【日本株週間展望】下値探る、長期景気停滞を懸念-運用方針見直しも

2月第4週(23-27日)の日本株 相場は続落する見通し。世界的な景気後退が長期化するとの警戒感が強 い。米国株も、ダウ工業株30種平均が昨年の安値を下抜けて6年ぶりの 低水準に沈んだため、機関投資家のリバランス(資産配分の定期的な見 直し)需要に沿った買いも期待しにくく、下値を探る展開となりそうだ。

トヨタアセットマネジメント投資戦略部の浜崎優シニアストラテジ ストは、「景気の出口が見えない。企業業績が悪いのは分かっていたが、 分かっていた以上に悪いので、さらに先行きについて不安になる負の連 鎖に陥っている」と指摘する。

20日のTOPIX終値は前の週末に比べ3.3%安の739.53ポイント で、1984年1月以来、25年ぶりの低水準となった。世界的な信用不安か らみずほフィナンシャルグループや三菱UFJフィナンシャル・グルー プが52週安値を更新、週末にかけて下げ足を速めた。

期待リターンの引き下げ検討も

「企業年金の足元の動きをみると、リバランスルールに従って債券 売り・株式買いの注文を出しているところは3分の1程度。残りの3分 の2はあまりに環境変化が大きいとして、様子見を決め込んでいる」と 話すのは、日興フィナンシャル・インテリジェンスの宮井博常務だ。

年金資金は長期運用が大前提。相場に対し機敏に売買するディーラ ーやヘッジファンドなどとは異なり、「各種データが出そろうのを待ち、 政策アセット・ミックスや基本ポートフォリオの見直し議論に入る」(宮 井氏)。このため、昨秋以降の世界の株式急落を受けてもいまだ変化の 最中との判断で、データの分析ができていないという。

宮井氏によると、年金投資家の間でいま最もホットな話題は、「期 待リターンをどこまで下げるか」。電機や自動車など、日本の代表的老 舗企業群は今期決算で未曽有の最終赤字を計上する見通し。母体企業の 財務健全性が低下する中、企業年金が運用方針自体を見直すケースも散 見され始めた。「期待リターンを下げ、ボラティリティー(変動率)の 高い株式はウエートを減らす」(同氏)検討を行っているところもある。

ラッセル・インベストメントの喜多幸之助エグゼクティブコンサル タントは、「来年度の最大のテーマはリスク管理の見直しだ」と強調。 足元の株安を受け、株式のリスク・プレミアムを低く見直す基金や、割 高感が解消したとみて果敢にリスクをとる基金も出てくるとみられてい る。「問題はどのくらい先を見て年金を考えるかだ。それによって、企 業年金の意思決定も変わってくる」と、喜多氏は言う。

信託銀VS外国人

企業年金の動きの一部をうかがい知ることができるのは、東京証券 取引所が毎週公表する「投資部門別売買動向」の「信託銀行」だ。19日 公表の2月2週(9-13日)分では1397億円を買い越し、6週連続の 買い越しとなった。半面、外国人投資家は5週連続の売り越しで、2009 年年初以降、累計1兆2775億円を売り越す。三菱UFJ証券投資情報部 の折見世記シニア投資ストラテジストは、「信託銀行の買いが途切れれ ば株価は下がる。いずれは経験則通り、TOPIX株式時価総額と名目 国内総生産(GDP)はパラレルな動きを示す」と予測する。

折見氏は、90年代以降のTOPIX時価総額と日本の名目GDPの 推移から、「過去2回の景気後退局面では、名目GDPがそれぞれ20 兆円程度減少したところで株価が下げ止まった」と説明。今回の場合、 名目GDPはすでに直近の「景気の山」となった07年10-12月期の517 兆円から、08年10-12月期の497兆円まで20兆円減少、底打ちの兆し が出てもおかしくないタイミングになった。

しかし、「エコノミストの多くが09年1-3月期も前四半期と同等 のマイナス成長を予測する現況では、名目GDPはさらに落ちると考え るのが自然」(折見氏)だ。GDPの減少スピードも、過去2回は2年 間で20兆円の調整があったにもかかわらず、今回は1年間に短縮。「ま さに未曾有のスピードと段差で景気は悪化」(同氏)している。

米証券メリルリンチによる世界の投資家調査(2月)では、日本株 をオーバーウエートしている投資家の比率からアンダーウエートしてい る比率を引いた数値がマイナス26%と、1月のマイナス15%から悪化。 今後1年間で日本株を最もオーバーウエートしたいと答えた投資家も、 前回のプラス9%からマイナス8%と、08年3月以来の弱気となった。

経済は悪化の一途、止まらぬ雇用不安

大和総研は19日、日本経済の成長率予測を下方修正し、改定後の実 質GDP予想を、08年度マイナス2.9%(前回マイナス0.9%)、09年 度マイナス4.4%(同マイナス1.3%)とした。新たに予測した10年度 はプラス0.4%。熊谷亮丸シニアエコノミストの結論は、「日本経済が 早期に大幅な回復を示す可能性は低い」。欧州投資家の一部が期待を寄 せていた日本の早期回復は、見込みにくいという。

むしろ09年末に在庫調整が完了したとしても、10年の鉱工業生産 の回復ペースは極めて緩慢になると、同総研では予測。ワークシェアリ ングなどの施策が打たれなかった場合、09年度末までの向こう1年間で 270万人程度の雇用が失われるとも試算した。

第一生命経済研究所では、02年以降の景気拡張期にけん引役を果た した輸送用機械、電機の減産の影響を試算した。10%の減産に追われる 現状の生産状況が約1年続くと、自動車で12.2万人、電機で27.7万人 の雇用削減圧力になり、鈴木将之副主任エコノミストは「輸出のさらな る低下や、海外に生産拠点が移転することを考慮すると、実際にはさら に大きな影響になる」と警戒する。

2月4週の日本株に影響を与えそうな経済統計の発表は、日本で27 日に1月の鉱工業生産や労働力調査、家計調査など。米国では24日に昨 年12月のS&Pケースシラー住宅価格指数、25日に1月の中古住宅販 売件数、26日に1月の新築住宅販売件数など住宅関連指標が相次ぐ。こ のほか、24日には米ホワイトハウスで日米首脳会談、27日からはASE AN首脳会議、週末は緊急EU首脳会議が開かれる。

【市場関係者の当面の日本株相場の見方】
○日興コーディアル証券エクイティ部の西広市部長
「日経平均株価の想定レンジは7000-7800円。安値を模索しつつもみ合
うと予想する。出来高20億株、売買代金2兆円を下回る日が続いている
うえ、2月決算銘柄の権利付最終売買日や3月13日のメジャーSQ(特
別清算指数)算出を控え、先物の動きに警戒したい。欧米金融機関に対
する不安や日本の政局に対する不透明感もあるが、TOPIXの株価純
資産倍率は0.8倍台。自律反発気運も強い」

○SMBCフレンド証券の中西文行ストラテジスト
「想定レンジは7100-7800円。円売り、株売り、債券売り、CDS上昇
が重なるという『日本売り』の中では、日経平均は昨年10月安値を試し
に行かざるを得ない。ただ、23日から日銀による銀行保有株の買い取り
が始まるため、心理的なプラス効果が見込めるうえ、円安もあって売り
一巡後はリバウンドに転じる可能性がある。ドル円相場はダブルボトム
を付け、94円台のネックラインを突破すると100円が視野に入ろう。局
地戦スタンスで、住友金属鉱山などの産金株に注目したい」

○ちばぎんアセットマネジメントの安藤富士男専務
「相場は前週を底に緩やかに上昇する可能性がある。国内GDPの落ち
込みや中川昭一前財務・金融担当相の辞任があったが、企業の決算発表
が一巡し、投資家は売るべきものを売った感がある。季節性を考えると、
高配当銘柄に配当狙いの買いが入るとみている。前週に個人投資家は大
幅に買い越しており、個人の買い意欲が依然強いことも相場を支えそう」

○十字屋証券投資情報室の岡本征良室長
「相場は上昇に向かい、日経平均株価で8000円を期待したい。19日に
09年12月期の業績予想を発表したブリヂストンの為替前提は1ドル=
85円。足元でこれ以上の円安が進んでおり、他の企業も利益改善が期待
できる」

○丸三証券投資情報部の中村明彦テクニカルアナリスト
「日経平均の下降トレンドが継続、08年安値(6994円)も意識される状
況だが、3月高の可能性もある。ストキャスティクスが日足(%K3.9、%
D7.4)、週足(%K1.8、%D10)とも売られすぎのゾーンに入ったほ
か、日経平均採用225銘柄の騰落レシオも70を割り込み、反転のサイン
が灯った。外部環境の悪化を受けて売られているが、米株価指数が明確
に底を打ち上昇に転じれば、日本株もパターンが変わり追随するだろう」

--共同取材:浅野文重、長谷川敏郎、常冨浩太郎 Editor:Shintaro Inkyo、Makiko Asai

参考画面: 記事に関する記者の問い合わせ先: 東京 鷺池 秀樹 Hideki Sagiike +81-3-3201-8293 hsagiike@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651  yokubo1@bloomberg.net 香港 Darren Boey +85-2-2977-6646 dboey@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE