀ロイヤル・ バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)が10億ポン ド(約1400億円)以上の経費削減を計画しているとの関係者の発言が 手掛かり。

ウエストパック銀行のシニア為替ストラテジスト、リチャード・フ ラヌロビッチ氏(ニューヨーク在勤)は「週が明け、市場ではリスク許 容度が改善されて対円でのドル高という形で表れた」とし、「米銀行株 に対する市場センチメントの改善と、米政府による銀行支援の方針が円 安につながっている」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時09分現在、ドルは対円では1.2%上昇 し、1ドル=94円49銭(前週末は93円35銭)。一時は昨年12月1 日以来の高値となる94円95銭に達した。

ユーロは円に対して0.3%上げ、1ユーロ=120円04銭(前週末 は119円68銭)。一時は1月19日以来の高値となる1ユーロ=121 円93銭まで上昇した。一方、ユーロは対ドルでは1%下げ、1ユーロ =1.2702ドル(前週末は1ユーロ=1.2826ドル)。

ポーランド・ズロチ、ハンガリー・フォリント、チェコ・コルナは いずれも対ユーロで上昇。東欧中銀が協調して東欧通貨を支えると発表 したことが手掛かりとなった。ズロチは対ユーロで一時4%上昇し、日 中の取引では、ほぼ4カ月ぶりの上昇幅となった。ポーランド中銀総裁 が「(東欧諸国の)緊密な情報交換と協調」が東欧中銀による通貨支援 を助けると発言したことがきっかけ。

ハンガリー・フォリント上昇

ハンガリー・フォリントは1.9%、チェコ・コルナは1.2%と、そ れぞれ対ユーロで上昇。

先週、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが東 欧の経済悪化を背景に同地域に子会社を置く銀行数行の格付けを引き下 げる可能性があると発表したことで、これら3通貨は急落していた。

円は南アフリカ・ランドに対して1.7%下げ、対ポンドでも1.4% 下落した。米財務省および金融監督当局が23日、米政府は「今回の金 融危機が続く間、銀行システムをしっかりと支える」との共同声明を発 表、日本の投資家勢による資産の本国還流が小休止した。

同声明によると、米国の金融監督当局は今週、銀行の資本が十分で あるかを確認するための査定を開始する。こうした状況で、S&P500 種が97年以来の安値を割り込んだにもかかわらず、米銀シティグルー プ株とバンク・オブ・アメリカ(BOA)株は急上昇した。

円売り

みずほコーポレート銀行(ニューヨーク)のシニア通貨トレーダー、 柳原秀敏氏は「円売りが目立っている」と述べ「市場は銀行株を買い戻 している」と続けた。

柳原氏はまた、先週の中川昭一前財務相兼金融担当相の辞任も円売 り材料になっていると指摘。中川氏は2月14日、7カ国財務相・中央 銀行総裁会議(G7)閉幕後にもうろうとした状態で記者会見を行った 責任を取って辞任した。

円は2月に入り対ドルで4.9%下落しており、月間ベースでは 2004年4月以来最大の落ち込みとなっている。内閣府の発表によると、 日本経済の悪化は深刻化しており、昨年10-12月期の国内総生産(G DP)1次速報値は前期比年率12.7%減と、第1次石油危機直後の 1974年以来、約34年ぶりの下落率となった。

CMAデータビジョンによると、CDS市場では日本国債の保証コ ストが上昇しており、1月30日は額面の0.49%だったのに対し、2 月17日には1.21%と2倍以上に上昇している。

投資家の懸念

1月以降、円と日本国債のCDSの価格の相関係数はマイナス

0.43に振れ、投資家の懸念が高まっていることが示唆されている。円 とCDSの価格は昨年の同時期には、相関係数はプラス0.88で並行し て動いていた。

債券のデフォルト(債務不履行)に対する保証コストを示すCDS は、昨年の米ウォール街の混乱に拍車を掛けた要因として批判されたが、 ここにきて国債のCDSが通貨の力を測る指標としてトレーダーに利用 され始めている。

23日には、米国と日本の2年債利回り格差は0.57%と、1月1日 の0.38%から拡大しており、米国資産への妙味が増している。

パトナム・インベストメンツのシニアバイスプレジデント、パレシ ュ・ウパダヤ氏(ボストン在勤)は「ドルと円の動きは米国債と日本国 債の利回り格差の動きに沿っているようだ」と指摘。「最近の円安は新 たなトレンドの始まりではない。長引く先行き不透明感とリスク回避傾 向から、第2四半期には円が上昇する可能性が高い」と語った。

ポンドは対ドルで一時1.6%上げ、2月10日以来の高値を付けた。 RBSが今週発表予定の政府保証プログラムを通じて、不良資産の分離 を計画しているとの関係者の発言が手掛かり。対ユーロでは1.2%上昇 した。

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